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2018年9月23日 (日)

秒速5センチメートル

これまで何度も見る機会があったのだけど、ずっと先送りにしてた。理由は、

 アンハッピーエンド。

僕は幸せな結末が大好きだ。というか、幸せでない結末は嫌い。特にラブストーリーでは。それがいかに薄っぺらであろうと、結末に救いがないのはツライ。新海監督の「言の葉の庭」も、人によってはアンハッピーな結末と感じたかも知れないが、僕的には、あの手紙の先に、二人の幸せな未来を思い描くことが出来た。実際監督も「あれはハッピーエンドでしょ」と考えていたようだし。

しかし、「秒速・・」はそうではないらしい。詳しくストーリーを調べたわけではないが、とにかく最後が報われないらしい。

 だから見るのが辛かった。

でも、今日なんとなく「それでも、、、」という気持ちになり、見てみた。ネットフリックスはこういう時普通にブルーレイ画質で見ることが出来て嬉しい。つってもDTVで見た言の葉の庭も大概キレイだったけど。っていうかそっちのがキレイという尺度で言えばキレイだったけど。

・・・

「秒速・・」は、3本のショートストーリーからなるオムニバスのアニメ。と言ってもその3本は繋がっていて、違うのはその時代。一作目は小学校から中学、二作目は高校、そして三作目は社会人になってから。

既に見たことがある人、興味があった人の多くは見ていると思うが、念のため僕のように今日まで及び腰で先送りにし、そのまままだ見てない人も居るかも知れないので、ひとまずネタバレ無しの感想を書く。つっても「アンハッピーエンドだろう」ということは、大きなネタバレになってしまってはいるのだが、、、

 見て良かった。

確かに幸せな結末ではないし、切ないし、苦しいし、ちょっぴり涙もにじんでしまう終わり方なのだけど、

 物語は結末だけじゃない。

「君の名は」だって、最後ハッピーエンドに見えるまとめ方はしているものの、それまでの過程が素晴らしかったからこそ、僕を含めみんながあの映画を面白かった、楽しかったという。結末はとても大事で、僕の中でその優劣を決める大きなポイントになることは事実だが、

 結末以外が良ければ、それはそれで評価せざるを得ない。

 クリス評価は★★★☆。

ハッピーエンドではない、、、が、その過程は、とても切なくて、それでいてイイ感じに心に迫るラブストーリーだった。

以下ネタバレ。軽く余談で改行。

絵を見て最初に感じたのは、キャラクターデザインが「言の葉、、」「君の名は」とは違うと言うこと。「拙い」という表現にネガティブなニュアンスが含まれるとしたら、その言い方は間違ってる。「キャラクターに意図的な幼さを感じさせる甘さ、柔らかさ」がある子供時代の作画。

 洗練されてないようでいて、これが監督の意図したものだとしたら、これはこれでおかしくはないんだろうな。

そんなことを思いながら見ていく。背景はまさに、「この先に言の葉と君の名はがあるのだな」と感じさせるレベルで、とても美しい反面、まだその精緻さに過渡期を感じさせる。

それでもやっぱり新海作品だな、と思うレベルには、キャラも背景も素晴らしい出来だった。これよりグッと来るキャラ&背景作品は、そう多くはないだろう。

・・・以下ネタバレ

 「山崎まさよし」はズルい。

主題歌でもあるONE MORE TIME,ONE MORE CHANCEは、一話からインストで「こっそりと」流れている。気付くか気付かないかギリギリのところで聞こえる、しめやかで密やかなBGMに気付いてしまうと、

 その歌詞を知る者として、グッと来ずには居られない。

そしてこれが悲恋で終わることも、少なからず認識してしまう。今この瞬間の幸せを噛みしめていく、今にすがって生きて行ってしまう未来が、この曲によって見え隠れしてしまう。

 幸せなシーンなのにもう既に切ない。

それでも今を今として幸せを噛みしめる。一話だけならハッピーエンド。このまま話がここで完全に切り替わって、二話目から全く別のキャスト、別の舞台になればいいのに、と思う。

・・・

しかし二話目も物語は続きを紡ぎ出す。最初は「あれ?これ誰だろ」と思う男女が出てきて、ちょっぴりホッとさせるが、

 別の場所、別の時間ではあるものの、一話目の主人公が、そのまま二話目にも出てきて、別の女の子に恋心を抱かせる。

その女の子も魅力的、、と言うか、一話の女の子も二話目の女の子も、どちらも魅力的ではあるのだけど、

 ぶっちゃけファンタジックで、非現実的。こんな子は居ないと言う違和感、「フィクションのニオイ」が拭いきれなかった。

 ただ、主人公タカキだけが、リアリティを持って流れていく。

もしかしたら、一人のニートの妄想の中に作り上げられた世界でのことなのではないか、勝手に子供の頃こんな女の子とのエピソードがあったらよかったのに、と作り上げてしまったものなのではないか、、、

 まぁそういうことではなかったわけだけど、

それでもやっぱり「リアルだな」「主人公の周りだけリアルだな」と思ったのは、鹿児島に引っ越してきたあと、最初に気持ちを通わせたヒロインとそのまま疎遠になっていることがわかる瞬間。

 そうなんだろうな、と。

わかるからこそ切ないし、あり得すぎるくらいあり得るからこそ違和感がなく、苦しい。そこまでフィクションのヒロインだった昔好きだった女の子が、ここに来て現実的な時間に溶け込み、
※第三話

 そこで歌詞と共に流れてくる山崎まさよし。

ズルい。ズル過ぎる。そりゃちょっと泣けちゃうよ。片思いの主人公の気持ちにシンクロする自分を見つけちゃうよ、と。同時に、

 これは「切ない物語」ではあるけど、「好みの展開じゃない」ことも感じてしまう。

一話と二話の流れが、そのまま続いてくれればいいのに、と夢を見たくなるが、やっぱりその夢は叶わない。わかっていた現実が、どうしようもなく突きつけられ、凄く孤独な主人公とモニターの前の自分の気持ちがシンクロする。

 それを楽しむ映画なのはわかるのだけど、、、やっぱりツライ。

美しい背景と、流れていく時間の冷たさ。描かれた先に何があるのかはわからないけど、「作られた物語」なら、出来たらもう少し光が射して欲しかったなって思ってしまう。

 君の名は、のように。

・・・

新海監督は音楽と映像のシナジーを扱うのが上手いなぁとシミジミ感じた。以前から感じてたけど、今作でも同じように感じた。これは才能もあるだろうけど、

 僕がたまたまそのジャストミート世代に居るからというラッキーもあるんだろうな、と。

僕らの世代の人間なら、この山崎まさよしや、言の葉の「Rain」、どちらもグッと来てしまうはず。まだ見てない人は、「過程を楽しみつつ結末を覚悟する」ことで、十分見て良かったと思える映画になると思うな。それほど長くないし。

・・・

蛇足にして余談だけど、第三話で、眼鏡を掛けたもう一人のヒロインが出てくるのだけど、

 アレ、誰?

めちゃ気になったわ。てか、キャラデザインが甘いのが禍して、「誰が誰かよくわらかない」時が何回かあった。「甘さ」がプラスに作用したときもあったけどね。

●山崎まさよし / One more time,One more chance
https://www.youtube.com/watch?v=BqFftJDXii0

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