実写とプラモの合成の話
こないだ早朝に撮ったドムが好評だったので、それを使ったデジラマを作ろうと思ったのだけど、いざフォトショでドムを切り出し、同じ角度から太陽が当たっている背景写真と重ねてみても、
とんでもなく違和感がある。特に足元。
こういう時物理や数学に長けた人なら、この印象の是正がスマートかつ的確に出来そうなものなのだけど、あいにくこちとら高卒であり、既に老人に一歩踏み出している50歳(もうすぐ51歳)。その答えがなかなかに出せなかった。
とりあえず、一歩前進したのは、
・僕の撮ったドムは、多少の巨大感、視線を意識してやや煽り気味に撮った
・背景の名鉄電車の高架は、僕がそのまま真横を向いて撮った
つまり、「視線の角度」が違うのだろうな、と。
高架を撮る際に「見上げるように」撮ると、足元のガードレールやら自動車やらが入らなくなる。遠景にある建物も、角度を上げれば画角から外れてしまう。「高さ」を示唆するオブジェクトが減るから、と言う理由でリアリティが欠けると思い、勢い写真は「自分目線」のものが多かったのだけど、
それならそれで、ドムも「何メートル先に居る」かを想定しつつ、その視線で写真を撮らなきゃいけなかった。
わかりやすく言おうとして言えないながらも文字にすると、仰角(見上げる感じ)で斜めから撮ると、パッと見は巨大に見えるけど、手前側の足は画面の下の方に伸び、奥側の足は「位置的に高い位置になる」。
しかし、背景写真で本来の縮尺であろう20m前後の巨大ロボットが「高架の向こう側に居た場合」、左右の足の「画面内での高さ」はたぶんそこまで変わらない。と言うか、たぶんだけど、、、
地面が斜めになってないと、縮尺の違いをごまかしきれないような気がする。
事実僕がドムを撮った橋の欄干は多少なり角度が付いてたし。
※それが原因なのかはよくわからないけど
で、前回のユニコーンの時は、思い切って手前側の足を「切って」「植え込みの向こう側に隠して」しまった。なので、そこを注視すると、
とんでもなくおかしく見える
のだ。
で、選択肢としては、
・脚を完全に隠してしまう
と言うのもあるとは思うのだけど、言ってしまえばそもそも「隠さなければならないような脚」の角度で写真を撮ってしまっている時点で、「リアルからは破綻している」わけで、今後もこういった「実写とプラモをリアルタイムで同時刻ロケーションで撮影して合成したい」と思ったら、その部分をキッチリ咀嚼して消化しないと、
進歩は無いと思った。
しかし言うは易し。ただ水平にドムの写真と撮ったところで、「本体がカメラに正対してない限り、手前の脚は画面の下になる」ことに変わりはない。
おもむろに「お台場ガンダム」でイメ検してみたところ、ほとんどの写真はガンダムを正面から捉えていて、斜めからのものは「足先まで映ってない」ものばかり。てか、1/1と言うスケールの持つ「リアリティ」はさすがとしか言いようが無く、一体どうしたモノかと途方に暮れてしまうばかり。
今ふと思ったけど、これって「地平線」と「視点」とかが関係してるんだろうか。ドムを撮ったときの「水平」と「背景の水平」がズレてるからこんなに違和感があったりするんだろうか。
いやでも二つの写真を見比べる限り、そこまで角度に違いがあるようにも思えない。
当たり前なのは「目の前のプラモ」は13cm弱で、実際のドムは18.6m。リアルで13cmのものを18mに見せようとしてるわけだから、どこかにウソが出てくるのは当然と言えば当然なのだけど、
SF映画とか見てても、そう言うのを感じたりしない。
映画で感じる違和感は、「ハリボテ感」。つまりそのもののディティールが甘くて、本物っぽく見えない違和感で、「角度が違う」とか「何かがおかしいけど何がおかしいかわからない!」みたいなのは感じない。
もちろん、昭和の特撮であれば、そうした「合成のウソ」を含めて違和感を消すためか、
街ごとミニチュアで作り上げる
ことで、「小さなゴジラをその大きさで見せていた」。しかし、技術も進歩して、今ならCGだってバンバン使う。
