日本沈没2020
ネットフリックス専売のアニメ。全10話一気に配信。
原作はいつも通り小松左京。自分の接点は、藤原弘が出てたたぶん初代の映画と、草薙君の平成版の二作。他にマンガや小説、あとテレビ版もあったと思うけど、それらは摂取していない。
摂取した、と言っても既に10年以上?前の話で、覚えていることと言えば、
日本沈没を訴える博士が、誰にも信用されず、結局日本は沈む。
このくらい。特にあらすじやらエピソードやらで覚えていることも、、、あ、潜水艦のシーンがあったかな、まぁそんなところ。
本作は、タイトルに「2020」とあるように、現代を舞台にした物語。博士の一人である小野寺も、「全身麻痺※まぶたと親指しか動かせない」の状態で登場した、「続き物のような雰囲気」ではあるが、
日本が沈んだ後の話というわけではない。
強いて言えば、小野寺が予言した大災害が、2020年だった、と言う感じか。
・・・
そもそもディザスター映画が好きだったこともあり、配信直後からチェックはしていたものの、テレビシリーズ扱い=全10話の長尺であることもあって、なかなか見始める決断が付かなかったけど、連休で「ガッツリ見るなら今しかない」というタイミングもあって、午前中から「一気見するつもり」で再生開始。
オープニングの中で、アニメスタジオが、サイエンスSARUである事がわかった時点で、
もしかして湯浅監督か!?
と思いきや、まんまと湯浅政明監督。つまり「映像研には手を出すな」の監督であり、期待はグッと高まる。ただ、
それ以外の作品でそこまでフックしたモノがあるわけでもないのだけど。
・・・
物語は2020年を舞台にしているだけあって、
・スマホ
・ネット
・東京オリンピック
・eスポーツ&ユーチューバー
などがキーワードとして出てくる。あくまで「原作小松左京」であるだけで、小松左京のノベルを映像化したと言うわけでは全く無いようで、監督や脚本家のオリジナル作品という感じだった。
ネットフリックス専売のアニメの特徴として、
・作画にそこまでコストを掛けてない
・キャッチーなテーマと展開
・気持ちよく(区切りよく)終わる
などがあると思うのだけど、実際映像研で見られたような「作画のオーラ」は無く、
劇画タッチのキャラクターは、正直気持ち悪いレベルのものも少なくなく、特にヒロインがカワイイというわけでもなく、題材が題材だけに相当暗い話になってた。
まぁわかってたと言えばわかってたことなのだけど。
今から見ようと思ってる人に伝えてもいいことがあるとすれば、
※さっき小野寺博士の話を書いちゃったけど
・10話でキッチリ終わる
・結構グロ
・ツッコミどころ満載
・過去の映画は全く関係ないと言っていい
こんなところか。
草薙君の日本沈没がスゲェ好きだったと言う人も、藤岡弘のテレビ版がそりゃもう凄かったと言う人も、
アニメだから全然違うアプローチだったりはする。
一言で言えば、
迫力はない。
いや、「アニメだから」と言うのは語弊があるか。きょうびアニメでも実車に負けず劣らずの映像を作り上げることが出来なくはないから。
でもそれを差し引いても、正直「アクション映画」という感じは薄く、天地がひっくり返るほどの大災害に遭遇した家族が、いかに生き延びるか、が描かれている感じだった。
クリス評価は★★。ちょっとおまけ気味。
ほぼほぼ早送りしたくなるシーンは無かったし、実際一気に、トイレ休憩一回挟んだだけで見終えることが出来たことは評価するけど、、、
※※※以下ネタバレに入っていきます※※※
正直言って「ツッコミどころが多すぎ」て、がんばって「これはエンターテイメントであって、リアルなSF映画ではない」と言い聞かせ続けながら見てた。
なぜそこでその行動を取るのか!とか、なぜそこにそれがあるのか、とか、
終盤、目の前で一緒に遭難したカイトが、水陸両用の軍用車両に乗っていきなり現れた時は、
さすがに「そこまで投げちゃって許されるんだ、、、まぁ許されるか、もう9話だしな」とこっちもいろいろ諦めた感じ。
中盤の宗教じみた展開も、
悪いやつなのかイイヤツなのか、結局よくわからないままで、かつ全体の物語からしたら特に厚みを持たせる必要が全く感じられないパートであるにも関わらず、かなりの尺が取られていて、元は劇場版のつもりで作られた企画を、強引にテレビシリーズ化したような印象を強く持った。
電気は太陽光にしても、水道やお酒などが安定供給されるわけのない世界だったと思うのだけど。
あと、これは元の原作のテイストだったのかも知れないけど、
とにかく人が死にすぎる。
もう驚くほどサクサク死ぬ。まさかこのタイミングで!?と言う感じに死ぬこともあれば、「さすがにこれはフラグでしょ」と思わせつつまんまと死ぬことも多い。
なんだろ、こんなにサクサク死ぬ映画は、エイリアンシリーズくらいじゃね?ってくらいよく死ぬ。
それも結構グロだったりもするし、人によってはここがかなり抵抗があるかもな~とも。
それでも最後まで見ることが出来たのは、飽きさせないようにがんばってメリハリを組み立ててくれたこと。前述の宗教のシーンも、他との差別化という意味ではよく組まれていたと思うし、日本が沈没する過程という意味では、上手く「考えられる展開を拾い集めた」な、とも思う。
まぁ終盤の終盤、これだけ日本が沈没して、富士山がテッペンくらいしか見えてない状態で、海沿いにあるであろう灯台がまだ普通に動いてるのもどうかと思ったけど。
まぁ水陸両用車両のインパクトを考えれば、他の事は全て「まぁあるでしょう」って感じか。
作画が崩れると言う表現ではかたづけられないほど、人物の表情、と言うか顔立ちそのものが千変万化するのは、ある意味湯浅監督の真骨頂かも知れないので、「確信犯」として受け取らざるを得ないかな、とは思うけど、
それでもまるで妖怪かよ、と言いたくなるいくつかのカットは、
・・・そこまで壊すこと無くない?
って思ったりもしたな。
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休日の暇つぶし、最近あんま見かけなくなったディザスター映画が見たい人で、アニメに抵抗がない人が見るなら、十分それなりの作品だったと思う。ただ、前述のようにかなりグロなシーンも少なくないので、その分は覚悟が必要だとは思うけどさ。
・・・
とりあえず、コレを見たからと言って湯浅監督の評価が下がるってことはなかったよ。
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