マイ・インターン
「ツタヤクラブの表紙にハズレなし」そんなことを思いつつ、予告に「悪くない」印象を抱き、友人が「面白かったですよ」と後押しをしてくれた、ロバート・デ・ニーロ、アン・ハサウェイ主演のヒューマンドラマ。
「ヒューマンドラマ」という表現は、得てして「アカデミー賞に媚びている」印象を抱かせ兼ねないと思い好きではないのだけど、決してコメディでもノンフィクションでもないし、適切なジャンルが浮かばなかったのでこう書いた。
連れ合いに先立たれて3年。70歳になるベン(デ・ニーロ)は、定年までしっかりとした役職をマジメに勤め上げ、周囲からも信頼される男性。定年後にやろうと思っていたことを一通りこなしたが、どこか物足りない。そんな折り「シニア・インターン」の募集広告を見て面接を受けたのは、一気に急成長したアパレルのネット企業。社長のジュールズはまだ20代の女性だった。
こんな感じ。
トレーラは↓こちら
映画『マイ・インターン』予告編(120秒)【HD】2015年10月10日公開
https://www.youtube.com/watch?v=eMs-qYM_AeM
先日のフライトゲームの時、予告を見た段階で感じ取った「強烈なマイナスの溜めの気配」。しかしマイ・インターンには、
マイナスの気配が全くと言ってイイほどしなかった。
主人公ベンとヒロイン?であるジュールズの年齢差は、恋仲の可能性をバッサリ切ってくれるし、とにかくベンの人柄とルックス、特に表情が、
良すぎる。
デ・ニーロは、ゴッドファーザーを始め、有名な作品にいくつも出ている名優という印象があるが、僕自身は彼をスクリーンおよびモニターの中で見た記憶はない。完全に僕の好みとは別の映画の俳優という感じで、正直「名前で」この映画を見ようと思ったわけではない。アン・ハサウェイに関しても同じだ。
ただ、だからと言って彼らに魅力がないわけでは当然ない。
実質初めて見たデ・ニーロは、何ともかっこよく、優しく、頭がいいのに、気配りが出来て、凄く言葉を選ぶ。一言が重く、その上でウィットに富んでいる。彼みたいな人が上司だったら、確かに仕事は楽しくマジメに出来るだろうし、会社全体の雰囲気もより良くなっていくだろう。
序盤からそんな雰囲気がバンバン出てきて、めちゃめちゃ癒される。
そう、この映画は「癒し」がテーマと言っても過言ではない。
登場人物はみなしっかりキャラが立っていて、かつ善人。ほかに見知った顔としては、ついこないだ見た「ピッチパーフェクト」のヒールだった野郎(本作では気のいい同僚)と、会社のマッサージ師をしてた女性くらいで、変な先入観もなく見ることが出来た。
とにかく最近の映画(特にドラマ系)と来たら「いつマイナスの溜めが始まるのか」気が気じゃない心持ちで見ることも多いのだが、本作はベンのキャラクターの完成度があまりに高く、その心配も吹き飛んだ。
最初から最後まで気持ちよく楽しく見ることが出来た。
ラストもう一声という気もしないでもない終わりだったが、クリス評価は★★★☆。かなり8点に近い7点というところ。メリハリもあって、テンポも非常によく、
※「若い女社長」ゆえにとても早口で、そこがテンポの良さに拍車を掛けた
アンとデ・ニーロで撮れ高は十分。僕みたいに常日頃ドラマ系の洋画をほぼ見ない人でも十分楽しめる良作だったな。男性にも女性にもオススメ出来ると思う。
・・・
ネット見たら「ハートフルドラマ」と称されてた。なるほどさすが。監督ナンシー・マイヤーズは名前の通り女性で、他にも数作撮っているが、軽く調べただけだと、本作が彼女の代表作になったと言う感じ。次点人気の「ホリディ」が、ジュード・ロウとキャメロン・ディアスのハッピーエンドラブストーリーらしいので、覚えてたらまた借りてこようかなって感じ。
やっぱ嫌なヤツとかマイナスの溜めがなくても、映画は面白く楽しく出来るんだよ!と再確認させてくれたな。
以下ネタバレ感想。見てない人は読まないように。
繰り返し見たくなる場面が結構多い。映画を見た人がDVDやブルーレイを買う気持ちもわかる。名場面というのは、常にお金が掛かってるわけじゃない。
魅力的なキャストが、素敵なセリフを口にするシーンが名場面なんだよね。
一番好きなシーンは、ベンを移動させて、と言ったのに、ホントに移動させちゃって凄く後悔し、詫びるするシーン。みるみる彼に対する信頼と友情が増していく感じが最高にイイ。これは、スポ根で弱小チームがどんどん強くなっていく感じにも似てる楽しさ。直前の車を見つけた時のジュールズの表情も凄く好き。
ベンが判断したルートの方が早く着いた場面も好き。素直に謝れるとこがカッコイイし、お互いが相手を尊重しつつ結果が出てるのもイイ。
仲間達がどんどんベンを頼りにして、グータッチするのもイイ。魅力的な人間の周りに魅力的な仲間が集まっていく感じ。「そうでなくてはな」と思う。
ベンが常にジュールズに丁寧語を使うのもいい。僕を含め最近言葉遣いの悪い人が多いだけに、同僚とはため口で上司には丁寧語。その線引きがしっかりしてるのがかっこいいんだよ。
「ミッション」のシーンもイイ。新顔なはずなのにみんなを仕切るその言葉遣いには、往年のリーダーシップが発揮され、みんなも抵抗なく信頼してる。マスカット食うのもイイし、会議を中断させるのもイイ。何回もあると逆効果だけど、一回だけだから凄くいい感じにカンフルになってる。今見返しててもニヤリと出来る。
飲み過ぎたジュールズのセリフも凄くよかった。「なんであなたの言うことはいつも正しいの?」って。かっこええ!でもって認めてるのもステキだ。
デートでのお互いの告白もイイ。映画の中でもあまり年寄り同士の恋愛というのは好きじゃないのだけど、本作のソレは距離感が絶妙で、気持ち悪さがない。ラストシーンで同僚が正装してるのも、恋人が一緒にいるのも、ジュールズの方からベンの家に来るのもイイ。「そう言って欲しくてウチに来たんでしょう?」には超ニンマリ(^^。
二人ともが「この二人じゃなきゃダメ」って感じの最高のキャスティングだったな。
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コメント
こんちはクリス。
トレーラ観た。たしかに良さそうだ❗
投稿: nori | 2016年3月19日 (土) 11時59分
まぁ期待を抑えめに見れば問題ないと思う。というか、こういうのを「ツボ」というのだろうな。キャストや表情、セリフ、テンポなど、どこかが少しズレただけで、大きく僕の評価は変わった気がする。
投稿: クリス | 2016年3月22日 (火) 01時46分