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2015年8月13日 (木)

夢から出た想像

教室に閉じ込められて、水が入ってくるような夢を見た。まぁ寝てるときの夢などというものは、基本荒唐無稽であるわけなのだけど、たぶんイントゥザストームの影響だと思われる。

続きを見ようとも思ったが、時間的に厳しく、その場は終了。つかホントはどういう夢だったのか、正直言うと曖昧だったりする。

ただ、シチュエーションとして、「教室という閉鎖空間に閉じ込められる」というのは、ちょっと面白いと思った。漂流教室をより狭くしたようなものではあるが、僕は漂流教室を最初から最後まで読んだことがないので、実際どうなのかはわからない。

漠然と細部を詰めてみる。

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学年は中学3年。クラスは43人くらい。教室の外は「闇」で、教室の中の電気は「なぜか点いている」。いきなり大きな音がしたかと思ったら、全員が気を失い、まずは自分から目覚めた、という状況。

 根拠も担保もないが、もし自分が「映画を撮りたい」と思うとしたら、こういう想像や妄想をカメラに収めてみたいと思うところからなのかな、とふと思う。

とりあえずみんなを起こし、今がどういう状況なのか考える。教室の出入り口の引き戸は開いていて、校舎側の窓ガラスも季節柄開いている。だが、その外は、

 唐突に闇

で、真っ暗。教室から漏れる光が廊下を照らすこともなく、その先がどうなっているか、こちら側からは何も分からない。

僕らの中三の頃と想定する上では、クラスメートに携帯やスマホを持っている人間はいないが、持っていて「圏外」になっている方が、そのスマホを使って何か出来るかも知れないから、時代は現代の方が面白いかも知れない。

重力は普通にあり、みんな立って歩くことが出来る時点で、この場所が宇宙ではないと想定するが、突飛な飛躍として「地球とは別の惑星かも」と言い出すヤツが出てくる。

教室にある電話の受話器を上げても、当然職員室で出る様子はない。というか発信音も聞こえない。

 食べ物もトイレもないこの闇に包まれた教室で、まず何が出来るか。何をすべきか。

一番最初に考えるのは、「この外がどうなっているか」だ。そう言いながら廊下に一歩踏み出そうとする友人を僕が制する。

 どうなってるかわからないんだぞ!?

「廊下」になる地面があるのか、「生物が存在しうる空間」があるのかもわからない。手をかざしただけで、

 教室から出た部分が消滅してしまうかも知れない。

この教室の外に「何があるか」「何もないのか」はわからないのだ。

まずほうきを使って、廊下側の床を叩こうとしてみる。ほうきを出した後、一回元に戻してみる。

 ほうきの先はあるのか。床は叩けるのか。

ほうきは無事。だが教室と廊下の境目の闇は、まるで黒く染まったバケツに入れるように、全く先が見えなくなる。ひっぱっても「すすけたり」はしていないし、特に熱くも冷たくもない。

床は感触として確かにある。が、「音がしない」。思いっきり振り下ろしても、音もなくほうきはある角度で止まる。跳ねるような挙動もなく、衝撃全てが地面に吸い寄せられるような感覚。あきらかにいつもの廊下とは違う。

 何か投げてみよう。

友人の一人が言うやいなや、消しゴムを「廊下だったところ」に向けて思いっきり投げつけてみる。廊下の向こう側の窓が開いていたかどうかは覚えていないが、角度的に「壁があったであろう場所」に向けて投げてみた。もしそこに「そのままの形で廊下があるなら」消しゴムは跳ね返るはず。もちろん角度が合わなければ「教室に跳ね戻ってくる」ことはないが、こういうのは割と投げた時に手応えみたいなものがあるもんだ。

 消しゴムはスッと闇に溶けるように消え、それっきり。

じゃこっちはどうだろうと、校庭側の窓に向かって、今度は少し大きな定規を、ブーメランのように僕が投げてみることにした。

 風切り音が教室の中から外に出た瞬間に「フッ」と途絶える。

「ヒュンヒュン」と教室の中では聞こえていた音が、闇に飲まれた瞬間に消えた。

・・・オレ、しょんべん行きたくなった。

男友達の一人が言う。教室にはトイレはない。食料がないことも大きいが、目の前にあるのは尿意だ。

 どっちにする?

