タワーリングインフェルノ
これもnori君に勧められて見た映画だったが、、、
ぶっちゃけあんま面白くなかった。
先日見た007黄金銃を持つ男と同様に、全体的なテンポが古さを隠しきれず、ひとつひとつのシーンに意味を考えた時、果たしてこのカットはこれだけの尺が必要だったのか、そんなことはないだろうという自問自答を繰り返すこと何十回。ポール・ニューマンはかっこよかったが、スティーブ・マックィーンは別にニュートラルな視点で見てさほどというか全くピンと来なかった。「彼の時代」を経験していた人なら違うのかも知れないが、キャラクター的にも「有言実行実直頑固」なイメージ以外、「惹かれる要素」がさほど感じられず、その人間、役者の持つトルクというかエネルギーというかみたいなものも全然僕には流れ込んでこなかった。
炎の表現、すなわち「実際の炎」は、確かに凄く熱いはずで、それをこれでもかと見せる演出は、当時として最高級だったことに疑いの余地はないが、今の僕にある知識として、「あの状況下でエレベーターを頻繁に使う」という思考回路がそもそも理解出来なかったし、
※放映当時はそういう常識がなかったんだろうか、とも思う
いくら上空の風が強いからってあそこまで安易にヘリが落ちるのもどうかと思ったし、ずさんな施工にしたってコンクリで固められてるとか、いくらなんでもマンガだろ、と。
アップで映るキャストが無駄に多くて、それでいて大した掘り下げもなく感情移入などできようはずがない。特にあの「耳が聞こえない人」、なんだあれ?結構尺を取ったと思ったら中盤こともなげに救出されて、そっから先は子供だけ。その子供だってなんであの状況でヘッドフォン外さない?教育とか常識とかそんなレベルじゃないとってつけたような演出以外の何物でもない。
悪役の死に様にも(道連れがいたことも含め)あんなレベルじゃ溜飲は下がらないし、妙齢の女性が落ちて死ぬ意味も良くわからなかった。
・・・
人によって映画を見るときのポイントは異なると思う。ストーリー、脚本、映像演出、演技そのもの、ルックスそのものに惹かれる人もいるだろうし、音楽やテンポ、メリハリを重視する人もいるかも知れない。
僕のように、細かなリアリティを気にしたり、「自分の中の判断」を覆い尽くし、ごまかしきる「上手さ」を求めてしまう人間には、(本作が古いからと言う理由も大きいだろうけど)見ていてイラっとするシーンが多かったというのが正直なところかな。まぁある意味こないだのゴジラにも通じる感想。
評価は★くらい。全編通して「おお!」と思ったシーンはひとつもなかった。ただのひとつも。長いだけで、満足感もなく、疲労感だけが残った感じ。というか冷静に思い出してみれば、僕がかなり映画にハマって、テレビの放送も逐一チェックしていた頃でも、本作はなにげにスルーしてきた。それはとどのつまりこの映画の持つ「嗜好との乖離」が、本能的にそうさせていたのかも知れないなぁって思った。
あ、ひとつだけ良かった点もあった。
終盤エレベーターをヘリで釣って救出する場面。あの時中にいて、離脱を手伝った消防士が死ななくてホントよかった。あの時だけは「監督、ここでこの人殺すなよ、間違っても殺すなよ、殺しても何にもこっちに与えるプラスの印象なんてないからな」と願って、そして叶ったのがホッとした。そのくらいだな、よかったところは。
とりあえず誰にも見ることをオススメしないし、もし僕の感想に異論があるとしても、マックィーンのファンの意見は全く参考にならないし、「当時見てよかった」というのもあてにならない。最近のハリウッド大作が好きで、ミーハーな人が見てどうだったかって感想以外は、僕と並列に評価を比較することは出来ないかも知れないな。
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