墨東綺譚
正しいタイトルは、「墨」にさんずいがある。ただ、「隅田川の東」を指すらしいので、どのみち当て字かも知れない。1992年の邦画。読み方は「ぼくとうきだん」。
永井荷風の小説の主人公を、永井本人に置き換え、遊郭での情事から、彼の死に至るまでを描いた文芸作品、、、らしいのだけど、
んなこたぁどうでもいい。
ネットフリックスで見つけた時も、「なんだかエロそうだ」という理由だったし、実際序盤は大したことなかったのだけど、
途中から出て来るメインヒロイン「お雪」が最高過ぎる。
決して現代の美人ではないのかも知れないけど、明るくて、でも上品さがある声と、主人公を好きになっていく感じ、そして何より、裸が超絶キレイ。結局のところ、「脱げばエロいわけじゃない」。エマニエル夫人だって、シルビア・クリステルだったからヒットしたわけで、
墨田ユキが、あまりにもハマり役だったからこそ。
隠し砦の三悪人のヒロインを演じた上原美佐に匹敵するかわいさ。奇しくもこちらの役名も「雪姫」。芸名もユキ、役名も「お雪(雪子)」。何となく運命的なものを感じたり。
単に「雪のような白い肌」を想起させるためかもだけど。
裸になる=AV女優ということは無いのかも知れないけど、一応そっち系の人だったらしい。あんま名前でエロビデオ見たりしないのでピンと来なかったし、むしろ、それ(エロ)以外のちょっとした所作や言葉遣いにグッと来る。
主人公との出会いは、夕立に遭って家まで送ってもらうところから始まる。今思えば、それも客引きの一つだったのかも知れないし、着替える際の背中やはだけていく着物のエロさも最高過ぎるけど、
関係が深くなるにつれて、呼び名が変わっていくところとかも凄くいい。
「お客さん」「おまえさん」「あなた」「永井さん」「ウチの人」・・・
ぶっちゃけ最後は別れて終わる。「お嫁さんになってくれる?」「嬉しい」と抱き合いキスをするが、迎えに来ると言った日に永井は来ず、お雪は結局一人で悪びれもせず、悲しみもせず生きていく。永井は一人寂しく胃潰瘍をこじらせて死んでしまう。
なので、見返す時は「結婚の約束をする時」まで。
物語序盤では、別の女性と夜を共にしたりもする。宮崎美子とのキスシーンも結構いい。と言うか、
キスシーンの出来がかなり良い。
AVではない、情緒があるというか、上手いこと言えないけど「ステキ」なのだ。とても。
ともかく、そんな序盤はぶっちゃけ早送りである。お雪との出会いから、別れまでの「エロのあるラブストーリー」が誠に良いのだ。
途中浅草でデートする下りなどは、「ローマの休日」を思い出したりもしたし、
主人公の津川雅彦も相当良い。
「古めかしい言葉遣い」で元の小説っぽい表現を織り交ぜたりもするものの、お雪に心を寄せていく感じ、でも自分の年齢との差
※物語では主人公58歳、お雪25歳
を鑑み、一歩引いて向き合う側面も、見ていて安心出来る。直情的ではない大人の恋心。ある意味自分の対局?<ウルサイ黙れ!
二人のうちどちらかが画面に映ってるだけで、ただそれだけで撮れ高がある。
お雪は娼婦なので、他に何人かの男性から言い寄られたり、裸になったり、寝たりもするのだけど、見ていてわかりやすい、露骨なくらい「主人公だけが特別」な感情の出し方をしてるのも、「主人公がモテる話」が大好きな僕の好みにジャストミートする。
一言で言うと、むちゃくちゃかわいいのだ。この子が。
ATGアートシアターギルドという映画会社の最後の作品。転校生やお葬式くらいしか知った作品はないけど、時を超えて、ネットフリックスに取り上げられ、何となくだけど見始めて、
結果既に5回くらい二人の逢瀬を繰り返し見てることを思うと、
ちょっぴりATGの廃業が残念だなって思った。
ちなみに、監督や墨田ユキに、他の有名な作品はない。もちろん僕が知らないだけかも知れないけど、ホントにたまたま、フックした僕好みの作品だったって感じだな。
※原作の永井荷風の作品の中でも、これが一番らしい
クリス評価★★★★!
浴衣や着物系のエロ、細身でキレイな裸、明るくてかわいいヒロイン、時代を感じさせる雰囲気、悪くない主人公、、、。最初から最後まで楽しめるわけじゃないけど、出会いから別れまでは、
たぶんあと10回は見るだろうと思う。
30年近く前の映画にこんな言い方は変かも知れないけど、
20年に1本のエロ映画だったと思うわ。スゲェ良かった。
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