 こっち。

校庭側を指さす友人。

 男子に囲いになってもらって、そいつが窓から立ちションをする。

もはやここまで来ると、みんなの想像は裏切られない。

 おしっこはそのまま闇に消えるだけ。

「すぐ飛び出したら、しょんべんまみれになるかもな」

冗談交じりに他の友人が言うが、誰も笑わない。根拠はないが、

 しょんべんまみれにならない気しかしない。

「いつまでこうしていてもしょうがない。誰か手を出してみる気があるヤツいる?」

委員長がみんなに訊く。誰も何も言わない。

「だったらオレが出してみる」

委員長自ら買って出て、廊下側の出入り口に近づいていく。

「もし何かに引っ張られたりしたらイヤだから、反対の手、しっかり持っていてくれ」

「何かって何だよ?」

「んなもん知るか」

クラスの半分ほどの人間が委員長の半身を引っ張りつつ、委員長がチョップするように、廊下の闇を切る。

横から見ていたら、まるで「黒い紙から手が生えている」かのような映像。

 手は何も問題なく、教室に戻ってくる。

安堵しつつ同時に詰め寄るみんな。

「どうだった!?」

「・・・よくわかんね」

急激に熱かったり冷たかったりすれば、その感覚は残るはずだし、何かに当たったり触れたりしてもわかるはず。わかったのは、「この闇の向こう側が存在する」ということ「その空間が意外と普通だということ」。逆にわからなかったのは、

 この闇って、厚さがあんのかね。

黒い霧のように見えたが、いざ手を出してみた時の状況を思い出すと、「霧のようなぼやけた状態はなかった」。「ゼロかイチか」。もしかしたら厚みは無いのかも知れない。

 ・・・覗いて、、、見る?

「オレ無理、絶対無理」「私も怖すぎる。誰かお願い」。みんながみんな口々に言う。委員長ですらも、

「さっきオレやったんだから今度は別のヤツやれよ」

と言う。クラスが騒然となった瞬間、部屋の電気が消え、世界が完全な闇に包まれる。

「うわっ!」「暗っ!」「電気は!?」「なんで消えたの!!」

一人残らず喚き散らしているように聞こえる。「一人残らず!?」。

 誰かが消した訳じゃないのか。

手探りで部屋の中を移動する。途中「キャッ」と女子の声がする。「わざとじゃねぇよ」「そんなのわかってるわよ!」

 スイッチのところに移動し、おそるおそるスイッチを探る。

「教室のスイッチって、下がオフで上がオンだよな?」

「たぶん」「そうだと思うけど・・・」

「スイッチ、全部オンなんだけど・・・」

教室から一切の声が止まる。光も音もない部屋。一瞬「僕一人になったんじゃないか」と不安な気持ちが襲ってきて、

 「オレ、居るぅぅぅ!!」

大声を出してしまう。でもみんなもその気持ちが伝わったのか、「わたしもいる!」「3年5組新井友之居る!」口々に声を張り上げる。

「全員居るか確認しよう」

委員長がみんなを制しつつ、点呼を取る。「1番、、」「2番、、、」「3番、、、」順に言っていくが、途中で声が止まる。「36番って、、、永井?」。「永井居ないの?」「ミキー!いないのぉ!?」

