ロスト・バケーション
キムタク主演のドラマ、、はロングバケーション。こっちは洋画。スタートレックビヨンドがリリースされたので、ついでに何か、、、と借りてきた。完全にジャケ借りというか、正確には裏面に書かれた「サメ」の文字と、
C級CG映画ではあり得ない本数。
基本ツタヤでは、「面白いと思われる映画」に比例して多くの本数を置く。本当に面白いか、「僕にとって面白いか」は、借りて見てみるまで分からないが、数本貸し出されていたし、
一位のキングオブエジプトより、こっちにフックした。
賢明にして聡明な読者様なら、本作が僕にとってどんな位置づけであるのか、既に察しが付いているかも知れない。
僕は「駄作」をタイトルに書かない。
見たと言っても半分は早送りとか、大して書くことはないって作品は、大抵十把一絡げ的にまとめてアップするすなわち、
本作は1本で紹介したくなるだけの作品だった!
世にサメの映画は数々あれど、本当に面白い作品はそれほど多くない。ジョーズは正直僕にとって古典でしかなく、今見てもそこまで楽しめるとは言い難い。ディープブルーは今も楽しめる傑作ではあるが、CGのクオリティはやはり時代を感じさせてしまう面がある。個人的には「サメよりワニ」の方が、地上まで移動出来る分怖いし、映画としては好きなのだが、、、
本作、ディープブルーとは別ベクトルの傑作であった。
あそこまでエンターテイメントではない。どちらかというと「ガチ」なサバイバルホラーで、SONY&コロンビアピクチャ-が作ってるだけあって、
波とかカメラワークとかのクオリティがすこぶる高い。
つまり、絵的な満足感を高めつつ、クリーチャーホラー特有の緊張感
※いきなり大きな音が鳴る演出も多い、、、が本作ではそれほど嫌じゃない
と、穏やかなインターバルの繰り返し。
特に素晴らしいのはそのプロットで、主人公の女の子が遊びに来た「秘密の海岸」は、文字通り穴場中の穴場で、いつもならサメなど当然居ない。ここに来るまでもたまたま方向が同じだったというおっちゃんに乗せてきて貰っていて、一緒に来るはずだった友達は二日酔いでホテル。その後知り合った彼としけ込むというメールが。
文字通り完全に孤立した状況は、「一方その頃・・・」を一切介さず、場面はほぼ全てこの「秘密の海岸」で流れていく。その感じは、ジェームズ・フランコの「127時間」を彷彿とさせ、
※似たシーンもあるし
先が見えない怖さとドキドキ感に満ちている。
足にケガ、誰もいない浜辺、近くを回遊するサメ、岸まで200m、、、
どないせぇっちゅうじゃ!
と全くそっちで育ったことがないのに思わずこぼれる関西弁。
正直主人公は美人どは言えないし、ビキニでもスタイルが良いとか、あとC級ホラーにありがちな「序盤おっぱい見せつつ仲良く食われるカップル」とかも居ない。優れたプロットを活かすだけの脚本とメリハリがあり、何度も「上手い!」と「怖すぎだろ!」と声に出してしまった。
ディープブルーを「面白さ:怖さ=8:2」くらいとするなら、本作のそれは「2:8」。真逆に怖さが優り、犠牲者の人数の割りに「サメが出し惜しみされない」のも凄くいい。とことんまで綺麗な南国の海。それとは不似合いなサメもまた、オリジナリティのある「新たなサメ映画」に貢献しているし、書き忘れていたけど、
CGのクオリティも素晴らしく良い。
サメ映画と言うと、「正直CGは微妙。でもしょうがないよ」という作品が大半だと思うのだけど、
本作のサメには、CGらしさも作り物っぽさも一切無い。
大きく怖くリアルで、ちょっと美しい。たぶん鳥とか波とかも結構CGだったんじゃないかと思ったりもするのだけど、それは全くわからなかったし、
安っぽい映画にありがちなごまかしも一切無かった。
しっかり見せるところはしっかり見せて、それでいて白けさせない品質まで高めている感じ。
「やるなぁ」と。「スゲェなぁ」と。
先日「オーロラの彼方へ」を見た時、「こんな映画がまだ残ってるんだから、世界は広いよなぁ」と思った。当たり前ではあるものの、自分が見たことがない映画、知らない映画でも傑作はまだまだある。
本作もまた、そのひとつだった。
クリス評価は★★★★。全く早送りしたくならなかったし、ちょっとだけ忍び寄ってきた眠気は吹き飛んだ。てかDVDでもここまで精緻な映像表現が出来ることにちょっと驚いたし、これがブルーレイになったらどうなるんだろ、とも思ったな。
ほぼネタバレを書いてないつもりだし、これもネタバレではないと思うが、
オチもとても良かった。
ちなみに僕は基本ハッピーエンドが好きな人間だが、クリーチャーホラーに関しては、特にハッピーであれば良いという考えはない。最後生き残ったはずの人が実は、、、とか、そう言うのは全然有りだと思う。
そう言う意味でネタバレではないと言ってるわけだが、
とにかく、サメ映画が好きな人はぜひ見て欲しい。正直これ見た後「ジョーズのがイイ」って言う人が居たら、僕とは価値観が全く違う、異世界の住人だと思ってしまうほどに、
本作の評価は高いぞよ?
ちなみに原題の「SHALLOWS」とは、「浅瀬」という意味だった。てっきり「ジョーズ」みたいな、サメの体の一部を表すような単語かと思ってたけど、割と普通だったな。てか、
ロスト・バケーションってタイトルよりは、そっちのが良かった気もするけどな。
監督のジャウマ・コレット・セラという人は、リーアム翁の「フライトゲーム」「アンノウン」「ランオールナイト」の監督で、結構なバジェットの作品を「撮れる」人だった。元はホラー監督だったみたいで、その筋のウェイトが高いのも頷けたな。
ヒロインのブレイク・ライブリーは、ライアン・レイノルズのグリーンランタンに出てたらしい以外、特に知ってる作品はなかった。まぁそこまでオーラのある子じゃなかったし、時代がフィットしてたらサンドラ・ブロックがしっくり来そうな役柄ではあったかな。もちろん8点を付けてるくらいだから全く悪くはなかったけどね。
てかさっき「127時間みたい」って書いたけど、ある意味「ワールドウォーZみたい」だったかも。WWZも、普通スモールバジェット作品の代名詞的素材である「ゾンビ」にお金注いで仕上げた佳作だけど、本作もそれと似た印象を受けたからな。
あ~面白かった!!怖かった!!ラスト超良かったーーーー!!!!
みんなも見よう!
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