トップをねらえ2!
人にはそれぞれ価値観がある。ある人が良いとしたものが、別のある人には無価値であることはままある。そしてその価値観は常に一定不変ではない。
それは物語にも言える。初見時が最良であるものもあれば、時を経て初めてその本質や魅力に気付くこともある。以前は共有出来なかった価値観が共有出来るようになることも・・・。
久しぶりにトップ2を見ていていろんなことを思い、感じた。当時と同じように「導入部の掴みはイマイチだな」と感じたり、エンディングやオープニングを完全に忘れ去っていたり、BGMの良さはさすが田中公平だな!とシミジミ感心したり、
こんなにもスゲェ話だったっけ?と記憶とは全く別の視点から感動したり。
ウチの常連さんでまさか「トップをねらえ!」を見たことがないという人はいないとは思うけど、案外トップ2はまだ見てないという人はいるのではないか。庵野監督ではないし、キャラクターも美樹本晴彦ではない。あまりにも「萌え路線」に乗りすぎていて、僕らくらいの世代だとむしろそこに引いてしまった人もいるかも知れない。
だがしかしだ!
トップ2は今の目で見ても、いや、むしろ空前のアニメブーム(少なくとも作品本数的にはそうだろう)の中から見た今だからこそ、その良さ、凄さが流れ込んでくる作品だった。
今でこそテレビ→DVDの流れは完全に確立されているが、当時はまだOVAオンリーの作品もあり、本作はそんな時代の最後の落とし種のような、宝石のような一粒だ。作画のクオリティはズバ抜けていて、音声や演出もテレビとは一線を画す出来になっている。一作目ほどのオーラや、「金銭的な物を含む切迫感」はないが、自分達のやりたいことを、才能がある者たちが集まって仕上げられたことに疑いの余地はない。何度も言うが、
オーラは一作目や、ヱヴァには及ばないが。
作監にはキルラキルのすしおや今石監督が参加しており、1話の絵コンテは樋口真嗣が、5話は摩砂雪が、4話、最終話の絵コンテは庵野監督が当たっている。キャラデザインは貞本義之で、音楽は前述の通り田中公平だ。
このメンツで悪い物が出来るわけがなかったのだ。
実際リリース当初はまだこのメンツの「重み」を僕自身知らなかったし、今でも特別詳しいつもりもない。だが、
全ては作品が物語る。
結果として有名著名になったクリエイターも、最初は新人からだ。
※まぁ宮崎駿監督や原恵一監督、もちろん庵野監督など、当初からめきめき実力を発揮しまくっていた連中はいるが。っていうか冷静になれば本作に携わったスタッフも決して若いわけではないが。
僕が知らなくても、そのクオリティが、感動が、その力を存分に感じさせてくれた。
※あと予算も。
キルラキルも素晴らしい作品だったとは思うが、グレンラガンは超えられなかったとも思う。グレンも最高の作品だったとは思うが、ヱヴァ破はそれを超えてきたとも思う。カリオストロが最高だと感じるのは僕らの世代の不文律ではあるが、実はパトレイバーTheMOVEIだってそんなに負けてない。いやいやそれを言うならジャイアントロボだって傑作だ。
そんな最高な作品に、本作を加え損ねていたことを、正直今僕は恥じている。
歳を取ったことを理由にする前から僕は結構涙もろい人間だった。映画館でも子供の前でも平気でティッシュを手に取り涙を拭うし、それを恥ずかしいとか照れくさいと思ったりはしない。トップ1を見るときはいつもラストシーンで涙がにじんでしまうが、それだって何度繰り返してもそれをかっこわるいとは思わない。
トップをねらえ2!、僕の涙はあごからしたたり落ちるほどだった。
ティッシュに手を伸ばすことも出来ない。瞬きすら惜しい。息を殺し画面の中の一言一言に、全身全霊を傾ける。ほおの上を涙が伝い、そしてその道の上に何度も何度も繰り返し流れていく。
別に悲しい物語ではない。安易な死によってお涙頂戴というわけでもないし、切なさで胸がはち切れそうというわけでも全然ない。ただただ感動し、ただただ涙が溢れてくる。
もしかしたらその涙は僕特有の物かも知れない。正直な話前述の(庵野絵コンテ今石作監の)4話ラストでも僕は涙を流してしまった。
単純にかっこよすぎて。
・・・
しかし最近の僕の忘れっぽさはひどい。もはやそれは病気やケガの一種なんじゃないかというほどだ。でも、既に見たことがある作品に対し、これほどまで素直に、ピュアに、自分の感情を爆発させることが出来るなら、
忘れっぽいこともまんざら悪くないかもと思った。
トップをねらえ2!2014年現在★★★★★!
しかし劇中で口ずさまれる「アクティブ・ハート」は良かったな。トップと言えばやっぱこれが一番しっくり来る。あと完全に忘れ去ってたけど、ニアの目はノノの目だったんだな。こういうのは忘れなくてもいい記憶だな。
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