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2014年6月16日 (月)

想い出の発売日

ゲームだけじゃなく、マンガ、プラモ、ガシャやトレカなど発売日というのは僕の人生とにおいての大きなイベントであった。というか、人によってはそれを全く意識せず、「欲しくなったら買う」というケースも多いことと思うが、こと僕に関しては、幼少期、席に座るどころか、ドアのすぐ向こうの立ち見、それも周りはほとんど大人ばかりという状況で見たカリオストロの城以来、少しでも確実さを増すように、策を弄するようになっていく。
正直今日の話の多くは、以前ブログでも書いたことがある気がするが、気にせず続けていく。
一番最初に僕が学んだのは、「その店の主人と仲良くなる」ということだ。友達がガンプラの「ゴッグ」を自慢げに僕に見せてくれた時、彼が口にしたのは、
「お金を見えるように手に持って、相手に絶対買うという意志が伝わる状態で、奥(バックヤード)に在庫がないか訊く」
まだ小学生、それも低学年でこの手際の良さはどうかと思うが、確かに相手からしてみたら僕らはただの子供。買いもしない相手に「商品を持っていること」を広くアピールするメリットはない。そんなことしたら、次から次へ問い合わせばかりに追われてしまい、まともに商売も出来なくなってしまっていただろう。当時のガンプラ熱は、
 ぶっちゃけ妖怪ウォッチとかメじゃねーから。
シャッターが開くと同時に、傭兵部隊よろしく匍匐前進で店内に侵入し、FBIかSWATかという面持ちで索敵。すぐさまターゲットを確保するその所作は、
 まさに、血に飢えた獣そのもの・・・。
それが、焦らずとも店長にコネクションを作ることで、事前に発売日を知り、ともすれば閉店後や開店前に裏口から売って貰うことすら出来たのだ。
 小学生低学年なのに。
まぁ自宅の3軒となりってことも大きかったとは思うけど。
※つかウチの町内は僕と同い年の男子が10人以上いたので、僕だけの特異性というわけでもなかったのだけど。
そんなこんなで2軒ある近所のガンプラ取扱店の主人と僕は、どんどん親密になっていく。目の前でGアーマーが買われて、涙で自分を見失っていたときも、
 「クリスくん、大丈夫だから、、、」
と小声で耳打ちされた日のこともよく覚えている。ヘタしたらその上級生が「オレが買ったヤツをオマエに2000円で売ってやってもイイよ」とダフ屋まがいのことを言われかねない状況。嬉しかった~。まぁ、そんな店主も、
 ビグザムを腐ったプラモと抱き合わせ販売したりもしたのだけどな。
想い出深いと言えば、エルメスの発売日も思い出深い。もう一店の店長に発売日を事前に伝え、「エルメスだからね!」とメモまで渡した当日の朝。みんながパンチラに群がるカメラ小僧のごとく店内になだれ込むのを、僕はゆったりとした菩薩マスクで見ていた。ひとしきり喧噪が終わったあと、サラリとした表情で店長が言う。
 「エルメスはなかったよ」
 「!!!!?????えぇ?」
 「そ、そんなバカな!だって、さっきあの子が手に持って、、、あーーーーー『ララア・スン専用モビルアーマー』って書いてあるーーーー!!!??」
