昔の映画をいくつか見た~その3~
経験値稼ぎの生産性は上がるが、時間経過の速度も上がってしまう。それはつまりは寿命までより早く到達してしまうことと同義であり、だがしかし何もせずただ浪費するよりは有意義とも言えるわけで、、、何が正解なのかは分からない。
そんなわけで今回も2本の映画の「リレビュー」をば。つかそれなりに楽しかった記憶のある作品について振り返るというのは、たとえ大筋を覚えていたとしても、
例え一言一句ほぼ全てのセリフを覚えていたとしても、
それはそれでなかなかに愉快なもんだ。
●デジャヴ
いやはや面白い。つかポーラ・パットンは本作が一番美人に撮れてるね。とにかくかわいいというか魅力的というか、
そりゃ好きになっちゃうでしょうよ、こんな美人の私生活ずっと見てたら。
アルコールタバコ管理局?その肩書きが分かりづらいのだけが難点というか、もどかしいところだったけど、
※最初からFBIとかCIAとかでいいじゃん、みたいな。麻薬捜査官でもスワットでもいいけど。
まぁそれがキーになって始まるからしょうがないんだけども。
以前見た時もその「絵作り」の新しさ、上手さに感心させられた気がするけど、コンピュータで再現した(ということに序盤なっていた)「過去」が、凄くそれっぽくて、なんか近未来のゲームみたいな感じ?
こういうゲームがあったらぜひ遊んでみたい、というか、サスペンスタッチのアドベンチャーゲームで作ろうとすれば今でも作れそう。
もちろん半径はかなり狭くなるだろうし、人物モデリングは当然「CG然」としたものだとは思うけど、昔ドリームキャストにあった「ルーマニア」みたいな?つか、あの「目」がなくても、普通のミステリーアドベンチャーでもデジャヴは面白そう。っていうか、
デジャってゲームがあったな~とか思った。あと、
デジャヴを本気で題材にしたゲームって面白そうだよな~って思った。そして、、
「それって、ムジュラの仮面じゃん」
ってことに気づいた。サスペンスでもミステリーでもないけど。つか今でもコレ系のゲームってあるんだろうな。シュタインズゲートとかもこういうゲームだったのかも。面白いアドベンチャーゲームがスゲェやりたくなってきたな~。
映画はトニー・スコットの最高傑作だと思います。★★★★!
今見ても普通に楽しい。あと爆発がかなり派手。でもってヒールがシュワ&スタの「大脱出」で最高のヒールを見せてくれたジェームズ・カヴィーゼルでちょっとビックリ。あの時のがオーラがあったとは思うけど。つかジェームズ・カヴィーゼルはトムに似すぎてるからあんまメジャーになれないのかね。仕上げ方次第で十分善玉のヒーローも出来ると思うんだけどな~。
こっから本題。
●ルパン三世 カリオストロの城
カリオストロというのは、いつの時代に見ても「傑作だなぁ」と思う掛け値無し本物の傑作だ。何度も書いているが、僕はこの映画を劇場でたしか3回見ている。テレビで初放送したときはまだビデオがなかったから、音声だけ録音して、何度も何度もそれを聞き、セリフのひとつひとつ、息づかいのひとつひとつまで覚えていった。愉快なのは、自分で車を運転するようになってから、おもむろにカーステレオで再生したそのテープを聞きながら、
同乗していた友人や、長男もまた、そのセリフを一緒に諳(そら)んじていたことだ。
正直今見るとルパンの顔を中心として、表情のデッサンが崩れているように見えてしまうところも多い。「アニメというよりマンガ」というDNAが色濃く出ていた時代を感じさせるが、良いか悪いかで言えば、良くはない。
一方動きのあるシーンの素晴らしさはそのマンガチックなデッサンが奏功し、今のアニメではほぼ見られなくなったコミカルにして躍動感の非常に高い「動き」を見ることが出来る。これは僕が思うにカリオストロの最大の魅力であり、古びない、時を経て見ても、懐古や思い入れだけじゃない「面白さ」を提供してくれる原動力になっていると思う。