 「あ、ゴメン、ミキ、今日休みだった」

一気に空気が和む。「つかこんな日に学校休むなんて、どんだけラッキーなんだよ」。友達の一人が本気7割の声で言う。

 「あ、でもそれ、ホントにラッキーかどうかなんて、わかんねぇんじゃね?」

そうなのだ。今のこの世界が「本当にここだけ別」なのか「ここだけ残ってる」のかは、誰にも分からない。「幸か不幸かわからない」のだ。

 「でもいざここまで暗いと、エッチなことしたいとか思わないもんだな」

なんだか急に素になって僕が言う。「サイテー」「今言う!?」女子から非難を浴びつつ、

 「でも手とか繋ぎたいって思ってるの、ワタシだけ?」

クラスの中のかわいい方から数えて一人目(オレ基準)の高橋が言う。でも僕の学校の中三は、ここで「だったらオレが繋ぐ!」とはならない。田舎はそんなもんなのだ。

 「みんなで繋ごう!」

上手く行けば僕が高橋と手を繋ぐことも出来るかも知れない。幸いにしてさっきの声は近くから聞こえたし。

 暗闇の中、ひとりひとり手を繋いで輪になる。

「明るかったらウチら間抜けだよね」

「明るくないから間抜けじゃない!」

「そりゃそうだ!間抜けじゃない!っていうか心強い!」

「うんうん」

「吊り橋効果って言われてもしょうがない。ちょっと隣の男子好きになりかけてるもん」

暗闇の中で、みんなの空気が少しだけ穏やかになるのが分かる。

でもいつまでもこうしているわけにはいかない。

 「オレ、出てみるわ」

思わず口にする。「でも手は繋いでてね」。

「わかった」

高橋の声がした。

机や椅子にぶつかりながら、教壇側の出入り口まで移動して、大きく息を吸う。

「もしオレが出て、すぐ戻ってこなかったら、思いっきり手を引っ張ってくれる?」

「OK」

「じゃあ行くよ!そりゃ!!」

廊下へ両足でジャンプする。

・・・

教室に僕が廊下に着地した音は聞こえてない。僕にも「僕が着地した音」は聞こえなかった。でも足は確かに地面に付いている。ゴムのような感じがするのは、単純に音がしなかったからなのか、はたまた別の理由か。

我に返って繋いでいた右手を思い出し、反射的にそちらに目を向けるが、真っ暗で何も見えない。手どころか「自分が掛けているメガネすら見えない」。そして、、、

 手の感覚が急速に無くなっていくのがわかる。

引っ張って!大声で叫んだつもりが、僕の耳にすら聞こえない。

 ヤバイ、、、

でも変に冷静な自分もいる。

ヤバイんだけど、怖くない。手だけじゃなく、体中の感覚が薄れていく、、、

・・・

いつもの僕なら、「これは夢だから」とほっぺをつねることにしている。夢ならほっぺをつねっても痛くないから、それが夢だってわかる。でも今日は手に力が入らない。

・・・場面一転

「こちらが、本日集団食中毒で、クラス全員の死亡という大惨劇のあった学校です」

「たまたま熱中症で学校を休んでいた永井美紀さんにお話を聞いて、、、」

・・・

三途の川って、あんななのかも知れない。

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つまんなかったらゴメン。怖くなっちゃったらゴメン。まぁ「妄想を広げていったらちょっと楽しかった」って話ですよ?

これは蛇足承知で書くことなのだけど、このネタって、完全に「出たとこ勝負」で書いたのね。だから、

 結末は最後の最後まで僕も知らなかったわけ。

そう言う意味では、中盤の状況に「みんな死んでるんじゃね?」って「読み」を差す余地がなかったと思う。もちろん「これ、結末考えてねぇだろ」って読みは大アタリなんだけど。

つか僕が物書きの素人だからか、結論は「夢か殺すか」しか思い浮かばないんだよな。「これからどうしよう・・・」みたいな、投げっぱなしで終わってしまってもいいっちゃいいんだけど、
※便所のラクガキみたいなブログだし。
とりあえずケリは付けた方がいいよなって思ってこうしてみた。

ただ、先日親父が他界してる身としては、「生気がなくなっていく感じ」ってのは、確かにあるな、とは思うんだよね。だから、ある面ではリアルな話かな、とも思ったりもする。そういう感じが伝われば嬉しいな、とも思うけど、まぁ伝わらないだろうな。素人だから。

追記。娘と友達一人に読んで貰って「普通に面白かったよ」「一気に最後まで楽しく読んだ」って言われて、ニンマリ。常にそうじゃないけど、自分が満足できた物を褒めて貰うのは、やっぱ嬉しい。▲▲▲▲。久々。

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