泣いたね。久々に。直前までエルメスで進んでいたのは、大人になってヤフオクに「エルメスと書かれたパッケージのエルメス」が出品されていたことでも確かだ。ホントに土壇場でちゃぶ台がひっくり返ったのだろう。僕の長いガンプラ人生の中で、一番ショックだったのがその「ララア・スン専用モビルアーマー」の発売日だったと言っても過言じゃあない。
ガンプラで築き上げたコネクションは、そのまま時代が家庭用ゲームに移り変わっていっても続いていく。僕がファミコンを買って貰ったのは、発売日ではないものの、1984年エキサイトバイク、ゼビウスと一緒にだった。当時は今以上にゲームは「高級な娯楽」で、特に発売日を意識するものではなかったが、それでもゼビウスは品薄で、「Xデー」の何日も前から、「この日に買って貰うから、絶対用意しておいて!」ってお願いしていた覚えがある。もしこの日この時僕がエキサイトバイクとゼビウスではなく、スカイデストロイヤーとポパイの英語教室を買って貰っていたとしたら、僕の人生は間違いなく今とは違ったものになっていただろう。いやホントの話。
僕は当時から裏切られるのが凄く嫌いだったので、情報収集は誰よりも綿密に行い、ゲームの発売日や、そのクオリティなどの分析にも余念がなかった。買うゲームはほぼ必ずと言っていいほど発売日に、その店で買った。とにかく、
 どうせ買うなら、早く買った方が得
この考え方は、まさに世界的品薄を引き起こすニンテンドーDSの時にも奏功することとなる。
唯一の汚点は、ロードランナーのハドソン&ブローダーバンドのペアが送る超大作!100画面の広大なマップ、戦略性の高いゲーム性、、、そう、
 バンゲリング・ベイだ。
 あれほど面白そうに見えて、実際「・・・」だったゲームは、過去に例を見ない。
それでも僕はハドソンが好きだったけどね。っていうか今見たらそれほど悪いゲームでもなかった気もするんだけどね。まぁあまりにも期待が大きすぎたということか。
そんなバンゲリングベイを中古屋30円くらいで売ってたの見たことがあるけど、「妥当」って思った記憶があるな。
日本中がゲームの発売日として意識したのは、間違いなくドラゴンクエストIIだろう。僕の記憶では、行列が出来たのも本作が初めてだったし、学校を休んで買いに行く生徒や、帰り道にヤンキーにカツアゲされたって話も本作からだった気がする。僕はと言えば普通に(超ダッシュで)学校から帰宅し、お金を持ってマッハでおもちゃ屋へ、、、。
 「おじさん、ある!?」
 「はい、コレ」
綺麗に包装された箱を見た瞬間、口には出さなかったけど、
 破るのに時間が掛かるじゃんか!裸でいいよ裸で!!
って思ったのを覚えている。
世間が行列で大騒ぎしているのを横目に、僕はドラクエIIIも同じように何のドラマもなく買った。そして思った。
 行列で買った方が楽しいんじゃね?
予約をして買うというのは、当然その日に確実に手に入れたいのであれば、全く間違いではない。もの凄くやりたいゲームで、それが一日でも手に入るのが遅れるというのは、、、まぁ今でもそうだが、「考えられない」ことだった。
だが、同時に僕は、「楽しいだろうこと」にもどん欲だった。テレビで並んでいるみんなは、どこか輝いて見えて、みんながその時間が来るのを今か今かとワクワクした顔で待ち望んでいる。
 そういうの、大事じゃね? 楽しそうじゃね?
