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2019年2月 7日 (木)

ハードコア

原題は「HARDCORE HENRY」。ネットフリックスの洋画。前からちょっと面白そうかもと思ってたけどスルーしてた。昨日ヒマだったので視聴。

あらすじは、、、上手く言えないなぁ。とりあえず、

 全編、ホントに最初から最後まで全編主観視点の「FPSゲームライクなアクション」。

主人公ヘンリーが水槽?の中で目覚め、促されるままに手術台の上に乗ると、左足のスネから先と、左手の肘から先が無くなっていて、しゃべることも出来ない。記憶もない。

女性の研究員みたいな人が来て、「私はあなたの妻で、今からちょっと痛むかも知れないけど、手足を付けてあげるから一緒にここから逃げましょう」、、、

 実際は全然違うセリフ。でもやってることはそんな感じ。

最後に指輪をしてそこから脱出。記憶喪失なのに、銃とかナイフは普通に使える。理由とかはわからない。あとそう言えば子供の頃の記憶がフラッシュバックする映像もあったけど、

 (見終わった今でも)全く意味はわからない。

どこから書いていこうかと言う感じなのだけど、間違いなく言えるのは、

 過去に例がない、、、と思う

と言うこと。スタッフロール以外は本当に全て主観視点。最後だけカメラがパンする、みたいな演出もなく、

 凄まじくブレブレで、下手したら吐くんじゃないかってくらいの状況でも主観視点。

ひっくり返ったり、吹っ飛ばされたり、ビルから落ちたり、車に牽かれたり(そんなシーンは無かったかも)、キスしたり(そんなシーンはない、、こともない)するのも、全て主観視点。

なので、

 ムチャクチャ見づらくてムチャクチャ疲れる。

何が何だかわからないような場面も相当ある。普通こういう時は「少なくない」とか「結構ある」みたいな表現をしがちだが、「相当ある」と言いたくなるくらい頻繁にある。

そこだけピックアップしたらもはや「クソ映画」みたいなもんなのだけど、存外そうじゃない。

主観視点ではあるものの、1カットで撮ってるわけじゃないので、テンポが悪くなる移動中とかはガンガン端折る。それこそ「ゲームのエリアマップが切り替わる時」のように場面が変わったりするし、あまつさえ、

 「スマホに表示された場所へ移動しろ」

と、もはや確信犯としか言いようがない「ゲームライク設定」も多い。

武器に関しても、通常の拳銃にはじまり、マシンガン、ショットガン、スナイパーライフルによる狙撃を楽しむシーンから、二丁拳銃、パイナップルを使った不可視攻撃、もちろんナイフで近接攻撃もあるし、さらにさらに、

 ラスボスは超能力者。

いろんなものをテレキネシスで飛ばしてくる。あと、主人公の協力者「ジミー」が、スタッフロールで一番上に名前が来る人で、

 あれ?この人さっきも出てこなかった?

と言う感じでいろいろサポートしてくれる。ネタバレなので詳しくは書かないけど。

場面の展開も凄まじく、ある意味作り手は僕と感性が近いのかも知れないと思うほどメリハリに飛んだ「絵作り」をしてくれていて、とにかく「ゲームっぽいシチュエーション」の連続。廃工場、ラボ、ジャングル、カーチェイス、飛行機、橋の上、ショーパブ、、、またそれぞれの出来がかなり良く、
※この場合の「出来」は「ゲームっぽい」と言う意味

ショーパブではちゃんとおっぱいも出るし、カーチェイスにはうるさい僕も、「これなら納得」という内容。てか、そもそも「車の上に飛び降りる」というありきたりなシチュエーションですら、

 「自分の視点」だと思うと話は別。

てか、コレ、、VRで見たらさらに面白いんじゃないの?って感じで、
※むちゃくちゃ酔いそうだけど
変な言い方だけど、

 実写版FPSのプレイ動画

を想像すると、むしろしっくり来る気がする。

正直ブレブレで何が起こってるかわからないシーンが多くて、さらに言うと「そのわからなさ」が結構惜しいと言うか、もったいなく感じた。せっかく天地がひっくり返るような衝撃でも、「何が起きたかカメラだけではわからない」。実際に体験したらキンタマ縮み上がるような場面でも、どうしても一歩引いて「見ざるを得ないわかりづらさ」がある。

 そこがかなり惜しい。

正直ストーリーが面白いかと言われたら、答えは「微妙」。でも目新しさ、メリハリ、テンポの良さなどは、バツグンに良い。過去ゲームを題材にした映画は枚挙にいとまがないが、少なくとも「FPSライク」と言う条件でランク付けするなら、

 本作が圧倒的大差を付けてダントツ一位だと思う。

かなりお金を掛けている反面、メジャーな監督でも俳優でもないからこそ出来る「やんちゃ」なこだわり。わかりにくかろうが、見づらかろうが、んなこたぁカンケーねぇ!俺が撮りたいのはこういう映画なんだよ!

 そんな声が聞こえてくるような「気持ちの良い映画」だったな。

クリス評価は全てひっくるめて★★★☆。かなり高い。途中までは3点か4点くらいだったけど、最後まで貫き通したことにむしろ敬意を表したくなったし、ただの2Dの映画で、ここまでアトラクションライクな「体験」が出来たことは、十分過ぎるくらい凄いことだと思う。

てか、第二弾があるならそっちもスゲェ見たいと思うし、例えばサメやエイリアンと戦うとか、ボクシングや空手が舞台とか、見せ方次第で十分「二匹目のドジョウ」が狙える素材だと思った。ただ、

 ブレまくりのカメラは、もう少しだけでも修正入れて欲しかったかな、とも思ったけどさ。

・・・

似たテイストで、邦画の「カメラを止めるな」がある。「1カットで撮ったゾンビ映画※実際はそれだけじゃないんだけど」で、低予算の割に凄く話題になったけど、僕的には正直あんまピンと来なかった。やっぱりカメラのブレは気になったし、プロットとして優秀なものなら、さらに大金を投じて仕上げた方がどうやったってより良い物になるのは道理だと思うから。

ハードコアは、かなりお金も掛けてる分、カメラを止めるなより贅沢な仕上がりにはなっていて、その差が僕的にはかなり好みでもあったのだけど、あともう一歩手間を掛けて、見づらいシーンをもう少し見やすく、
※例えば回転するところとかは、スローにして状況把握がしやすくするとか
してくれたら、言うこと無かったのにな~って思ったよ。

念のために言うけど、話自体はさほど面白くもないからね。そこだけは期待しないように。あと言い忘れてたけど、

 相当グロだから。

それが苦手な人にもオススメは出来ない。「R15」とかだった気がするけど、ぶっちゃけ「R18」でもイイくらいグロい。エロさはそこまでじゃないけど。

ともかく、「変わった映画」が見たい人で、グロに耐性がある人には、結構オススメ出来ると思うな。あとFPSを多少でも嗜んだ経験がある人とか。

あ、書き忘れてたけど、音楽も結構イイ。洋楽に詳しくない僕でも聴いたことがある(たぶん有名な)曲が何曲もあったし、スタッフロールの曲も嫌いじゃない。スピルバーグ辺りがリメイクしたら、相当凄いものになりそうな、そんな映画だったよ。

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