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2018年5月 9日 (水)

よつばと!14巻

今回も全く問題なく面白かった!

ゴールデンウィークで娘が帰郷。つかわずか1ヶ月ではあるけど、わずか1ヶ月であるが故に大した変化はない。帰ってきて開口一番、

 「とうちゃん、よつばの14巻買った!?」

むむ、買ってない。買わねば!たまたまCDを借りに行くというので、1000円渡して「じゃあ買ってきて」と。

・・・

ついこないだ通しで見た「甘甘と稲妻」も、男親と小さな娘が織りなす、
※一応料理に特化してるとは言え
日常を切り取った作品だが、見ていて強く感じたのは「リアルな辛さ」。

一方よつばは、そんな辛さを微塵も感じさせない。言ってしまえば「ファンタジー」だ。

ただ、もちろん「だからダメ」と言ってるわけもない。今し方ネットでよつばの「賛否入り交じった感想」をざっと読んだところ、

 なるほどそう言う視点で見る人も居るだろうな、と。

つまり、僕がいくら面白く幸せを感じていても、読み手の価値観や環境、これまでの経験次第で全く別の受け取られ方をする。たしかに、開始当初はあずまんが大王的な、ある意味「少年漫画のテイスト」があったかも知れない。かわいい女の子中心で、萌え要素があった気もしないでもない。

ただ、最新刊を読んで
※つか最新刊に限らずずっとそうなのだけど
自分がどこに惹かれている、何を楽しんでいるかを鑑みたとき、一番強く感じるのはソコ(萌え)ではない。

 自分だったらどう感じただろうという想定を、絶妙に外すリアクション。そしてそれが自分が考え得る最もオーソドックスかつ最上だと思える答えを超えている点。

「そこでその言葉か!」と。

僕は自分の書く文章が大好きで、しょっちゅうブログを読み返したりする。その点をキモいと言われても、まぁしょうがない。自分すら楽しめない創作物の是非に関しても、価値観のズレはあり得る話だし。

ただ、そんな僕にも当然「こういう内容が好き」「こういう筆致を上手いと思う」という嗜好や技術論があるわけで、例えば永田泰大さん(元ファミ通ライター風のように永田さん)の筆致を至高として受け入れていた者として、「正解により近い文章」は存在する。

要は、面白さを感じるツボが、自分の目指すモノを超えていることに、笑みがこぼれる。

これは人によって全然違う可能性もあるし、同意してもらえる可能性もあるのだけど、ぶっちゃけ僕に言わせれば、萌えとか非現実的とかどうでもいい。

 いろんなシチュエーションを用意して、その状況であなたが理想と思えるリアクションを考えなさい

というお題があったとき、よつばのリアクションが自分の想定以上であること。それが全てなのだ。「良い意味での裏切り」。それが僕にとってのよつばの魅力なのだ。そしてそれは当然ファンタジーであり、現実世界の煩わしさや重さ、黒さとは対局にある。

 だから楽しいんだ。

確かに過去のエピソードの中には、多少なり重さを感じたものもあったし、それに対して「ちょっとツライな」とネガティブな感想を抱いたこともあった。でも基本はそんなリアルをガン無視でなんら問題はない。「甘甘と稲妻」とは真逆の居心地良さ、ぬるま湯感を楽しんでいるのだから。

まだ発売されたばかりの14巻のネタバレをするのは非常に愚かなので、既刊12巻のキャンプの回から、、、

このキャンプのエピソードは、個人的にはよつばの全ての話の中でも屈指の面白さだと思うのだけど、
※わかりやすいとも言える

ハンモックに乗る場面でじゃんけんをすることになる。
※163ページ
そこで絵のない手書きコメントが、

 俺、パーだすぜ?

次のコマで、笑顔のよつばのチョキが描かれてる。

ほんの2コマなのだけど、僕は凄く上手いと思う。「俺」というキーワードは、つまり男性を差す。とうちゃんの言葉遣いではないので、ジャンボかやんだ。たぶんそのあと「え?」とコメントしてるのはやんだっぽいから、たぶんこれはジャンボの一言。でも瞬時に状況を理解した大人が、一様にパーを出し、子供はソレを信じてチョキを出して勝つ。

 その子供の素直さと大人の気配りにグッと来る。

絵を入れてやんだに「俺、パー出すぜ!」と言わせていたら、たぶんそこで出すのはグーであり、よつばたちは負ける。もちろんそう言ったエピソードも過去あったように思うが、ここではそうしない。なぜなら、

 これはキャンプだから。

みんなが楽しくなる、シニカルなエッセンスは不要だとジャッジする「さじ加減」に、僕の心は軽くなる。笑みがこぼれる。

よつばの面白さは、そんな小さな、些細な、そして絶妙な「塩梅※案配じゃなく」で仕上げられた、「最高に美味しいちょうどよさ」にあると思う。

やっぱ14巻の話もする。なぜなら今回は14巻の感想だから。

ネタバレなので、読んでない人はこっから下読んじゃダメ。

・「ナマクワアマガエル」をネット検索したら、確かにカワイイ!てか初めて見た!なんか得した!

