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2021年8月15日 (日)

恋は雨上がりのように

最近インスタの広告からマンガをチラ見する機会が増えて、「マッシュル」「ゴッドオブブラックフィールド」「姫様拷問の時間です」「高嶺のハナさん」などを読んだり漁ったり。

で、久々休みに古本屋へ。一店目では全滅。で、二店目も「マッシュル4巻だけ」「姫様、、、1巻」だけ。で、

 ふと目に付いた「恋は雨上がりのように全巻」と「ラーメン大好き小泉さん8、9巻」を購入してきた。

絵柄的にそこまで大好きというわけでもなかったけど、とにかく実写映画が面白かったし、何より、

 あれで終わりなのか、あの続きがあるのか

が気になって気になってしょうがなかった。

最初棚にあったのは抜け巻数冊だったのだけど、レジで訊いたら「完結の10冊セット」が割安であったので、そっちを購入。

 夏の休日、クーラーの効いた部屋で、マンガにどっぷりとハマる贅沢。

いやはや、、、

 スゲェ良かった!

正直締め方に関してはもう一ひねりあったかなぁ※後述 と思ったりもしたけど、

 一瞬で1冊読み終える感じ?

 面白いマンガって読むのが加速する感じがする。

3巻を読んでたはずなのに、いつの間にか次が7巻になってる!誰だ隠したのは!!って目の前に積まれてるわけで。

作者の眉月じゅんさんは、「九龍ジェネリックロマンス」というマンガを(たぶん)連載中で、それも途中までは読んでたのだけど、

 ホモが出てきて読む気が失せた。

まぁ女性誌っぽい作画と内容だったのかも知れないけども、、、。
※つまりホモは商売的に必要だったのかもと
※「恋雨」はスピリッツ

・・・

「恋雨」は、17歳の女の子橘あきらが、45歳のファミレス店長(近藤。バツイチ子供は母親と同居)に恋をする話。きっかけは、エーススプリンターで足を負傷し、落ち込んでるときに励ましてくれたからなのだけど、、、

 二人の設定がなかなかに絶妙で、見ているこちらもワクワクドキドキしてしまう。

このマンガ(ドラマ)は、読み手の年齢によって見え方がかなり変わると思う。ティーンネイジャーには「45歳の男性」が恋愛対象になり得ると言うイメージが湧きにくいと思うし、51歳のオッサンには、「そんな夢物語はあり得ない」と思いつつ、

 ファンタジックな設定にときめいてしまう。

つまり、どちらかと言えばこの作品は「中年向け」のラブストーリーで、言ってしまえば、

 僕なんかがジャストミート世代。

劇場版の配役小松菜奈と大泉洋も最高で、勝手に後日談をねつ造するくらい大好きだったのだけど、、、

 マンガはマンガでいろいろ映画とは違ってた。

ただ、、、、

 いきなりネタバレに入っていくので、マンガ版を読んでない人、読む予定の人はここから先は読まないように!

 読まないように!

 読む予定がない人で興味がある人は、まず劇場版を見よう!

 まだネットフリックスにあると思う。

 ・・・見た?マンガは読まない?

じゃあ続き。

 結末は同じような曖昧なニオイを残しつつ、微妙に違う。

例えば1年後、2年後、3年後、マンガと劇場版それぞれに物語が続いていった場合、それが「同じになる可能性も、離れていく可能性もある」。つまり、

 紡ぎ方は違うけど、後味はかなり近かった。

キーに感じたのは、「雨宿り」と言う言葉。

 雨宿りというのは、終わりが来る。でも、また雨宿りすることだってある。

恋の終わりを示唆するマンガのエンディングだったけど、このあと恋が愛に変わらないとは限らないし、何よりあきら(ヒロイン)が、店長のことを一切嫌いになる理由がない。さらに店長も彼女を嫌う理由もなく、むしろ好きな気持ちの描き方は、劇場版よりマンガ版の方が色濃く出てるくらい。

 時間はいろんなことを変えていくからな。

あきらの想いがずっと続いていけば、店長にも届いて、何かが変わるかも知れない。「雨宿り」だったこの恋も、「今度は雨宿りじゃない」時が来るかも知れない。

店長が気持ちを自制する場面の機微は、劇場版より遙かに強く伝わってきたし、だからこそ「好きなんだなぁ」とも思った。

あと、マンガの方が「心に刺さるセリフ」が多かった。メモしなかったので引用出来ないのがもどかしいけど、純文学が好きな店長が、それを引用しつつ場面に重ねて気持ちや状況を説明する下りは、劇場版では「理解させるのに時間が掛かりすぎる」ためかほぼ使われなかった。

マンガでは読み手のペースで自由に「深掘り」出来ることもあって、時には風のように速く、時には岩のようにじっくりと場面を楽しむことが出来た。てか、

 登場人物がみんな凄くイイ。

劇場版ではほぼ悪役だった厨房のチャラ夫が、実はシスコンで悩みを抱えていたり、
※それでも最後一切フォローせず丸投げだったけど。他にも丸投げがいっぱいあってネットでは「打ち切り説」がまことしやかに囁かれまくってたけど

店長の知己であるメジャー作家が有望な若手と触れてモチベが上がったり、あと職場友達の女の子があきらの友人に告る展開とか。でも、

 店長には一切明るい未来がなかったり。
 ※劇場版では最後昇進するのに!

