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2017年6月16日 (金)

ハウスオブカード~野望の階段~

ついこないだラストシップで「海外ドラマはやっぱダメだ」なんて話した舌の根も乾かぬうちに、その言葉をまんま反故にする作品に遭遇。

 要は面白ければ続き物だろうと1話完結だろうと関係ない

本作は、こないだ絶賛した「ドラゴン・タトゥーの女」のデヴィット・フィンチャー監督の連ドラ、、、なのだけど、初出はテレビではなくネットフリックスで、さらに「全話同時配信」という本作以前には例がなかった形態で人気を博した作品。つまり言い換えるなら、

 全13話という「長い長い映画」

まぁ内容は、アメリカ大統領を支持し、当選の暁には国務長官のポストを約束してくれていたのに、反故にされてブチ切れた院内幹事フランクが、手段を選ばずのし上がっていく話。

「ハウス」は、ホワイトハウスのハウスと、トランプのカードを組んで作る「壊れやすいハウス」のダブルミーニングだと思われ、

 ぶっちゃけ僕の好みとは真逆とも言える世界。

政治とかマジどうでもいいし、「シン・ゴジラ」でも政治のシーンが大嫌いだったし。

 ただ、これもまた「面白ければその限りではない」。

つまり、庵野監督の政治シーンは全く面白くなく、フィンチャー監督の政治を扱った話は、、、

 フィンチャー監督だけでなく、主演のケヴィン・スペイシーが極めて素晴らしい。

彼はユージュアルサスペクツでかなりかっこいい役所を演じていたが、

 本作ではフィンチャー監督と「ダブル制作総指揮」でクレジットされているだけあって、

自分の良さを100%フルに発揮してる感じ。具体的に言えば、

 フィンチャー監督のカット割りの早さ、テンポの良さ、演出の上手さと、

 スペイシーの饒舌かつ残酷なセリフ、回転の速いキャラクターの見事な演技

これがガッチリかみ合って、

 見ていてとても痛快。全く飽きさせず、イライラもしない。

「頭の良い男を敵に回すとどうなるか」というわかりやすくも単純なプロットを、ホワイトハウス、アメリカ議会を舞台に、最高の役者を使って仕上げた。

スペイシーは頭もハゲだし、年齢もそこそこ行ってるが、目力が強く、言葉に無駄がない。特に僕好みなのはその頭の良さで、

 問題の途中で答えを言うのが好きな人にはたまらない感じ?

監督が天才であることに気持ちよく身をゆだねられる感じ。

また、スペイシー以外にも、奥さんのロビン・ライトもまた強烈に頭が良くドライで、目的のためには手段を選ばないタイプ。

 カッケーーー!!

ともすればヒールなのだけど、でも2人とも不条理でも不義理でもない(残酷だけど)。きちんと筋が通って約束を守っていれば、彼らほど頼りがいのあるスタッフ(部下であり上司)は居ないと思わせるところが、

 今のネットコミュニティに僕が感じる溜飲をスッと下げてくれる。

味方と敵の線引きが徹底している点は、ある意味ドラゴン・タトゥのリスベットにも通じるが、今作では色恋沙汰はあくまで脇役の仕事で、メインの2人はあくまで「勝つために」行動する。

 ウットリーーー!!

たまたま横でプリンタを操作してた娘からも、

 カッコイーーー!!

と声が出るほど。

目的があり、そのための道筋がある。僕を含め誰しもがそう言う状況で選択と決断を繰り返していくが、常に「最適解」を選べるわけではない。下手したら選択肢の中に最適解がないなんてことも、ままある話だ。

しかし、フランク(スペイシー)のチョイスと行動は、常に最適解。それも劇中ではテンポ良く、迷い無くはじき出されていく。見てる僕らがとまどってる間にも、次々と追い詰め、懐柔し、のし上がっていく。時にはウソも付くし、残酷とも思える決断を平気でするが、

 やられたらやり返すという、少年マンガチックなかっこよさが、彼に対する嫌悪感を完全に払拭する。

政治の世界ではあるものの、やってることは、意趣返し。最高に頭のイイ男の復習劇なのだ。

情報をリークする若手女性新聞記者がどっかで見たことあるな、と思ったら、新しい方の「ファンタスティック4」のスー役。彼女もまた「目的のためには女の武器を使う」人。何つか、

 本作には「目的のためには手段を選ばない」人がたくさん出て来る。

その連中は必ずしも善ではない、、、というか、全て善ではないのだが、

 全てが勝者になってる。
※1巻を見おえた時点では

僕は「悪いヤツ」が嫌いなんじゃない。嫌いなのは「嫌なヤツ」だ。そして、もっと嫌いなのが「頭の悪いヤツ」。なぜそこでそんなチョイスをするのか!?結果自分がより不利になるに決まってるチョイスを平気でする、、、

 そんな脚本でムリを通すような監督や脚本家には心底ゲンナリする。

美しい物語とは、常に最善を選びつつも窮地に陥ってしまう「納得」がなくてはならない。(視聴者である)僕が、キャラクター以上の選択を「取れてしまってはならない」。
 同じか、僕の上を行って貰わないと。

ハウスオブカードは、まさに「みんなが僕の上を行ってくれる」。それが心地よく、痛快で、面白い。

 むしろ永遠にトップにならないで欲しいくらいだ。

以下余談

・ちょっとおっぱいがある

以上。

クリス評価はそれを含め★★★☆ってところだ。

物語の中で奥さんがフランクに、「あなたは絶対に謝らない人なはずよ?たとえ私にも」みたいなセリフがあったのだけど、

 謝らないということは、常に非がない、ミスがないってことだからな。

ホント、カッケーと思うわ。ある意味理想だ。

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