PK(ピーケイ)
映画のタイトルである。友人nori君が「何も調べずに見てくれ!僕は凄く良かった!」と以前オススメしていたもので、最近ようやっと時間が出来たので借りてきた。ちなみに準新作。
予備知識がないことには功罪ある。その映画が見る人にガッチリとフィットしていれば、それは往々にしてプラスとなるが、
そうじゃない場合は、結構マイナス面もある。
ちなみに「予備知識無し」にもレベルがあるが、ぶっちゃけ僕はこの映画が、
日本映画か外国映画化もわからないレベルで見始めた。
もっとも見始めた瞬間にこれが、海外の、それもかなりマイナーなところの映画であることはすぐにわかった。なぜなら、
予告からしてマイナーだったから。
準新作レベルでそれなりの大作なら、予告だって見慣れたタイトルが並んでいて普通である。が、本作はそうじゃなかった。
ちょっとヤバイニオイがしてきた・・・
ちなみに、この時点で興味を持った人は少ないとは思うが、最終的にクリス評価は、
★★★
に落ち着いたので、それだけを信じて借りて来るのも、「アリと言えばアリ」かも知れない。
●ネタバレと言うレベルのネタバレはない、あらすじ的な紹介
まずこの項までは概ね読んでも大丈夫。というか、僕が「このくらいの知識はあってもよかったよ」という情報として、
本作は、インド映画である
インドと言えば世界屈指の映画大国でありながら、独特のテイストが「グローバルになりきれない何か」をはらんでいる国でもある。
ジャンルは、SF風味のごった煮だ。
社会風刺的な問題を扱ってると思えば、冒頭から出て来る主人公は宇宙人であったり、そうかと思えばイケメンと美女のラブラブチュッチュな蜜月シーンがあったと思えば、ディズニー映画バリのミュージカルなシーンがあったり。
とにかくインド映画らしい「売れ線は全てぶっ込んだ」作品。
そう言えるかも知れない。時間は2時間33分と長尺で、ぶっちゃけ、歌のシーンがかなり長い。
僕は歌はバッサリ飛ばしてイイと思うが、進めてくれたnori君は「歌もイイ」と言う感じだった。
合う人は歌も見ればいいというところか。多少は歌にもメッセージが込められているので、見た方がよりストーリーに入り込めるかも知れないが、
オレに言わせれば誤差の範囲だとは思う。
ヒロインはかなり美人で、最初アンジー(アンジェリーナ・ジョリー)似かな、と思ったけど、nori君に言われてキャメロン・ディアスのが似てると納得。オッパイは大きく、揺れるシーンもあるが、下着や裸が見られるわけじゃない。キスシーンは一応あったかな程度で、
ハッピーエンドと言えばハッピーエンド。
ただ、少なくともバッドエンドではないので、それを不安視する必要はない。あと、サスペンス要素も全くないので、「怖い映画」が嫌いな人も安心してみることが出来る。
あらすじ的には、宇宙船からひとり裸で降り立った主人公が、そうそうに「その宇宙船を呼ぶためのリモコン」を盗まれてしまう。途方に暮れつつ場面はもうひとりの主人公でありヒロインに移り、こちらは大恋愛の末恋人と別れ、地元に戻ってテレビの女子アナになってるエピソードが展開。のちにこの2人が出会い、なんとか自分の星に帰るためにがんばるわけだけど、、、
ネタバレ無しだとこんなところかな。ここまで読んだ段階では、あんまフックしづらいと思うので、決め手になり得るセールストークをひとつするとするなら、
あくまで僕の感性、そして感想ではあるけど、
前半8割は、イライラしたり、悶々としたりするシーンが多い。が、ラスト2割でそれらを綺麗に払拭して、清々しく気持ちいいエンディングを迎えられる。
つまり、「6点」の内訳は、「前半8割マイナス3点」「後半2割プラス9点」で、「差引6点」という感じ。
ラストのカタルシスが好きな人なら、結構強めにオススメ出来る。
ちなみに前半マイナス3点と書いたけど、それはあくまで僕の感覚。歌が楽しめる人ならこれは十分加点要素になるだろうし、僕がイライラした「○○(後述)」をメインに扱った題材も、面白い、深いと感じる人もいると思う。
さぁ借りて来る気になったかな?