しかし、本当にスゴイ作品だ。
当時僕はまだ小学一年くらいだったと思う。親戚のおじさんに連れて行って貰った映画は、当時東宝のゴジラや東映まんがまつりの長靴をはいた猫などで、豊橋の「みゆき座」という地下の小さな映画館で上映された本作を、「見に行きたいと思ったきっかけ」は、たぶんただ「アニメだったから」くらいの理由だったと思う。当時の僕は、特撮とアニメなら「何でもかんでも」見たがったし、今でもそのケはあるが、のべつまくなし知識を吸収したがった。アニメ大全科みたいなムック本をいくつも買って貰ってはそれを穴が空くほど読み尽くしていた。
僕の中のルパンの表情は、一作目の「マモー」の中のワンシーンのルパンだった。
サーチライトに照らされた彼の顔はとても強気で、口元には笑みをたたえ、余裕とかっこよさがあった。カリオストロ公開時、僕は宮崎駿の存在を知らなかったが、この「かっこいい男」の映画なら、「見るしかない」と思ったのかも知れない。
果たしてカリオストロは本当に面白かった。まず、
そのポスターが異常にカッコイイ。
気を失ったクラリスを小脇に抱え、バックには黒マントにいかにも悪そうな男と城。そのロゴもメチャメチャかっこよく、構図、色彩、デザイン全てがパーフェクト。ぶっちゃけカリオストロを「ナンバー1映画※アニメだけでなく全ての映像作品の中で」としている同世代は多いと思うが、
ポスター部門、ロゴ部門でも同じくナンバー1だと思っているのではないだろうか。
こないだ書いたラピュタにあった「防戦一方のストレス」も全く無い。ルパンはどちらかというと努力して勝利する「成長するヒーロー」ではなく、最初から完璧な、冴羽りょうやデューク東郷に近い。隙があるから安心感はないが、実際は全く持って頼れる男だ。
それが劇中でしっかりと結実している。
「減らず口はそれまでだ」の後、真下に向かって落とされる時のルパンの表情に、慌てや恐怖は一切無い。水道橋でも時計塔でも、窮地に陥りそうな場面でも彼の口元には余裕があり、見ているこちらはドキドキを感じつつも安心感を失うことがない。ある意味彼はセガールであり、スーパーマンなのだ。
そしてその強さを何度も何度も見せてくれる。
そしてその相手もまたしっかりと強く描かれている点が素晴らしい。いくら強くても相手が弱ければその強さは引き立たない。マグナムすら効かない「カゲ」の強さ、謀略と暗殺を司ってきた重みは、着替えすら自分でしない伯爵の「リアリティのある悪さ」でしっかりとこちらに流れ込んでくる。その点でもへらへらしててセリフだけが一人歩きしたムスカとは大違いだと思う。
笑いが多いのも本作の大きな魅力のひとつ。緩急を折り込むのは多くの作品で為されることだが、ルパンの場合はその「緩」の部分にも一切の手抜きが無く、無駄な時間がない。カゲがルパンたちの宿を襲うシーン、アルコールランプの火を消して小道具をしまう仕草が大好きだ。あの手際の良さ、よどみない判断、キラリと光る眼光、、、
なのに投げられた棍棒を片手で受け取り、落としそうになる。
クラリスの捉えられた塔への大ジャンプを笑わずに見ていられる人がいるとしたら、その人はもう人間ではないと思う。緊張感のあるシーンなのに、登ってる途中でズリズリ落ちたり、遠景と近景を巧みに使い分けて加速感を演出する。音楽の力ももちろん大きいし、作画監督である大塚康生氏の手腕も相当なものだと思うが、
やはり宮崎駿は天才なんだな、と思わざるを得ないシーンだ。
そしてもう一つ、、、というかカリオストロには一つどころか全ての面で素晴らしいため、一つ一つ書いていくとそれこそキリがないのだが、
