ジュピター
つっても平原綾香の歌ではなく、小松左京原作の邦画でもない。ちなみにそれは「さよならジュピター」。
2015年くらいに公開された、チャニング・テイタム主演のSF映画。
それ以外の知識をスッカリ忘れ去っていたが、
いやいやどうして、なかなかになかなかな作品だった。
たぶん世間の評価は高いモンじゃないんだろうなと思う。事実僕自信本作のことをほとんど知らなかったし、借りた理由すらもよく覚えてない。何となくチャニングテイタムだからって程度だったかも知れない。
だがしかし、本作は僕のそんな低調な期待感をそこそこイイ感じに払拭してくれる、
非常に贅沢な映画だった。
一言で言って、SFXの質が「異様」。これほどまでビッグバジェットな映画だとは夢にも思わなかったし、ここまで凄い絵作りをする人がポッといきなり出てくるとも想像だにしてなかった。
今調べてビックリ。だってこれ、ウォシャウスキー兄弟だったんだもの。
なんかもういろんな意味で合点がいった。宇宙船や小型艇のデザインから、いろんな小道具のエフェクト、物語の不鮮明さから、主人公(というか実際はヒロインが主人公だから、テイタムはメインキャストというところなのだけど)の耳が尖ってるところまで、
確かにウォシャウスキー節だ。
でもって、「マトリックスの3が好きな自分にも向いていた」。
100億円以上掛けて作られて、北米だけでは回収できず、でも海外での受けはかなりよかったというのも分かる感じだし、「マトリックスを期待したら裏切られる」という批評家のコメントもわかる。ぶっちゃけ話に新鮮みや意外性はさしてないし、頼みのエフェクト関連も「これでもか」と高密度ハイバリューで畳みかけては来るものの、驚きや衝撃という点では弱い。
でもとことん贅沢。
テイタムが履いていた「無重力ブーツ」は、一見あっさりと空を飛んで見せているが、その実十分面倒で凄いことをやっているのが、「我に返ると」凄くわかるし、地球より進んだ文明の惑星や宇宙船、船内のデザイン関連も「過度に」情報量が多く、ここまでごちゃごちゃにさせなくていいだろうと言いたくなるレベル、、、だったが、
それが本作の味であり、魅力であると理解してからは、十分それを楽しむことが出来た。
特に監督が誰かもわからず見てたからなおのことニュートラルに評価出来たし、見ていて思ったことはとにかく、
なんでこんなにお金掛かってるのに僕はこの映画のこと知らなかったんだろ
やっぱテイタムの特殊メイク
※ライカンスロープ:狼男っぽい半獣人
と、ヒロインが全くかわいくないこと、話がさほど面白くないことが原因なんだろうな~
みたいな。そう、本作はとにかく出演してるキャストの魅力が弱い。テイタムもなんか「一言で言ってカッコ悪いメイク」をされてしまっているし、役柄にはフィットしているものの、単純に魅力という点で、少なくとも僕には訴求しないルックスのヒロイン。ある意味「トータルリコール」のコリン・ファレル並に魅力のない主人公に、ケイト・ベッキンセールの足元にも及ばないヒロインと、面白みのない話で紡いだSFって感じ。
なんか全然褒めてないというか、けなしてるようにしか見えないかも知れないが、
絵的には全然OK。っていうか、
ゲームのデモシーンでこのレベルのを見せてくれたら、もうそれだけでそのゲームの満足感が一枚上がるレベル。
ある意味ゲーム的映像でもあったけど、なんつんだろ、上手く言えないけど、
見て損したとか全く思わない映画ではあった。
っていうかトータルリコールも僕の中での魅力の大部分はインダストリアルデザイン、世界観であって、
※あとはケイト・ベッキンセールのいい意味での怖さ。
その点まんざら負けてない。
いつもヒールのショーン・ビーンがちょっとイイ感じの役だったり、回りくどい「お家争い」みたいな設定でもちゃんとキャラが立っててすんなり受け入れられたり、「地球の価値」とかもわかんなくもなかったし、ヒロインがそこまでおバカじゃなかったこともよかった。
ホント全然よかったと思う。
クリス評価は★★★。っていうか、これだけマイナス
※主人公とヒロインのルックスの悪さ
があるにも関わらず、6点って、、、
相当に高いと思う。
いや確かに「面白い」映画ではなかった。楽しくもなかったし、大笑いしたり感動したりもゼロだったけど、
結構な時間ウットリしてた。
「このシーンスゲェお金掛かってんな~」とか「贅沢にデザイン浪費しやがって」とか。
だから見ていて、「ことによったらスターウォーズ並の映画になったかも知れない作りだな」って思ったし、相当に才能がある人が作ってるのもわかった。
※実際そうだったわけだし。
だから、あくまで見る人は、それを踏まえて見て欲しい。スタートレックほど人物が魅力的じゃないけど、スタートレック以上のSFXを見せてくれるし、スターウォーズエピソードIVやVIIほどセンスのあるインダストリアルデザインではないけど、下から数えた方が早いってほどダサくもない。生身で宇宙に放り出されてもすぐには死なないとか、「このシーンどうやって助け出したのかスッポリ抜け落ちてるよな?」ってところがあったりしつつも、
かなりテンポよく蛇足を省いた形で「オカズばっかりを食べさせてくれた」感じ。
映画を料理に例えるとするなら、とにかく肉料理は素材も品数も十分過ぎるほど出してくれたけど、朝食からそれってどうなの?みたいな?え?デザートがハンバーグ?みたいな?そんな映画だったな。っていうか僕の中ではマトリックス3もそんな映画だったからな。
いきなりそれから見せられた、そんな感じに近いわ。
つか僕はそんな3が好きだったからな。
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