天国から来たチャンピオン
僕が小学生の頃見た洋画。記憶に残るのは、
面白かったということだけ。
その記憶がどれほど不確かで曖昧なことなのかは、ツタヤの店頭でパッケージを手にとって痛感させられた。
「チャンピオンって、ボクシングじゃないんだ・・・」
ボクシングどころか格闘技ですらない。時を経て検索したときに表示されたパッケージ写真、手にバンテージを巻く(ように見える)スウェットその姿が、ロッキーを彷彿とさせたからそう感じたのか。
1978年のアメリカ映画で、主人公ジョーは、スーパーボウルで優勝を争うチームのクォーターバック。しかし不慮の事故により、天国行きの駅へと連れて行かれてしまう。しかし、彼の死は確定しておらず、手違いがあったとして、別の「死にかけの体」大金持ちの体を与えられる。ジョーはスーパーボウルへの出場を諦められず、その体のまま練習に励み、見事チームに入ることに成功するのだが、、、
そもそもボクシングだと思い込んでいた映画が、アメフトだった時点で大概に大概なのだが、
面白かったという記憶に偽りはなかった。
とても古い映画なので、
※僕の記憶では小五くらいにテレビで見てたと思う。日本公開が79年だから、テレビ初公開だったかも知れない。まだ当時は「11時という深夜まで」起きていられることが少なかったが、本作はその話の面白さに引き込まれ、最後まで見ることが出来たのをよく覚えている。
映像的、音楽的、展開的にもっさりした感じ、野暮ったい感じは否めないが、それを差し引いても、
傑作は傑作だった!
監督脚本主演のウォーレン・ビューティは、名前以外一切記憶になく、ウィキペを読んでも見覚えのある出演作がない。テレビ公開当時声優は野沢那智だったが、DVDは字幕のみだったので英語音声。でも、
野沢那智の文字を見て、「ああそうだったそうだった」などと、見終わった直後に納得してしまうほど「野沢那智声」が似合う俳優だった。
※字幕だから聞こえてくるはずはないのに
交通事故で連れて行かれた「中継駅」にはコンコルドのような飛行機が止まっていて、本人は自分が死んだとは思わなかった。新米の手違いで「元の体に戻そう」としたときには時既に遅く、火葬されたあと。
ということで、別の「死にそうな体」を探して、そこに入る算段を立てるが、なかなかこれと言った「一体」が見つからない。そんな折り、大金持ちで少々悪いこともしていた大会社の社長が、「妻とその浮気相手の秘書」の手によって殺され掛けているところに出くわす。
「ここもダメだ」とパスしようとした矢先、その会社のせいで大規模な公害を被る村の女性教師ローガンが自宅を訪れ、ジョーは思わず彼女に心を奪われてしまう。
しかしクォーターバックとしてスーパーボウルに出演する夢を諦め切れず、これまでの会社の汚いやり方も全部一新。妻とも離婚し、ローガンに結婚したいと申し出るが、、、
・・・
展開的にはとても「バックトゥザフューチャー」に近い印象で、つまり「話が面白い」作品。別の人生でありつつも、記憶は完全に元のままで、でも周囲の人間はそれを怪しんだりはしない。その辺はこの作品の方向性で何ら問題なく、そもそも不仲で離婚しようとしてた妻が、「旦那の中身が変わったこと」などわかるわけもない。
ヒロインローガンのヘアスタイルは、爆発したような金髪アフロで、結構な抵抗があり、掛かる音楽も妙にユルいフランス映画のようで、正直違和感を禁じ得ない。でも、全体的なテンポは悪くないし、何より主人公の前向きで爽やかな性格が好印象で、
ついついがんばれ!と応援したくなる。
特に中盤会社の役員を集めての演説は素晴らしく、物語に引き込まれた。
特に好きなシーンは、1時間9分30秒、執事がお盆に乗せた飲み物を渡そうとした際、お盆を受け取り、飲み物を執事や従者に渡すところ。
惚れるわ。マジで。
※この時の執事の笑顔が特にイイ!
彼は決して高貴な生まれの紳士ではないが、人間として大切な判断力、モラル、実行力に優れた、紛れもないイケメン。
そりゃたくさんの女優さんたちにもモテまくるわけだよ
って感じ。
とにかく古い映画なので、近所のレンタル屋に無いかも知れないし、字幕なので吹き替えしか見れないという人にもオススメ出来ない。でも、もし僕と同じように昔見て「面白かった記憶だけがある」という人がいるなら、
きっと今見てもその気持ちは裏切られないと思う。
クリス評価は★★★☆かな。直前に見たピッチパーフェクト2なんて、これと比べたらクソ映画だわ。もちろん僕にとってだけどさ。
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