無重力を想像する
2作続けて無重力が登場する映画を見て、思うところがあったので、軽く書いてみる。いつも通り無担保無根拠無検証。気軽に行く。
無重力というのは、「重力」がないということである。つまり、「重さが一切ない」。エンダーのゲームでは序盤、「地球と同じ重力がある部屋」から、壁すら隔てずに、「完全な無重力の広間」に入る。その際主人公の下半身はふわりと浮かび、ほぼ水平な状態になって手すりを掴むだけの状態になる。
そうなるのかな
一歩踏み出した瞬間、重力が「有」から「無」になるという状況を、映像で作った作品は、僕の記憶にない。なので、「その境目」で体がどんな挙動をするのかも、実は本作が初めてであり、ある意味新鮮であったわけだが、
一歩踏み出す時に、太ももを上に上げるベクトルが、無重力ルーム(以下ルーム)に入ったあとも残っていて、そのまま下半身を持ち上げたのか、
と思った。というか、最初は、
完全に無重力であるならば、下半身が上がること自体おかしなことのような気がした。
ただ落ちず、ただ前に進む、、、っていうか「前」とは!?
人間が歩く時は、当たり前の話「重力前提」で筋肉を動かし、接する面には反力が存在する。しかし、無重力では、その反力がなくなる=力をかける側の一方通行になり、、、いやいやむしろ反力が大きくなって、ジャンプしてしまう!?
でも水平状態で止まるのはなぜなんだ!?
手すりを持った指の握力に対し、踏み出した一歩のベクトルが「そこで留まる」くらいのバランスだったんだろうか。彼の体重は、体格から判断するに30~40kgほどだろう。その体重を二本の足で支えていて、一歩踏み出したとしたなら、重さにして結構なベクトルが発生したのではないか。手を支点にして体は真上までクルリと反転してもおかしくない!?軽く手を添えただけではその衝撃に耐えられなくて、離れて、、、
宇宙物理学とかに詳しい人とかだったらこの答えがわかるんだろうか。
腕を曲げてから伸ばし、手すりを離すと、エンダーの体はゆっくりと回転しながら飛んでいく。左右の手を離すときの「わずかなタイミングのズレ」が彼の体を回転させたのか。
両手を壁に付いて、それを押した場合、もし重力がある世界であれば、体は当然のように倒れる。足下は(後ずさりしなければ)位置を変えず、「倒れる」動きになる。
これがもし無重力であるなら、例えば上半身の位置で壁を押した場合、
1.体は回転する
2.体はその角度を変えず、そのまま壁から水平移動で離れる
重力のあるイメージから考えると、なんとも「1」が正解のような気がする。ただゼログラビティでも、ジェットパックのようなもので姿勢制御する際は、必ず一箇所からではなく、その反対からも噴射がなされていたように思う。つまり、
回転させるためには、壁を手で押しつつ、かかとの方向にも力をかけなければ(壁を蹴るなどして)、体は回転しない、、、のではないか。
手が触れていた壁と、その手との間にだけ力が発生しているわけだから、それに触れているもの全てが、「そのままの形で」移動するのではないか。
※手のひらがまっすぐに壁を押した場合ね。
そして同時に、その宇宙船も彼の力によって、反対方向に移動するのではないか。
「宇宙は無重力」であり、あくまで「ルームは無重力が作られているだけ」のものであろうから、この場合に宇宙船ごと移動するという発想はないが、
例えば宇宙でスペースシャトルを「押した場合」、シャトルは動かず、自分だけがシャトルから離れていくんだろうか。
無重力なのに!?
