空飛ぶ車
こないだテレビで、そんな未来のガジェットが特集されてた。で、車に関しては、
実際問題みんながイメージするような「空飛ぶ車が行き交うような未来」は難しいと思う。
と、夢見がちな子供たちを前にバッサリ。
僕は冷静な大人なので、「夢はないけど真実みがある」話にフックするのだけど、結局のところ、医療機関などを中心として、
「空も飛べるような車」
は、
「車として車道を走ることが出来るヘリコプター」
としてなら、現実味があるのだという。ふむ。
あとは、「どこをどう見ても飛行機が車道を走ってるだけ」みたいなのは、以前も見た気がする。折りたたみ式の翼を伸ばして、長めで広めの一般道から離陸し、着陸する、みたいな。
思えばFF15のアップデートで実装された「飛行形態への変形」も、結局は離陸と着陸に長距離の直線道路が不可欠で、特に日本みたいに電線が張り巡らされているような場所では、「空を飛ぶどころか普通に走ることすらままならない」感じの機体だった。
ふむ。
でもだがしかし、夢を見ることは悪いことじゃないし、僕はそう言う想像をするのが結構好きなのだ。実際に自分がそれに関与貢献することがあり得なかったとしても、想像力を働かせてエピソードを紡ぐこと自体は悪いことじゃないと思うし、誰に気兼ねをする物でもない。
空飛ぶ車は実現するのか。
まず、「空飛ぶ車」とはそもそもどういった物なのか。いろんな視点、いろんな条件はあると思うけど、たとえば、
見上げる高さを自由に行き交う乗用車サイズの乗り物
とでもしようか。
で、その場合枷となるのは、
・浮かべるための浮力を作り出す動力と、出力
いわゆるSFの未来では「反重力エンジン」が発明されることで、大抵の「空飛ぶ」はクリアされている。でも実際には「反重力」などというものは、どこでもドアと同じくらい作り出すことが難しいものだと思うし、たとえば本当に超能力を使える人が近所に居ないのと同様に、未来永劫作られない事という気がする。
反重力エンジンは無しの方向で。
それでも空を飛ばしたいと言うことになると、やはり一番オーソドックスなのはVTOL(バーティカルテイクオフアンドランディングエアクラフト)垂直離陸機。ウィキペを見たら「慣例的にヘリコプターは含まれない」とあったけど、プロペラが無いわけでは無さそう。あと、ホバークラフトのように「辛うじて浮いてるだけ」のものもVTOLには含まれない。
理屈では、ジェットエンジンの噴射口を真下にして「空に飛んでいく」感覚で、「浮かび上がる」という感じじゃないし、
ぶっちゃけそれが未来の「空飛ぶ車」かと言われたら、僕的にはNOって感じだ。たぶんその番組に出ていた子供たちも「コレじゃない感」に苛まれたことだろうと思う。
ちなみに今回の話は、僕が科学者として一人前であることをアピールするような素晴らしいエポックメイキングな発想があって書いているわけではない。なので、別段答えは出ないし、期待されても申し訳ないとしか言えないのだけど、、、
そもそも、「車が空を飛ぶ」には何が必要なのか。エンジンとかプロペラとかそう言う話より前に、
「車が空を飛ばなければならない状況」
が不可欠な気がする。「必要は発明の母」という言葉があるように「求められればその分野は飛躍的かつ超高速で進化を遂げていく」スマホに限らずコンピュータ全般の進化はまさにそれだ。
しかし、まず現時点で「車が空を飛ぶ必要がない」。「飛んだら楽しそう」とか「未来はそう言うものでしょ」みたいな曖昧かつ実利の伴わない理由では「車は空を飛び始めない」。
車が空を飛び始めるには、「空を飛ばなければ絶対的に困る状態」になるか、もしくは「空を飛んだ方がいろいろと都合がいい世界」にならなければならない。
それってどういう状況が考えられるだろう。
まず僕が思ったのは、
地球上の地上という地上が全て海に沈んで、陸地が無くなってしまう未来が来たら、車は空を飛び始めるのではないか。
ただ、これも結局のところ「海の上に人工島や人工の道路を敷設して、空を飛ぶには至らない」気がしたし、そもそも、
空を飛ぶより先に、車並みに高速移動出来る「ジェット船」が進化していく気がした。
別段空中まで上がる理由がないのだ。
では、「水上が存在しない未来」はどうか。溶岩とか地殻変動がひっきりなしに起こるような状況であれば、否応なく人は空を移動せざるを得なくなる。
でもこれとて今のVTOL機が車の形になる理由にはならない。
一般人が普通に給料でVTOLが買えるような未来が来るとは思えないが、それでももしそうなったとしても、「わざわざ車の形にする理由」が乏しい。モーターショウでは様々な「未来カー」が僕らを楽しませてくれるけど、たとえば「車が飛行機の形になるのは空を飛ぶため」でも、「飛行機を車の形にする」のは、たとえばモーターショウならぬ「プレーンショウ」でも想像するのが難しい。そんな形にする意味がないもの。