・手作り切符の完成度が高い。「とうきょう」という文字をリアルに書かせたら、絶対あのバランスにはならない。なんか「どせいさん」の文字みたいなヘタウマな魅力がある。さすがよつば。

・95話「原宿」の回、表紙を1ページとして6ページ目の左下のコマの男性の口がちょっとだけ開いてるのがとてもイイ。こういうネタはよつばに多いけど、あえて「ひとりだけ」ってのが、ノイズの多い電車内での距離感を感じさせて上手い。聞こえたのが彼だけだったんだろうな~。

・白い子犬がよつば見てしっぽ振ってるのがかわいい。

・リアルに妹が居る自分視点だと、こはるこの言動の完成度がとても高い。読者は彼女が何者なのか知らない(よく読んでる人は過去に名前とか出てたかもだけど)ところから始まって、「妹」であることがわかるのだけど、いわゆるラノベや萌えアニメと違って、彼女の言葉には兄に対する特別な感情が一切ない。

 純度100%の普通の兄への言葉。

それが実は凄いことを僕は知っている。なぜなら、

 フィクションでここまで普通の妹は見たことがない。

つまり、

 特別。「特別な普通」。

・「かわいいがそんなときとちがう」という言葉も凄い。凄く慌てたよつばが、この場面で何というべきか。何と言えば違和感がないのか。正解は凄く狭い。「かわいいが」という言葉は、「確かに私はかわいい、だが」という意味で取るのが普通かも知れないが、僕はそう見えず、「かわいいがそんなときと」で、かなり混乱してるニュアンスを感じた。全部ひらがなで、読み手も一瞬混乱する。そこによつばの「慌てさ加減」が伝わって、

 さすがだな、と。

・ビュッフェのシーンはほぼ全て楽しかった。思わず読み終えたあとすぐ2度ほど読み返してしまったほど。

特筆して「深さ」を感じた場面はないが、その前の車がオープンカーになったところや、「とーちゃん これはおいしい?」と聞くところ。「よくわからない感情」の答えを、とうちゃんに求めつつ、「おくのて」や「おいしい気がしない?」とつなぎ合わせる。

もちろん読んでいてそんな細かなことをいちいち感じるわけじゃないのだけど、同時に「常にいい意味での違和感」もつきまとう。食べ慣れてないものを「おいしいと判断しかねている」が、呼び水によって結実する。そのとうちゃん自身も食べたことがないことは、「やっぱり」というある種安堵のコメントでも伝わり、同時によつばととうちゃんの距離の近さも流れ込んでくる。それも心地よく。こっそりと。

 何気ない日常を何気なく描かない。

つまり、よつばとは、「♪なんでもないようなことが、幸せだったと思う」を、「なんでもなく描かない」。結果「明確な幸せ」として感じることが出来る。

毎度毎度よつばとは面白く、そして凄いと感じる。ある種日本人だからこそ理解できる「ワビサビ」の魅力かなぁと思うし、小さな女の子を出す=ロリコンだと決めつける人にこそ、その魅力の本質を伝えたいとも思うけど、一旦フィルターが掛かってしまったら、それを取り除くことは難しい。

自分が、普通によつばとを楽しむことが出来る側の人間でよかったってシミジミ思うな。

14巻★★★☆。やっぱり面白かった。わかってた。

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コメント

クリスさん、皆さんこんばんは。

お久しぶりです!
期間あり5確チケは、2体目のヴィンセントが出ました。攻撃60%のトラマスがうれしかったです!

クリスさんの記事って、僕にとってめちゃくちゃ神がかってタイムリーなことが、結構あるので驚いてしまいます。
お菓子の時とか、今度同じの買ってきてみようと思いながら読んでると、実は昼間に自分が買ってきていた商品がそれだったり(普段メーカーの名前とかチェックしてないので、見てみるまで気が付かないとかw)。
今回のよつばとも、まさにビンゴでした。
GWセールで、ブックオフ2割引やっていて、つい数日前に1~3、5~12巻まで買いそろえて読み始めていたところでした!
今3巻まで読みましたが、すごく心にフィットしたので、嫁や子供に進めて読ませていた、まさに矢先です。
4巻だけ空いてるので早くそろえなくては!

投稿: HunterD | 2018年5月 9日 (水) 02時05分

どもどもHunterDさん、クリスですまいど。ヴィンセントはキャラとしては全然わからないですが、攻60%はいいですよね。腐りにくい。おめです。

フックするコンテンツの有無は、単純に環境や価値観が近かった可能性もありますが、僕くらいになると、「たまたま目に付いただけかも」と保険を掛けたりもします。過度に距離感を近づけると、裏切られたときショックが大きいのでお気を付け下さいという話。
※僕は自分にとても正直なので、平気で無配慮な言葉を綴ったりしちゃうので。

ただ、

 そうは言ってもよつばは最高ですけどね!(笑

「再読性」という言葉がありますが、まさによつばの為の言葉だと思います。いつ読んでも、何度読んでも、普通に楽しいし、普通に発見があったりする。人に寄ってはこの作風や世界観に抵抗がある人も居るようですが、

 自分は圧倒的に楽しめる側

そしてそれがとても嬉しく思いますね。てかよつばだけを指標にするのはリスキーですが、もしかしたらHunterDさんが「スゲェ好き」ってマンガやアニメが、僕にもフックする可能性もありますね。

 もちろんバッサリの可能性もあるんですが、、、

「斬られる覚悟」で勧めて貰えると嬉しかったりもしますよ(笑。てかよつばクラスはそうそうないですけどね。歴代10選に入るくらいの傑作だと思っていますから。
※他はドラゴンボール、北斗の拳(途中まで)、柔道部物語、ガラスの仮面(途中まで)、スラムダンク(途中から)辺りがメジャーどころで、うっちゃれ五所瓦、ホールインワン、謎の彼女X、プレイボール辺りが入るかな~。

投稿: クリス | 2018年5月15日 (火) 00時24分

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