僕だけがいない街
話題の映画ではなく、原作のマンガの方。買おうか買うまいか思案してた最中、かみさんが友達から借りてきていたので、横から拝借。何巻まで出ているかわからないが、一応7巻まで読んだ。
ゲームと違い、マンガやアニメ、映画の感想は、双方向でない分「分量」を増やしにくいが、本作にもそれは言える。
「面白かった」
と一言言えばそれで済むと言えば済んでしまうわけで、特に本作のように話に魅力のある作品の場合は、それだと全くニュアンスが伝わらない。同じ面白いでも、笑う面白さもあればヒリヒリとした緊張感を楽しむものもあるし、感動するものもあれば、努力友情勝利でスカッとした爽快感を味わえるものもあるわけで。
あらすじとしては、
「なぜか」近未来に起こる生死に関わるトラブル(自分とは無関係なものに限る)を、時折察知し、数分前にタイムスリップすることが出来てしまう主人公サトル(29歳売れない漫画家)は、その能力によってついつい人助けをしてしまい、結果自分自身には何も得がないという人生を送っていた。しかしある日自分に関わる大切な人がトラブルに巻き込まれ、それを回避すべく強く念じたところ、いつもの数分前ではなく、「自分が小五の頃」に、今の記憶のままタイムスリップしてしまう。
これが概ね1巻の内容。
1巻だけは以前AMAZONの無料だかで読んだ記憶があり、
※たぶんまだ1、2冊しか刊行されてなかった頃
面白い漫画だなぁ
と思った覚えがあり、だからこそ買おうか買うまいかと思ったわけだけど、後に伊集院もラジオで絶賛しており、「まぁ面白いのだろうな、」と。
ジャンルとしては、真犯人が見えないという点でミステリーに属する。「大きなトラブル」を未然に防ぐために小五の頃に飛ばされたというのなら、そこで何が出来るか、何をすべきかを大人の脳で考える主人公。周囲の友達や家族もとても個性的かつ魅力的で、過去に飛んでからは(飛んでるというかそっちに行きっぱなしかも知れないのだけど)、そういう能力が発揮されることはなくなるが、その分周囲の描写がとても丁寧な分、ジュブナイルモノとして僕好みのテイストに仕上がっている。
作者三部けい(さんべけい)の絵のタッチは、「うしおととら」の藤田和日郎をを思わせる表情が印象的で、正直特別絵が上手いタイプではないと思う。作品内容的にも藤田のモノとはかなり違う分、迫力のある絵作りというより、話で読ませるベクトルを磨いており、ジョジョの荒木飛呂彦のチーフアシスタントだったと言われても、特にそのタッチに引っ張られてるということもない。
作品は冒頭に書いたように実写映画化されたが、その前にアニメ化もされており、現在絶賛継続中。つっても原作も完結してないのにアニメが完結するわけもなく、変なところで尻切れにならなきゃいいけどなって感じ。
あらすじを読んでわかったと思うけど、本作はSF要素も色濃く入っていて、読み進めれば進めるほどその展開はアクロバティックに転がっていく。読み手を飽きさせないメリハリと、時折挟まれる柔らかな笑いや友情、ほのかな恋心も含め、とても読みやすい作品になっている。ただ、
ぶっちゃけ4巻で読み終えても良かったかな、とは思った。
もちろん全ての謎が明かされるわけではないのだが、話の節目として「章変わり」を感じさせるポイントが4巻終了であり、
次はまた話が節目を迎えるところまで刊行されてからでもよかったかな、と。
もっとも今の僕の記憶力では、その頃には4巻までのことすら完全に忘れ去ってるのは明白だし、そもそも「読んだはずの1巻」の記憶すら、「ほぼ初めて読む」みたいな感じだったりもしたから、まぁ何が正解か不正解かもよくわからないと言えば分からないのだけどさ。
ともかく、
7巻までのクリスの評価は★★★☆。普通に面白かったが、特に(さっきも書いたような)ジュブナイルテイストが濃い作品だったのが予想に反して良かった。
少年探偵団のリーダーが、29歳の思考回路を持っていたとしたら、、、、
そんな感じのイメージから入るのもイイかも知れない。
最後に少しだけネタバレを書く。と言ってもストーリーに絡むことではなく、単純にとあるワンシーン、主人公の友人が主人公に投げかける言葉が、とてもかっこよかったという話。
~~~
「正義の味方」ってさ、、、
結果が出たからなれるってモンじゃないよ
お前はもうなってる
~~~
かっこえええええ!!!こういう言葉に胸を打たれちゃうんだよな。つかこれだけ書き出すと「20世紀少年」みたいに見えなくもないけど、まぁそれもあながち間違いじゃないと言えば間違いじゃないかもな。
最後に一行だけ強烈なネタバレ。読んでない人は絶対読まないように!※反転
「先生が途中で一回だけ心の言葉を吐露する場面があるじゃん?アレは卑怯だと思った。アレ出しちゃうと読んでる方は先生を犯人から外しちゃうよね。ずっと怪しいと疑ってたけど」
| 固定リンク
コメント