場面トーンのメリハリがとにかく素晴らしい。
冒頭ネオンの瞬くカジノから、闇夜を逃亡し、次のシーンには風を感じる抜けるような青空に小さな車から止めどなく流れる札束。そして真っ白なタイトル。クラリスと追っ手を絡めたカーチェイスは、序盤故に穏やかな色調でありつつも、派手な動きのアクション作画はガッチリとこちらの気持ちを掴む。崖を駆け上がるフィアットの時点で、
この映画が傑作であることをみんなが理解したはずだ。
細かいことだが、このシーンで次元が弾を二度(3発)しか撃ってないのもいい。
同じことを繰り返さない。
繰り返しというのは、つまりは手抜きなのだ。日頃から主人公がマシンガンを使うシーンを嫌うのは、それが「派手さだけで実のない攻撃」だからだ。本当にスキルがあるなら、弾は最低限でいいはずだし、一人目の雑魚と二人目の雑魚が同じ死に方を「してはならない」はずだ。
クラリスの白い花嫁衣装、トリコロールカラーの蒸気船、空、崖、緑と青のコントラスト。水道橋のブルーグレー、絢爛豪華なカリオストロ城、赤とオレンジのオートジャイロに、金色のグスタフ衛士長。地下工房の火事の赤やスパゲッティのオレンジ、、、
カリオストロを見ると、フォースの覚醒ですらまだまだ贅肉が多いと思わされる。
っていうか宮崎駿をしてもなお、本作を超える作品を作ることが出来ないというのは、文字通り本作が「奇跡の産物」であったことを証明する。若く血気盛んであったからこそ徹底的に、本当に徹底的に磨き上げることが出来たのだと思う。多少の顔の崩れは、この際あまり重要ではないし、それを徹底することでコストが跳ね上がるのなら、それはそれで諦めるべき事案だったと思う。
そしてクライマックスからのラストシーン。
ただ高所から落ちて死ぬハリウッドのヒールが多い中、伯爵の断末魔は今なおオリジナリティを失わない。相応しい切り札、空中を泳ぐ(こんなところでも笑いを忘れない)ルパン、針の重なる音と、荘厳に鳴り響く鐘の音、、、。
「宝物」の正体も嫌味が無く、かつセンスがある。金銀財宝などという下世話な物を登場させたラピュタとは次元が違う。まぁあれはあれでドーラたちのアイデンティティをキープするために不可欠だったのだけど。
それら全てが終わってからだからこそ、クラリスととっつぁんのやりとりにグッと来る。普段実直でジョークなど一切言わないとっつぁんが真顔で言うからこそ、「あなたの心です」が最高にカッコイイ。その後のクラリスの表情も最高の中の最高だ。おじいさんの「気持ちのいい連中」という表現もいい。「気持ちのいい」という形容詞は、本来人間像に使われるものではないが、
ここではこれ以外適切な表現は一切無いと思わせる。
それもまたカリオストロのオリジナリティだ。
最後はまた不二子を追うルパンと、それを追う銭形という構図に戻り、これがわずか数日のエピソードだったことを思い出させて終わる。この流れは、本作を単体で(ルパン三世というテレビシリーズを知らずに)見た海外の人にはちょっと不透明な感じがしてしまうかも知れないが、僕らには一番しっくりくる。まぁ伯爵への予告状も日本語だからね。そういうところはあえて子供も見るアニメを意識してるのかも知れない。「パパ、あれ何て書いてあるの?」じゃ興ざめだもんね。
カリオストロの城、やはり★★★★★。
これはもうしょうがない。もう何回見たか思い出せないくらいだが、今回次元の「眼」が二度ほど映ったことに気づいた。以前も気づいていたかも知れないが、
二回も映ってたんだな、と。
きっとまだ僕の知らないカリオストロが、きっとある。
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