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2022年7月27日 (水)

異世界迷宮でハーレムを

ピッコマのマンガ。文字通り異世界物。既に過去一度触れている可能性も高いけど、今回ちょっとした値引イベントでまとめて全巻分(8冊)揃えた。

正直普段読んでる異世界物と比べると、文字は多いし設定が凝りすぎてるきらいはある。気楽に読めるマンガ、ダラダラ読めるマンガが大好きな僕としてはいささか「ムリをしてる」気もしないでもないのだけど、

 これはこれで、「普通のマンガとは違った角度からも楽しんでる」自分に気付いた。

本編の冒頭は、現代日本から剣と魔法のファンタジー世界に転生したところから始まる居たってオーソドックスな始まり。だがしかし、他のマンガと完全に一線を画しているのは、

 お約束をお約束として受け入れていない。

レベルが上がったらスキルを覚えるとか、MPが空になるとどうなるとか。

もちろんその世界そのものが「そうした知識に対する掘り下げが甘い設定」であることも否めないが、例えばもし「等価交換」というスキルを覚えた時、それを使うことで「自分が死ぬ可能性」があったとしたらどうか。それを使った者の言葉は残らないし、そもそもこの世界にもお約束はある。

・スキルや職業を主人公だけが確認したり変更したり出来る

そこが特別であり「気持ちいいところ」。主人公は特別力が強いわけでもHPが無限なわけでもないが、成長を早めるスキルや、職業を鑑定したり入れ替えたり出来る。完全にご都合主義なのだけど、それがあるから「命のやりとりをするこの世界」でも「美人をはべらせることが出来る」とも言える。

・嫌なヤツがすぐ死ぬ

蘇生魔法の無い世界なので、嫌なヤツは死んだらもう出てこない。てかそもそもほとんど嫌なヤツは出てこない。そこが僕の好きなところでもある。

・言葉がわかる

でも、他のマンガと比べると、「絶妙に煩わしい」。「絶妙に」というところがミソだ。何から何までとは行かないまでも、読んでて「そこ突っ込む!?」と思えるところがとても多いのだ。

 だから、もし自分が同じ状況下で同じ主人公としてこの世界に転生したらどうするか

なんてことも考えたりしてしまう。まるでゲームの主人公になったかのような、それでいてネットや攻略本が一切ない「手探りの状態」。

この「手探りの状態」というのは、実はとても貴重で、面白いことなのだ。子供の頃ネットは愚か、攻略本すら無かった時代。攻略本があってもファミコンだけとか、メジャータイトルだけとか、、。

 それを遊んでるのがまるで世界で僕ひとりだけみたいな

誰にも訊けない、誰も頼れない。でも世界は僕を待っていて、僕の一歩は僕が考えて決断した一歩。その世界の、その「異世界の」手ざわりを、このマンガは思い出させてくれる。ネットで何でも簡単に調べられる今だからこそ、この「絶妙な煩わしさ」が懐かしく、心地よいのだ。

以下適当に箇条書き。

・MPが少ない状態ってのがいい。

 本作ではMPはマスクデータになっている。主人公がスキルなどMPを消費する行動を取った場合、「本作では気持ちが下がる」という表現を使って表している。

 MPが枯渇すると、全ての思考回路がマイナスに激振りしたようになる。

「生きていてもしょうがない」「もうダメだ」「オレなんて生きてる価値もない」、、、みたいな。

HPに関しても数値としては表示されず、「死んだら終わり」という「当たり前と言えば当たり前な世界」。だからこそ慎重になるし、その慎重さが、

 むしろ心地良い。

死者蘇生魔法が当たり前の「設定」ならばいざ知らず、普通死んだらもうその人は戻ってこない。それなのにモンスター相手に戦いに明け暮れるとか、ましてや「何とか倒せる」とか、、。