最後、読者に丸投げENDだったので、ファンからはバッシングがひどかった。でも僕的にはそんな悪く感じなかったんだよね。

 少なくとも誰かが傷つく終わりじゃなかったし。
※この点劇場版と同じ

結局のところ、「これしか選択肢はなかった」んだと思った。

店長があきらに手を出したら、モラル的に問題があるかも知れない。

かといってバッサリと傷つけるような別れは似合わない

陸上に復帰するのにいつまでもバイトしてる場合じゃないだろうし、

「雨上がりの青空END」は見た目にもキレイ。「雨上がり≒恋の終わり」と言うのが、「恋は雨上がりのように」と言うタイトルと微妙にズレているのが気になると言えば気になるけど、

 傷ついて怪我をした自分に、雨上がりのようにやってきた恋心と、もどかしく思い通りにならない恋心や、走る事への未練が再び「雨」を降らせ、陸上への復帰と恋の終わりを、再度雨上がりに例えた、、、のかな、とか。

 「恋は雨上がりのようにやってきて、雨上がりのように終わった」

・・・って僕的には「あきら×店長推し」なので、全く終わって欲しいわけじゃないんだけどさ。

ちなみにマンガ版では別れた奥さんも一瞬だけ出て来るけど、そこに店長の未練はない。

 ホントにどうとでもできそうな終わりだった。

・・・

登場人物と実写のキャストは、これ以上ないくらいピッタリ。違和感がなさ過ぎてマンガを読みながら実写が浮かんでくるレベル。キャスティングした人マジスゲェ。

どちらが面白いかと訊かれたら、正直答えに窮するレベル。ただ、劇場版の方が流れに澱みがなく、シェイプされ洗練されている感じはする。でも一方でマンガの方がキャラクターの心情は丁寧に描かれていて、、、

 映画の方がキュンとするけど、マンガの方がグッと来る。

クリス評価は★★★★とかなり高い。10冊で税込2500円は、この手の娯楽としては大満足だったし、

 最初に数巻歯抜けで買わなくてホントによかったわ。

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以下蛇足

てかガチでこんなファンタジーが実在したとしたら、店長は絶対手を出してたと思う。でも、その店長には普通はある「妻子」という枷がない。あるのは世間体だけ。でもその世間体だって「17歳なら結婚も出来る年齢」だ。お互いが了承しさえすれば、、、まぁ会社内での昇進は厳しくなるかも知れないけど。

手を出されたあきらは、当然のように今まで以上に店長のことが好きになっていく。結果陸上への想いも薄れ、物語としてのハッピーな終わりとは言いがたくなる。

 では、高校を卒業してからならどうか。

陸上選手としてオリンピック、、この頃なら東京2020を目指したかも知れない。でもそのあと、そのさきなら、、、

 その時まで気持ちは繋がっているのだろうか。

店長から実質クビにされて、メールでのやりとりも徐々に減っていき、恋心も日に日に薄れて行った先に、新しい出会いがあったとしたら。

 女は上書き保存。

マンガで店長が「橘さんは忘れてしまう。でも忘れてもいいんだ」と言うセリフは、本当のことだと思った。あきらは忘れてしまう。店長は忘れない。

 リアル過ぎる結末。面白みもなく、中年男性の夢も希望も無い。

当然そこまでは描けない。となると、、、

 僕は、、僕ら読者は、何をこの物語の結末に期待すれば良かったのか。

確かにくっついて欲しい気持ちは凄く強い。でもくっついても、その先に幸せな結末がなければ、その答えは「間違い」だ。一体どうなって欲しかったのか。

マンガの中の店長は本当に魅力的だ。彼女のことを思い、自分の気持ちを抑え、選択は常に正解だった気がする。そう言う意味では、あきらが彼のことを好きになるのはむしろ当然だったとすら思うし、その思いがそんな安易に消えてしまうのか、とも思えてくる。

「時と共に薄れ」なければ、「メールの頻度もむしろ増えていった」のなら、オリンピックの競技場で、彼女が「一番伝えたい人」に店長の名前を挙げたとしたら、、、

 現実に縛られる51歳の中年男性としては、そんなファンタジックな結末を望んでしまうのだよな。

てかあきらは、数少ない店長との性的なコンタクト
※手を繋いだり、ハグしたり、腰を抱えられる程度
でも、全く嫌悪感を感じ無いどころか、完全に「恋する乙女モード全開」だったわけで、それが「恋の魔法」だったと気付くこともなく、幻想でも思い込みでもなく、

 普通に好みとして店長が好きだったんだろうと思うし。

それはニオイとか趣味とか、例えば「部屋にテレビがない」とかにも通じてたと思うし。
・・・

二人が結婚したら、あきらは店長の店に就職するんだろうか。陸上で名を馳せ、スポーツキャスターや企業ランナーとして大手に就職するんだろうか。どちらが幸せなんだろうか。

店長はきっとずっと書き終わらない小説を書き続けたはず。でも、結婚や恋人としてあきらを迎え入れたとしたら、それが転機になったかも知れない。ポジティブ過ぎるし、世の中そんなに甘く無いとも思うけど、今の仕事を続けながら兼業作家としてもそれなりに有名になって、あきらの名字が近藤に変わる未来が来るのなら、

 それは結構幸せなんじゃないの?

とも思えるんだよな。一気に時を超えて、そう言う未来をワンカット描いてくれてもよかったかな、とも思う。過程はみんなで妄想するから。

追記

20/08/09頃のネタで、劇場版の感想と、

 結構な妄想後日談を書いてた。

●恋は雨上がりのように
http://cris-deepsquare.cocolog-nifty.com/top/2020/08/post-fdc0af.html

今読み返したら、、、

 まことにイイ感じ。さすがオレ、オレの好みをよくわかってる!

まぁマンガ版を読む前、劇場版だけの情報で妄想してるから、多少今とは感じ方が違ったとは思うけど、やっぱり二人にはくっついて欲しいなぁ。

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