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2014年9月19日 (金)

巨大生物の島

お袋に手伝って貰って大量に借りてきたDVD。主に一度見ていて楽しかった映画だが、中に一本、著しく古い、そしておぼろげな記憶に残る作品を借りてきた。

 「巨大生物の島」

監督も主演もわからない1965年の映画。たぶんカラーになって間もないであろう頃のSF映画だが、ひとりだけその名前がわかるスタッフがいる。

 レイ・ハリーハウゼン

つまりは彼の名前を見て借りる気になったという話。

彼の作品と言えば、シンドバッドシリーズ、新しいところでタイタンの戦いの印象が強かったので、本作に絡んでいたことは知らなかった。が、子供の頃(当然再放送ではあるが)見た記憶があったのも事実。

 もっとも、その記憶はほぼねつ造のような物であったが。
※今見て全く思い出せる部分がなかったので。あと、割とありがちなタイトルだし。

話は、ジュール・ベルヌ原作、海底2万マイルの続編である「神秘の島」の映画化である。あっちでのタイトルは「ミステリアスアイランド」。ふむ。正直こっちのが雰囲気が伝わろうという気もするが、当時の日本人のセンス、そしてハリーハウゼンのネームバリューからしたら、
※当時既にそこそこメジャーだった。
「ウリ」を氏の仕事、つまりストップモーションフィギュアを使った巨大生物にしたのも、無理からぬことというところだろう。

南北戦争時代、気球で脱出を試みた北軍の捕虜数名が、嵐の果てにたどり着いた謎の島。そこには巨大な生物が、、、みたいなうたい文句があったりもするのだけど、

 見る側のこちらには、既にある程度の覚悟が出来ている。

「覚悟」とはつまり、

・テンポが悪い
・特撮がチャチい
・特撮の箇所が非常に短い

この三つである。というか、特に一つ目と三つ目である。話の展開が遅かったり、間延びしたシーンが多かったりして、序盤特に眠気を誘う。そして、件のハリーハウゼンの造形は、実質4箇所ほどしか「見せ場」として出てこない。正直何回か眠くて、「もうこのまま見続けるのは人生の浪費でしかないのではなかろうか」と自問自答があったのも事実だし、このまま人に勧められるかと問われれば答えは、

 微妙

だったりもするのだが、これで「NO」ではないところはひとつのポイントとも言える。
決して面白くて楽しくて息つく暇もないという映画ではない。ではないのだが、、、

・マット画の前身とも言える「手書き感のある背景」と実写の合成が、時代を感じさせつつも非常に良い味を出している。

・絶海の孤島ではあるものの、エンターテイメントとして、ある意味過度な虚飾がなされた島の「密度感」は素晴らしく、ロビンソンクルーソーやハックルベリーのような、僕らが子供時代にワクワクしながら読んだ「木の上の秘密基地の作り方(ケイブンシャぽいやつ)」にも通じるサバイバル感、あまりにリアル過ぎない、いい意味で漫画チックなサバイバル感がとても居心地が良く、懐かしい。

 途中で二人の女性が加わるが、その二人に対する野郎どもの対応が、非常にフェミニストでありモラリストであり、むしろ「こちらの心が汚れていることを感じてしまう」ほどキレイ。

・そして、その女性の若い子の方が、「結構なお色気担当」。パンチラ&胸チラ(先っぽは見えません)であり、当時のヤングメンのハートを打ち抜く用意も出来てる的な「良さ」がある。

・後半出てくるもう一人の主人公のルックスも良く、一転して近代的な道具に、僕の心はイチコロ<日本語としておかしいけど。

・溶岩の表現が、「ほとんど泥水」というのもスゲェイカしてるし、どこか学芸会のような動きにも、新鮮さを感じる。つまり、

 古さも度を超すとかわいく見えてくる。

テンポの悪ささえガマンできれば、話としては決して悪くないし、「秘密基地感」「未知の島の冒険」「巨大生物」というキーワードに偽りはない。ニュートラルに今の自分の尺度で採点したら、そりゃどうしても低めになってしまうのは否めないけど、あえて、

 テンポの悪さを抜いたら、★★★くらい楽しめる作品だったかも、

としてみなさんにアピールしたいかな、というところかな。とりあえず40歳以下の人には、とてもじゃないけど素直には勧められないですけどね。

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