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2022年6月 5日 (日)

シャイニング

休日の午後、何か映画を観たくなり、ネットフリックスを物色。既に見たことはあったが、また「美味しいところだけ」見たくなって、レディプレイヤーワンを見始める。

レディプレイヤーワンは、劇場で見た時に最高に面白く、ブルーレイも購入した作品。ただ、その盛り上がりには大いにムラがあり、言ってみればマイナスの溜めも多い。まぁ美味しいところがどこか知ってるから、そこだけ見れば十分満足なのだ。

で、それを一通り見たあと、と言うか見てる最中に、

 まだ見てないんだよな、、、

と毎回思う映画がある。そう、シャイニングだ。

スタンドバイミーのスティーブン・キング原作、2001年宇宙の旅のスタンリー・キューブリック監督、主演はジャック・ニコルソンの「モダンホラー」だ。
※公開は1980年、つまり僕が小四の頃

 モダンホラーって何?って感じだけど、、、

僕は子供の頃、オーメンとか、サスペリア、13日の金曜日みたいなホラー映画が非常に苦手だった。一方で、巨大蜘蛛軍団の襲来や、アリゲーター、ブロブなどのクリーチャー映画は大好き。つまり、

 絶対にあり得ない怖さは好きだけど、あり得そうな怖さは「怖い」人だった。

本作をずっと見られなかったのも、そんな苦手意識があったからだが、余生が短くなってきて、死ぬ前に見ておいてもいい映画とは何かと振り返ったとき、

 シャイニングはその中の1本かも知れないな、と。

あと単純にレディ・・でのシーンがどの程度の再現度だったのかを、あらためて噛みしめたくもなったし。

・・・

昔の映画なのでネタバレは有りで感想を書いていくけど、とりあえずまだ見てない人でオススメ出来る人が居るとしたら、、、

・狂った親父に殺されそうになるのが平気な人

なら、結構オススメかも知れない。本作は、少なくとも僕が見た感想だけで言えば、

 ジャック・ニコルソンの狂気の演技が凄い

そう言う映画だ。ストーリーとかそうなった原因とか、絵作りとか仕掛けとか、そう言うのはシャイニングの「記憶の印象」でしかない。レディ・・で描かれた双子の女の子や、ゾンビの老婆、大量の血糊が流れ込んでくるエレベーター前のシーンとかは、

 本筋とは直接あまり関係がないと思った。

さらに言えば、原作者スティーブン・キングはこの映画のことを「大いに嫌っている」。ウィキペを読んでみるとその理由はよくわかる。

 なぜこうなったのかがほとんど描かれていないからだ。

また、タイトルでもある「シャイニング」という子供の超能力に関しても、ほとんどメリットもデメリットも真実も偽りもわからない程度の味付けにしか使われていない。

映画は、とにかく描くべきだとキングが感じた部分を大きく端折っている。キーパーソンかと思しき料理長も、一瞬で殺されて何で出てきたのかわからないレベル。つまり、

 (映画だけでは)話はあまりよくわからない。

だがしかし、それはキューブリックの狙い通りだったとも思う。

本作の上映時間は143分と決して短くない。見ていて多少テンポが澱むことは感じたし、導入部も少々煩わしさを感じたのも事実だ。しかし、ここからさらに「理由」を詰め込んでいったら、、、

 「ニコルソンの狂気」と言う最もキャッチーで、最もこの映画を「オンリーワンにさせたファクター」を薄れさせてしまっただろうと思う。

・・・

本作は、一見狂気の親父による惨殺劇という「サスペンスホラー」に見える。だがしかし、実際は、現実にはあり得ないSFエッセンスがとても強くバラ撒かれていて、

 誰が子供の首を絞めたのか

 誰が鍵を開けたのか

 なぜ最初から同じ文章をタイピングしていたのか

 最後の写真に写っていたのは誰か

みたいな疑問は、「全てSF」「全てオカルト」の範疇に属する。言い方は悪いが、「目に見えない何か」は、今作では「本当に存在している」世界で、被害者の妄想や思い込みが見せる幻ではない。

それが結構中途半端なのだ。

二重人格のような子供は本当に未来予知が出来る子なのか、ただの妄想の延長なのかもわからないまま、それを丁寧に掘り下げたりもしない。親父が気が狂って襲いかかってくる流れも、きっかけも、理由も全くわからないまま、

 これがSF(空想)なのかサスペンス(現実)なのかわからないまま話が進んでいく。

だからこそ、ニコルソンの狂気「だけが」この映画のキモになってしまう。キングが納得行かないのも当然だと思うし、キューブリックは本作で制作費の8倍ほどの興収をたたき出すという「結果」を残した。それが全てなのだ。

・・・

見る価値があったかと言われたら、「まぁあったかな」って程度。若かりし頃のジャック・ニコルソン(それでも前髪はかなり後退気味当時推定42歳)は、バットマンのジョーカー以上にエネルギッシュで、あの「つり上がった眉」はこの当時からギラついたオーラを放っていた。

ただ、これが何にも知らない、誰にも勧められない、「何となく見てみた」だけの映画だったとしたら、

 たぶん最後までは見なかったと思う。

「シャイニング」だからこそがんばって見た。時折ボリュームをグッと下げ、
※いきなり大きな音がなる「こけおどし」演出はめちゃ頻繁にある
一応ギリ早送りしないで見終えることが出来たけど、

 クリス評価は★★ってところかな~。

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