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2019年8月11日 (日)

ペンギンハイウェイ考察

★ムチャクチャネタバレしてるので、見てない人はスルー推奨。作品自体はアニメが嫌いじゃなければとてもオススメです★

今でもたまに思い返すのだけど、原作の森見さんは京大卒であり、他の作品を見る限り、かなり理屈っぽい人であることが伺える。本作でも、いろんなパーツが出て来るが、それらにはきっと何らかの意味があるんだろうなぁと思ったりもする。

考察サイトをしらみつぶしにチェックしたわけじゃないけど、軽く見て「なるほど」と感じたことなんかを織り交ぜつつ、ペンギンハイウェイの話をダラダラとしたいと思う。見てない人はぜひ見よう!

・・・

本作はラストでメインヒロインとも言える「お姉さん」との別れが訪れる。だがしかし、その後の主人公アオヤマ君は、特筆して悲観的にはならず、将来的に必ずまた出会うことを信じて終わる。「信念である」と言う言葉に軽く震えが来たが、それはつまり、

 絶対に叶えそうだな、この子は。

と言う安心感と、信頼感が僕にそう思わせたからだと思う。

 根拠などないのだけど。

ではどうやってお姉さんと出会うのか。そもそもお姉さんはどこに居るのか。いや、お姉さんは人間ではないというのなら、ではお姉さんは「何」なのか。

フィクションでありファンタジーである本作に、明確な理由付けは不要だと思うし、作者の都合で適当に紡いだだけだと言われても、別段文句があるわけじゃない。しかし、

 もしも「ソレっぽい理由」や「光明」が見えるなら、それはそれで楽しい。

もっと言えば「見えなくても」探すだけでもちょっと楽しいと思った。

・・・

考察サイトにあった話で、この作品のキーになっている点として、

 黒と白

が挙げられていた。言われてみれば、チェス、ペンギン、クジラ、昼間と闇、コウモリは黒だけど、ペンギンは白ってこともない。ジャバウォックが灰色なのにも意味が?黒白のネコをペンギンと見間違えたのは、ただの勘違いかも知れないけど、

 勘違いじゃないかも知れない。なぜなら、そこにペンギン号があったのは、偶然ではないと思うから。

あのペンギン号が凄く大きな意味があるように思う。なぜなら、

 あのペンギン号のライトは、まだ点滅していた。

そんなにバッテリーが長時間持つとは思えない。さらに、水が消えたあと、建物やら何やらに草やツルが生い茂っていた点も、無視出来ない気がする。

 アオヤマ君は、海を、「時空を超えた存在」と称するけど、

「時空」とはつまり、時間と空間である。一気に飛躍するが、

 この作品の本当のクライマックスは、

 アオヤマ君が大人になって、この謎を解明したときに出会うお姉さんは、「成長したアオヤマ君に相応しい年齢の、この当時のままのお姉さん」ではないか。

そう考えると、凄く面白く、気持ちいい。いろんな謎はわからないけど、少なくともなぜ「草が生い茂っていたのか」の説明にはなる。逆説的だけど、

 「時間を超えることが出来る」とすることで、お姉さんとアオヤマ君の年の差を無くすことが出来る。

物語はファンタジーだから、その理由もまたファンタジーであって構わないと思う。「白と黒」が重要であり、ラストシーンのネコが、

 実は「最後に少しだけ残った彼らの欠片」だったとしたら。

ペンギンと見間違えただけで、終えた物語だったけど、実はあのネコが「うる星やつらビューティフルドリーマーにおける夢邪鬼」のような役周りだったとしたら、喫茶店の窓から見えたペンギンは「本当にペンギン」だったかも知れないし、スッと姿を消したあのネコがまた現れ、「巻き取られたたこ糸」を持ってくるかも知れない。

荒唐無稽な空に浮かぶ街の景色は、つまりはこの物語が「サイエンスではないファンタジー」であることをアピールしたのではないか。だから、例えば劇中で人語を解さなかったネコだが、

 ペンギンたちはお姉さんの言うことを普通に理解し、行動していた。

あのネコが、そうした「人知を超越した存在」であっても、何らおかしくはない。

・・・

海が世界の穴で、それを修復するためにペンギンを召喚することが出来る存在としてお姉さんが存在したとしたら、お姉さんは誰に作られたのか。お姉さんの記憶や、窓から見える海辺の景色の写真は、いつ誰が撮って、アオヤマ君の手元にあるのか。

 あのネコとの出会いで、お姉さんにペンギンや海との関連性が付与されたとしたら、両親や海辺の街の記憶があってもおかしくない。

お姉さんは「いつからペンギンを出すことが出来るようになったのか」に関して明言していない。というより、そもそもアオヤマ君達がペンギンとのファーストコンタクトがあったのはそれほど昔の話でもないし、

 むしろあのネコと海がまず居て、そこからお姉さんが巻き込まれたと考えると、意外としっくりまとまる気がする。

この大がかりな物語には、強力な第三者の存在が不可欠だと思うのだ。

例えばハリウッドであるなら、宇宙人とか、ミュータントとか、古代文明とか、天変地異の類であるだろうし、中国や日本なら、昔話の神様の存在でもいい。凄く陳腐な想像になってしまうが、

 地球を飲み込んでしまう「海の穴」が生まれると、それに呼応して「神様のネコ」が呼び起こされる、、、

みたいな。伝承とか伝説でまとめてしまえばいい。

ともかく、

僕が一番スッキリしたかったことは、さっき書いた通りスッキリすることが出来た。

 アオヤマ君はなぜそれほど落ち込まなかったのか

 アオヤマ君は、将来お姉さんと再会出来るのか。

答えは、、、

 出来る。だから落ち込まない。

背が伸びて、お姉さんと並んでも様になる彼。きっと二人が向き合うチェス盤の向こうには、黒白のネコが大きなアクビをしているに違いない。▲▲▲△!

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