僕はドラクエIVの予約をしないことに決め、時は過ぎていった。浪人時代か高三か、僕はいつもの店とは別の、隣町にある(今はもうなくなってしまった)エンゼルと言うおもちゃ屋が行きつけになっていた。店員とも凄く親しく、作ったプラモを飾って貰ったり、仕入れる予定のないガレージキットを取り寄せて貰ったりしていた。
発売一週間前、馴染みの店員に僕が言う。
 「ドラクエIV予約してないんだよね~」
 「はぁ!?ちょっとちょっとそれ大丈夫?言ってくれたら取っておいたのに、今じゃもう無理だよ!?」
 「そんなにヤバイの?当日どっかで並んで買おうかと思ってたんだけど・・・」
 「絶対無理だよ!あ~あ、クリスさんやっちゃったよ・・・(合掌)」
この時の僕の不安感は、もう言葉に出来ないほどだった。「それほどなの?」っていうかぶっちゃけ4に関しては、3までと比べてテンションは下がっていて、「絶対欲しい」けど「絶対遊びたい」わけではなくなっていた。AIとか章立てというシステムもピンとこなかったし、、、。でも買えないのは絶対困る。
僕はまた別の店で、気合いを入れて並ぶことを決める。つまり、
 一番最初に並ぶことを決める。
すなわち、
 前日から並ぶことを決める。
当日販売する本数が何本なのかもわからない状況で、列はどんどん伸びていく。中にはゲームボーイでテトリス対戦する者や、友達4人で雀卓を囲むものもいた。このワクワク感は、本当にかけがえが無く、開店後に店長に「箱もちょうだい!」とダンボールに「ドラゴンクエストIV」の文字が印刷された箱も貰って来た。
 気持ちよく帰宅し、すぐさま就寝。
後にも先にも発売初日にドラクエをプレイしなかったのは、4だけだったと思う。
ちなみに発売日には良い思い出ばかりではない。大抵のソフトはそうして「当日販売分」を用意している店がどこかしらにあったが、
 ドリームキャスト本体だけは、どこをどう探しても、当日買える店がなかった
あの時の僕の焦燥感。失意のどん底とはまさにそのことで、結局発売後7日くらいして何とか手に入れたときも、手に入った喜びよりも発売日に買えなかった悔しさの方が遙かに大きかったのよ強く覚えている。下手したら、「うぁ~んもうドリームキャストなんか、、、ドリームキャストなんか、、、いらないや~い!!」ってなもんである。
 いるけど。
その日を境に僕は、
 予約をしつつ並ぶようになる。
誰よりも早く予約を入れて、誰よりも早く並んで買う。もちろん中には予約出来ないものもあったが、そう言うときこそ常日頃の「並びのノウハウ」が活きる。Wiiの発売日のエピソードは、このブログでもかなり事細かに綴ったので、常連さんなら覚えている人もいらっしゃるかも知れない。
誰も来なくて寂しかったドラクエIXや、いつの間にか日本で一番行列が出来るタイトルは「DでもFでもない」モンハンになったのだなぁと感じた日。深夜のコンビニでそわそわしながら着荷を待ったFF7もいい思い出だし、ディアブロやファンタシースターユニバース、FF14など、オンラインゲーのサービス開始直後というのもとても趣深い。つか「全然繋がらねぇよ!」ってのはもはや死語になりつつあるのかも知れないけど。
いろんなものがネットやダウンロードで買えるようになって、昔のように並ばなきゃダメ!ってコンテンツは少なくなってきた。でも、
 やっぱり並ばないと買えないようなものを、「一番で並んで」買いたいな、と思ったりもする。
つまり僕は、
 妖怪ウォッチ2に結構なレベルで期待していたりするのだ。
今日妹の息子に初めて「妖怪メダル」を見せてもらったが、正直その作りはチャチそのもので、一切金属が使われていない、FRPにシールが貼られただけの物だ。こんなのが今日本中で完全枯渇してるかと思うと正直「はぁ」というため息混じりにもなろうというものだが、
 やっぱり内側に入らないとダメなんだろうな、とも思う。
雨の中並んだFF3の発売日、近くを通った人は一様に「何事!?」と僕らにいぶかしげな視線を送った。でも僕たちはみんな笑顔で、
※当時は転売なんてのもなかったから、並んでた人はほぼ全員「遊びたくて仕方ない」人ばかりだった。
 「ホント俺たちみんなバカだよね~」
 「だね~」
なんて話してたんだよ。
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欲しい物がとんと無くなってしまったと言う話を数日前にしたけど、それはつまり発売日が楽しみじゃなくなったってことなんだよな。モンハン4Gも、ゼルダやスマブラの新作も、さほど今の自分に語りかけては来ない。「買いはするだろう」でも、ワクワクを伴わない娯楽が果たして本当に好きだと言えるだろうか。っていうか、
 ダークソウルIIもテラリアのバーションアップも楽しみだったやんけ!
そう言えばそうだった。テヘペロな初夏の夕暮れ・・・(つか深夜だけど)。

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