ミニチュアのゴジラを実写に入れても違和感を感じさせない絵作りは出来ている。
うーむ。友達に特撮映画監督は居まいか。
選択肢として、
・完全に真横から撮って片足しか画面に入らないようにする
と言うのも有りかも知れない。でも、正直それでも「片足の中で違和感がある」んだよな。今目の前で撮ってみて感じたことだけど。
・ビルの合間から上半身だけ出す
とかなら脚は映らないけど、僕の住んでる田舎にそんなちょうどいいビル群はないし、「ビルの向こう側のビル」はドムに壊されたりしてるのか?みたいな疑問も出る。いきなり野っぱらに「ドムの下半身だけ隠すビル」のある風景とか、滑稽以外の何物でもない。
可能性としては、ポリゴンで世界とプラモを構築しないと、本当にリアリティのある絵は出来ないってこともあるのかも知れないとも思う。つまり「昔はオフラインで作っていたミニチュア、今はオンラインで作ってる」だけの話。実際、1/1のミレニアムファルコンを作ったのは、「1/1でなければリアリティは出せない」からだったと思うし、考えれば考えるほど、
プラモと実写の合成は難しいモノなのかも知れないとも思えてきた。
それでも、もし現実世界の中にMSが存在していたら、そこには確実に「正解の角度と見え方」があるわけで、その見え方になる角度でプラモを撮り、「そこに置くことが出来れば」、あと太陽光とか影とかの帳尻があっていれば、
きっとリアルなドムが見えるはずなのだ。
僕のカメラや今の技術では、「その角度で13cmのプラモを撮ることが不可能」な可能性はあるけど。
あー頭が良くなりたい!
頭が良ければ、そこからの距離とか、頭を見上げる角度とかで、もし「居た場合」の見える大きさとかも計算ではじき出せそうな気もするんだけどな。
一旦諦めて正面から、つまり足先がほぼ揃ってる写真を使って作ってみた。やっぱり足は変。でもそれ以外もやっぱどこかが変。何をどうすればリアリティが上がるのかがわからない。経験なのかひらめきなのか、
もしくは運なのか。
●クリスの濃い部屋出張版~デジラマドム~
https://crisdeep.blogspot.com/2021/04/blog-post_14.html
長男に言われたけど、ホントはもっと近くからのが迫力もあってイイと思うのだけど、とにかく足の破綻でリアルどころの騒ぎじゃなくなるのだ。てかプラモ作ってる人で同じようなことをやってる人と知り合いになりたいわ。
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コメント
クリスさん
こんにちは
ちなみに、こんな本もあります。宣伝になってしまいますが……
「Ultimate Lighting Works
美しいポートレートを撮るための光の魔法」
カメラの位置やライティングの方法などが詳しく解説されています。
妻の姪が大変お世話になっているカメラマンのHASEOさんで、妻も私も足を向けて寝られない方の本です^^;
いつも直接個展に誘っていただける程度にはウチも近しくさせていただけています^^;
3DCGを作るのにも、撮影にもとっても参考になりますので、もちろんウチでも出版直後に個展で買いました。
この方は撮って出しが専門なのですが、この本は合成でも役に立つこと請け合いです。
愛知県の方なので、機会があれば? 興味があれば、是非個展にも足を向けて下さい。大阪が終わったところなので、次は数年ぶりに東京でお会いできるはず。
投稿: 月ノ丞 | 2021年4月18日 (日) 00時53分
どもです月ノ丞さん、クリスですまいど。インスタ始めたことで一番の収穫は、自分が「見てみたい」と思ってたようなデジラマや合成写真をアップしてる方が、僕の写真にいいねしてくれることでその人の存在に気づけたことです。世の中には「絶対居る」と思っていましたが、それを見つけるスベがなかった。
