アントマン
トータルすると面白かったってことになるけど、いろいろと難もある感じ。人によって評価が結構違うんじゃないかなぁって作品だった。
アントマン=蟻(あり)をモチーフにしたマーベルのスーパーヒーロー。予告からしてかなり滑稽というか、スーパーマンやアベンジャーズとは一線を画す「イロモノ感」溢れるヒーローで、印象としてはグリーンランタンとかキックアスみたいな感じだったが、
いやいやどうして、至って大まじめに作られたビッグバジェットな作品だった。
制作費一億3千万ドルはアイアンマンの一作目とほぼ同等で、
※ちなみに興収は5億2千万ドル。アイアンマンの5億85百万ドルには及ばないが、十分過ぎる数字だ
序盤こそ安っぽいスーツが出てきて「オイオイ」と思わせたが、
SFXのクオリティ、演出、メリハリと展開の良さは、全くアイアンマンに負けてない。
マーベルのプロデューサーがよっぽど優秀なのか、「売れるための方程式」ノウハウがしっかりとあるのか、
お金を掛けるべきところに、然るべき掛け方をすれば、マーベルヒーローは手堅くお金を稼いでくれる
ということを、しっかりと証明する内容だった。何つか、
上手い。そしてあざとい。
最初のテンションが著しく低いのは、まぁハリウッドの定番とも言えるけど、相変わらず親権を失ってる冴えなすぎる父親と、「パパ大好き」なかわいい女の子が出てきて、「昔の暮らしを取り戻したくはないか」みたいな展開。
見飽きたよ、と言いたくなるし、もっと素直にがんばらせられないのかよ、
とも思うが、まぁ無理なのだろう。正直最初の数分で「早送りした」りもしたが、結果大きく持ち直した。それは、
小さくなったときの映像表現が、あまりにも素晴らしかったから。
これはもう一つの「鉱脈」を見つけたかのような、「ここ、掘ってなかった!そう言えば!!」って感じの新鮮さとダイナミックさ。ただの水、ただの虫、ただのオモチャがこれほどまで強烈で愉快な映像になると言うのは、
さすがマーベル。さすがハリウッド。
ともすれば「超ミクロ」な世界というのは、「超マクロ」な世界に似てたりもするわけで、ある面だけ言えばスカーレット・ヨハンソンの「ルーシー」的な映像も見えたりもしたのだけど、
僕的にはちょっと前に見返した「インナースペース」「ミクロの決死圏」の最新版
という感じで、「しばらくずっと見ていたい」なんなら「繰り返しちゃおうかな?」って感じに楽しめた。
細かいところを言えば気になる点がないではないのだけど、
※悪者に捕まったときとか、博士が撃たれたときの対応など
絵的な満足感は極めて高かったと言えると思う。
しかし、
一方でダメなところも少なくない。まず、
主人公の性格が悪い。
「性悪ではない」のだけど、何つかヒーローが持っているべき責任感みたいなのが希薄で、言葉に重みがない。かといってトニーのようにウィットに富んでいるわけでもなく、
マーベルで残ってる性格:キャラクターが残り少ないってことなのかな
って思わせた。あと、
ヒロインであるホープと、仲間の1人ルイスの声優が悪い。
調べたら前者は内田有紀、後者はブラマヨ小杉だった。
ぶっちゃけ内田有紀は「内田有紀以外にもっと適任がいるでしょ!?」ってレベルの違和感に過ぎなかったが、小杉はひどすぎる。俳優であるマイケル・ペーニャは、作品数こそ少ないながらも印象に強く残る脇役で、
※ザ・シューター極大射程、世界戦略ロサンゼルス決戦しか見てないのに
とてもいい演技をしてくれる人なのに、
小杉の声が全く彼にフィットしてない。
何つか「体格と話題性だけで選んだだろ」って感じで、正直ここが最悪だった。「ジャックと天空の巨人」を思い出すレベルだったわ。
※過去僕が見た映画の中で最も吹き替えがダメだった作品。
また、博士の方も結構微妙。何つかこれもマーベルの「使ってないカード」が残り少ないのを感じさせる配役で、
全くかっこよくない上に頼りないのに、地味に偉そうでカチンと来る。
主人公がすねに傷持ってなかったら絶対言うこと聞かないだろうなって感じ。そしてそしてヒロインの娘もかなり魅力薄。っていうか魅力ゼロ。まかり間違えたら「おばさん」って感じで、顔のしわが多く、どうにもこうにもかわいくない。タンクトップ姿で組み手をするシーンなんて、本来ならサービスカットになりそうなもんなのに、
全く色気がない。
「LOST」でブレイクしたのか知らないけど、俳優陣で安心して見ることが出来たのは、ファルコン=アンソニー・マッキーくらいのもんだったな。つか彼も会話がほとんどなくて残念だったし。
・・・
そんなこんなで「良いところもあるけど悪いところも多い」というのがアントマンの感想。それでもクリス評価は「良いところを大きく見て」★★★。とにかく小さくなった世界の出来が良く、ラストのオチも
※人によってどこをオチだとするかは意見が分かれそうだけど
よかった。ネタバレ反転「キーホルダー」とかニヤリだったし。
ちなみにスタッフロールが始まってから、ワンカットおまけがあるので、今から見る人はお気をつけを。マーブル系の作品にはそういうの多いけどさ。
この結果なら続編も作られるだろうし、その為の伏線も張ってあった。まぁ映画館で見るつもりはないけど、見たら見たで楽しめる映像作品ではあったかな。
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