それがゼログラビティの演出上一番にして唯一気になったところ。
マットとヒモ一本で繋がれたライアン。「切り離さなければ君も流されて、二人とも助からない」。だからマットは自らロックをはずし、宇宙の彼方へと飛ばされてしまう。
何が彼を飛ばしたのか。
ジェットパックが噴出してるわけでもないし、シャトルが航行中というわけでもない。あるとすれば地球の重力だが、その前後の演出を見る限り、特に「体に負荷が掛かるような重力」は表現されていなかったはずだ。
ヒモに力をかけ、引っ張るだけで、マットはライアン側、つまりシャトルのある安全な方向へ移動したのではないか。先の話を持ち出すなら、「マットが来なくてもシャトルがマット側に」移動したのではないか。
無重力では勢いを止めるものがないという。だから一回回転しだしたらそれは回転しっぱなしだし、もし回転以外の方向に力が掛かってなければ、その場から動かずに回転しっぱなしということになる。逆に、(動力は僕にはわからないが)加速をし続ければ、その勢いは留まるところを知らず、どんどん速くなっていく。
、、、これは、例えば時速30kmで移動してる状態を時速40kmまで加速したら、どんどん50km、60kmと速くなっていくってこと?それとも40kmのまま、永遠に移動するってこと!?
以前見たはやぶさの映画にも、それに通じる、「もっとずっとリアルな」話があったけど、残念ながらよく覚えていない。っていうか、
無重力についての授業は、少なくとも僕は学校で習ってない。
習ったのは「宇宙は無重力」という言葉だけで、「無重力とは何か」は、意外と僕以外の人も知らない人のが多いんじゃないか。つまり何が言いたいかというと、
映画はまだ「本当の無重力」を全く再現しきれてないのではないか。
当然と言えば当然の話。でも面白いのは、ゼログラビティを見て僕(もしくは僕ら)は、明らかに「リアリティを感じた」ってことなんだよな。
本当に無重力みたい、と。
知りもしないくせに。
まぁ多少は実際のシャトル内の映像等で「記憶にすり込まれた無重力」があるから、それにすりあわせるようにして「リアルを構築」してるのかも知れないけど、
実際行ってみないことには、本当の無重力とか、わかんねぇよな
と思った。
まぁ水とか血とかゲロとか火とかが無重力でどういう動きになるのかってのは、既にかなり精度の高い見本があって、それに則ってるんだろうけどさ。
・・・
無重力になると、いろんなものが「フワッと」浮かぶ演出が入るじゃん?あれって、例えば机の上に置いてあった物が、机との重力の絆が断たれる瞬間に力が掛かってるから「浮かぶ」のかね。だったら「机の上に再度そっと置くように設置する」と、そこから動かなくなりそうな気がするんだけど、意外と宇宙船の中には物がフワフワと浮かび続けてる印象がある。っていうか、
なんで「中空に」フワフワと浮かび続けてるんだ!?
もし力が掛かっていたのなら、それが極々わずかなものであっても、まっすぐにそのものは反対の壁まで、
※机の上のライターならば天井まで
飛んでいってぶつかってしまうんじゃないのか?
僕がこれまで宇宙に関して特別興味を抱いてなかった分、無知なだけなのかも知れないけど、宇宙でコマとかヨーヨーとかをやったときってのは、、、
意外、、、でもないけど、割と普通に地上でやるのと変わらない。
強いて言えば回転を弱める力が働かない分、「回り続ける」。そんなことを思いつつ、ネットで今僕の疑問に対する明確な答えを見つけました。
重力が全く働かない「無重力の空間」などない。
のだそうです。これを見た僕の感想。
だよな。
なんだかいろいろスッキリしました。
※特に映画などの創造物中の演出に関して。
でも「無重力の空間を作ることが不可能」かどうかは、わかりません。厳密に「100%」にすることは不可能でも、99.9999みたいなことは出来そうな気もするし、そういう状況下なら状況下で、先に挙げたような「回転」や「フワッと」の謎というか、僕の勝手なイメージの正解(もしくは正解に近い何か)が見えたりもするのかなって思ったりもしましたよ。
やっぱり完全な無重力なら、「机に押しつけたライター」は、そこから動かないような気がするなぁ。
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