もうひとつは、マメにアップしないと忘れられそうな切迫感に駆られること。緊張感と言ってもいいのですが、「僕は急かされるのが好き」なんですよね。ほとんど急かされないので。なるべく数日に1枚は新作を上げなきゃな、と思えているのが、存外収穫でした。
そんなことを考えながらその本の紹介ページを軽く覗いてみたのですが、今の自分にはまだ早いと言うか、「自分の知らない言葉をガンガン使う本」は、正直住む世界が違うと感じました。もちろんこの先自分が学び、変わっていくことで理解し、踏み込める日が来るのかも知れませんが、ゲームでもプラモでも、初心者の視点を欠いた説明には説得力を感じないので、
※僕自身の理解力や咀嚼力が弱くなってることも凄くあります
価格的には手が届く感じでしたが、欲しくはなりませんでした。スミマセン。
てか、被写体がガンプラだったら、たぶん100%買ってたと思います。笑。ガンプラであることは、結果的に「対象に素人を含めざるを得ない枷」も加わるので、勢い「子供向けな説明も含まれやすい」んですよね。
ともあれ、そんなガンプラですら模型のイロハ本みたいなのを全く最近は買っていません。それはつまり、「持ってて当然」「やってて当たり前」なことを凄く「被せてくる」気がするから。今プラモ作ってる人って、前も書きましたが2極化してる感じで、僕はそのどちらでもないところで自分なりの楽しさを探してるんですよね。だからその両極に共感もしづらいし、でも逆にそのどちらもが見いださない楽しさを見つけてる感じ。
月ノ丞さんにガンダムの写真褒めて貰って、メチャメチャ嬉しかったです!ただ、「静から動に」なんて洒落たことを言われちゃうと、
何も考えてなかった分、穴があったら入りたい気持ちで満たされてしまいましたわ。笑
今はとにかく「存在感」にリアリティを持たせるにはどうしたらいいか、そればかり考えていますね。「存在感のあるガンプラデジラマ」が本当に滅多に無い分、付けいる隙があるような気もしますし。
投稿: クリス | 2021年4月20日 (火) 23時49分
クリスさん
こんにちは
一目見て「緊張」を感じたんです。
先の戦闘の補修も終えていないのに、また少しの後には……みたいな。そういう風景とそういう覚悟に思えて、それがとても格好良くて、なんだか自分もニタニタしてました^^)
ここのところ頭痛が酷くてダウン気味のところ、思わぬご褒美な感じです^^)
投稿: 月ノ丞 | 2021年4月21日 (水) 00時41分
どもです~。月ノ丞さんに言われるまでは、「実生活の中にいかに溶け込んでる写真を撮るか」に腐心していたのですが、あれから動きというか、「間」みたいなものを考えるようになりました。
ただ、考えたからすぐ出来るってものでもなく、何て言うか、前後のストーリー?みたいな?それまでは「そこに居たらこう見える」「こんな格好なら見栄えがする」って感じだったのが、「このMSは何をしている」とか「どう動いてこうなった」みたいなことを考えるようになった、みたいな。
ただ、実はその二つは微妙にリンクしていないというか、写実的にリアル(かっこつけて言うとフォトリアル)であっても、アニメや架空の兵器として物語性が込められるわけじゃないんですよね。例えば、自衛隊の車両を見ても、すぐそこから戦闘シーンが想起されるわけじゃないじゃないですか?それ単体でもかっこよさはあるし、存在感もある。
逆にアニメシーンの銃撃戦のように、ビームライフルを撃ってるとことかをデジラマに落とし込んでも、実際にビーム兵器を撃ってるところを見たことがない僕らには、リアリティが無いかも知れない。ビーム兵器なのに薬莢が周囲に転がってる方がリアルを感じちゃうかも知れないんですよね。
もちろん両方を追った先に結実する一枚は存在するとは思うのですが、今はまだ雰囲気だけ◎なら十分かなぁなんて思ったりしていますよ。
つか昨日は体調崩してヤバかったです。月ノ丞さんのフレコメみると、なんだかいつも調子悪いみたいで大変だなぁと思ってしまいます。自分1日ツライだけでも死がチラ付いたのに、、。
投稿: クリス | 2021年5月 1日 (土) 23時02分