●ネタバレ有り。見てない人は読まないように
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読まないように。
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とにもかくにも、「宗教」を扱ってるのがしゃらくせぇ!
何つか、インドでは流行るんだろうよ、って感じ。「何が正しくて何が間違ってる」とか「神様がいっぱいいる」とか、みんな施したりする一方で、托鉢から平気でお金を取ったり、言葉とかの知識を一気に吸収したくせに、基本的なモラルとかが完全に抜け落ちてるとか、、、
しゃらくさいったらない。
ミュージカルシーンもバカみたいに長くて、たとえて言うなら、
今の10分の1の長さで十分。
もうそこだけでも早送りすればよかった。
そこを早送りしてれば、むしろ評価は上がっただろうな
って感じ。僕には歌やダンスがマイナスにしかならず、もっと言うとインドテイストの曲そのものも好みじゃない。バンデラスの「デスペラード」で流れたマリアッチのメキシカンな曲のが遙かに好き。これは好みの領域だから仕方ないと思うけど、、、。
一方で、「兄貴」が最高に優しくてメチャメチャ惹かれた。もうこの映画は「兄貴の魅力に打たれる映画」と言ってもいいくらい兄貴がよかった。「優しさが人を支える」って思えるほどに。
親父も、導師の手を掴むところがよかったけど、最後の指笛がヘタクソなのが非常に残念。そこは「アテレコ」でもいいからもっと上手い人に吹かせた方がよかったのでは?って感じ。
主人公のPK、、、そもそも「PK」の意味がわからない。劇中で、「おまえはPKか!」みたいなセリフはあれど、「PKが何なのか」の説明はなく、「PK=酔っぱらい」みたいな扱いの中にも、微妙な違和感が残る。非常に怪しい僕の知識でも、
PK=サイキック=念動力を使える人
という感じで、
テレパシストとは別だと思ったし。
※劇中の主人公は両手を触れることで知識や記憶を共有することが出来る
うーむ。まぁさすがにサッカーのペナルティキックとは関係ないだろうとは思ったけど。
キャラ的には、非常に個性的なルックスであり、前半7割くらいまではどうにも違和感があったが、
※つまりはかっこよくなかったが、
クライマックスで涙を流しながらほほえんだシーンはめちゃめちゃグッと来た。
てか、クライマックス2割ほどの展開はもうホント最高。そこまでのストレスを綺麗さっぱり吹っ飛ばす展開が続き、多少のツッコミどころがありつつも、
・なぜずっとラジカセを持っていたか
・なぜ彼氏は教会に来なかったのか
・脇を固めるディレクターやパキスタン大使館の交換の女性たちの「ピュアな表情」
・彼氏のかっこよさ
・最後の最後のオチ※PKは新たな恋を見つけるんだろうなと思わせた<ハッピーエンドの理由
全部ぶっ込んで、インドでウケる映画を撮った。それが他の国でもウケるかどうかなんざ、知ったこっちゃ無い。が、きっと「イイね」って言ってくれる人だって居るはずだ。
そんな監督の気持ちがよく伝わる映画。ルックスとか普通に彼氏とヒロイン彼女両方が、とてもかっこよくて、美人。日本人からしても「あんな彼氏欲しい!」「あんな彼女欲しい!」と納得出来る組み立てで、
まことに上手い。
ただ、やっぱり歌と宗教は面倒でウザかったって話。基幹を担う部分でもあるので、はしょれ、とは言えないけど、僕の中では加点要素にはならなかったな、と。
・・・
トータルして、見て損したとは思わない。言っても6点は僕の中でそこまで低い点じゃないし。ただ、これがインド映画であること、かなり長いミュージカルシーンがあることは、知っていたら「飛ばしながら見た」だろうな、とは思った。でもってもっと評価が上がったかもな、と。
ここを読んでる人は、既に見た人か、永遠に見ない人だと思うけど、正直「オススメ出来る人」は凄く限られてる映画だとは思った。てか、
既に見終わったあとnori君と2時間くらい電話でしゃべったから、本人にはイヤってほど伝えてるけどさ。
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