「車の形である必然性」が欲しいのだ。「平べったい直方体」で「翼が無く」「4人乗りくらいのコンパクトサイズ」である必然性が。
一旦視点を変えて、「自由に空を飛ぶことは出来ないが、空に張り巡らされたパイプやレールを使って、車が空中を行き交う未来」はどうか。映画「トータル・リコール」のように、一見するとリニアモーターカーの技術を「使っていそう」な中空に浮かぶ車と、レールのような空中回廊。
少なくともその形であれば、翼も不要だし、4人乗りくらいになりそうだし、形も車っぽい。
問題はその「レールのような空中回廊」が実現する可能性があるのか。
これはズバリあると思う。でも、
それは今の地球じゃない。
重力がもっと低い、たとえば月みたいなところなら、地面を這わせるより空中にレールを敷いた方が移動が効率的になる、地上にももちろん道路はあるだろうけど、それはあくまで近距離での移動で、100km以上の中距離や1000km以上の長距離移動には、、、
でもやっぱコストが合わないか。
もう一つ考えたのは、
人類がエラ呼吸するようになるような未来。
「空」の定義が一気に揺らぐけど、「見上げる高さを自由に行き交う乗り物」という条件であるなら、たとえばそれが「個人乗りの潜水艦」みたいな感じ、わかりやすいところで言えば、
●007 私を愛したスパイに出てきた「水陸両用のロータスエスプリ」
https://www.youtube.com/watch?v=D1MDwVRgoQc
これだ。当時はまさに胸を躍らせたスーパーカーだったけど、ある意味このワクワク感は、「空飛ぶ車」のそれに近い物があった気がする。
ちなみに↓
https://japan.cnet.com/article/35038774/
この車は、2013年のオークションで約100万ドルで落札され、「実際に潜水可能な唯一の車体」だったそうな。変形もしないし路上も走れないが、「実際に水中を航行出来る車」ってのは、無茶苦茶夢があるなぁと思った。
つまり、「本当に空を飛ぶのが無理」なら、全てが海中に沈んで、人間も水中で生活するようになる未来が来るなら、「その水中」は、海底から見たら「空」なんじゃないか、と。海底≒地面を走ることより、水中を航行することの方がメリットが大きく、デメリットが少ない状況になるなら、それは図らずも実現する可能性が高くなる。
だって必要は発明のマザーなんだから。
---------------
どういう形になるにせよ、一つだけ間違いないのは、
僕が生きてる間には実現しない
ってことだろうな。まぁ「21世紀に間に合いました」とか言うコピーでプリウスが発売されたときみたいに、
「これのどこが間に合ったんだよ?」
って思ったのは僕だけじゃないだろうからね。▲▲。
| 固定リンク
コメント
クリスさん
皆さん
こんにちは。
幼い頃は、21世紀には車はみんな空を飛んでいるのだろうと思っていました^^;
全然、そんなことにはならなくて、むしろ飛ばなかったことに安心もしているので良いのですが。
20代のはじめにリニアモーターカーの仕事を少ししたのですが、それさえまだ実用には走っていませんし^^;
皆さま大変な事象の折、ご自愛下さいませ。
投稿: 月ノ丞 | 2020年4月 9日 (木) 00時46分
ちす月ノ丞さん、クリスですまいど。
アニメを見ていても、エクスヴィアスをやっていてもそうですが、
空を飛んでる状態
ってのは、凄く怖いことなんですよね。「それでよかった」って書かれてましたが、ホントそう思います。あと、
異世界に飛ばされて、平気で居る感性とかも、正直ちょっと怖いなぁって思ったりしたりもします。
今日の「バハムートの前に佇む3人」で、二人が消えた後レインだけになったじゃないですか?
その瞬間スゲェ怖いと思うんですけど?笑
てかそんなことより、
「リニアモーターカー関連の仕事」!!!!
凄すぎワロタ!(^^。何そのカッコイイヤツ。ズルイ!僕にもわけて!裏山RMCですよ!マジで。
平和に笑ってテレビ見てる自分も居るんですけどね。時々現実に引き戻されますね。
投稿: クリス | 2020年4月10日 (金) 21時06分
クリスさん
こんにちは。
あまり羨ましくないような仕事です^^;
節電のための力率計測装置とかの開発なので、裏方の、更に裏方の仕事なので。
今は春休み進行のアニメを見たり、クリスさんの書いていた映画を見たり^^; の毎日です。
翔んで埼玉がAPVで無料になった瞬間に見て、直後にCSでも見て……みたいなw
投稿: 月ノ丞 | 2020年4月12日 (日) 03時45分