 そんなのは戦える相手な「わけがない」のだ。

劇中でも「がんばれば倒せると思います」というセリフに対し、主人公が「それは倒せないと言う意味だ」と心の中で理解する。その昔ウィザードリィにも似た格言があった。

 「まだ行けるはもう行けない」

主人公やそのメンバーはほとんど怪我をしない。一応簡単な回復魔法は持っているが、これも「腕が切り落とされてどうなるか、試す気にもならん」という言葉に凄く納得させられる。「キズ」なら治るのもわかる。僕らの世界でもその程度なら治りそうだし、例えば「回復力を加速する」ようなニュアンスなら、魔法でも回復薬でも理解の範疇だ。

しかし、腕や指を切り落とされた場合、薬を塗ったところでそれは生えては来ない。

もっともこの世界に「そう言う常識」があればまた違うのかも知れないが。

MPがゼロになると自殺したくなるほど凹むと言う状況が殊の外愉快で、あわててMP回復の丸薬を服用したりする。体力がゼロになる=死ぬことではあるけど、気力がゼロになることも、死に近づくことなんだよな。

・もし説明書がない世界だったらと想定するのが面白い

 スキルを文字として肉眼で確認できるのが主人公だけと言う設定なので、例えば「何をどうすれば魔法使いになれるのか」みたいなトリガーも不鮮明。突き詰めていけば「つつける重箱の隅」はあるのだろうが、軽く読んでるだけなら、

 何も知らない世界の怖さと面白さに満ちている。

ファイアボール3発で倒せる相手。常に3発なら、相手の体力に大きなブレ幅はないということを学べる。個々のスキルでも、威力によって戦術を変えていけるし、どの敵から倒すべきかという取捨選択の決定的なデータになる。

 危険な相手から倒すのは当たり前の話。だって命がけなのだから。

スキルの中で「30%オフで買える」というのがあるのだけど、コレに関する掘り下げもかなり面白かった。

どんなときでも3割引になるわけじゃない。どんな状況で発動するのかを検証していった結果、

 相手が商人の職業で、「カルク(電卓)」のスキルを持っていて、複数購入使用としたときに発動する。

単品だと電卓を叩く必要がなく、3割引を計算するのにカルクを持っている必要がある。突き詰めれば、単品でも3割引が発動しても良い気がしないでもないが、電卓スキルを持ってるレベルの計算力のある人間でなければ3割引という精度は得られないと言う理屈なんだろう、、、

 なんてことを考えることが出来る。

売る場合にも適用されるから、単品で売るよりまとめて売る方が高く売れるし、「家を買う時に一緒に鍬(くわ)を一本買うだけで家の値段まで3割引」という「マンガのご都合主義」も面白い。途中で「なんでこんな細かな値段に?」というパーティメンバーが怪しむシチュエーションも、当然と言えば当然。

 見てるこちらが突っ込みたくなるところを、メンバーが代わりにしてくれたり。

よほどこの原作者(ラノベ作家)は、普段遊んでるゲームに「物申したかった」んだなぁと思ったわ。

・画力があって全て手が抜かれていない

 一番感心するのは、モンスターの描写。強い相手は強そうに、弱い相手は弱そうに描かれているし、女の子だけが丁寧というわけじゃない。

 プロフェッショナルなニオイがする。

・主人公のキャラが余り見かけない※クールではないのに冷静

 生死が掛かった世界で、蛮勇は何ひとつメリットはない。ドライ過ぎるのは「男性として魅力に欠ける」とも思うし、凄く頭がいい天才というわけでもない。メガネもしてない。

 モテそうな要素を一杯持っていて、その上で既視感の無いキャラクター。

新鮮さというのは、ある意味何物にも代えがたい魅力と言ってもいい。

・メインヒロインの性格が良すぎ&主人公に好意を寄せるスピードが緩やかだったけど、最近それが顕著になってきてとても良い

 ヒロインは奴隷として主人公に「買われる」。絶対服従なので、文句も言わないし、とても従順なのだけど、主人公もそれが「奴隷だから」と納得させていた。

しかし、読んでるこちらとしては、「そんな関係であっても主人公のことを好きであって欲しい」と思ってしまう。他の作品では、奴隷関係を解除しても実質何も変わらないという設定のものあるけど、本作ではあえてそうせずに、丁寧にゆっくりと主人公への信頼や愛情を重ねていく。

 その描写が萌えだ。

そして、

・非常にエロい

 完全にエロ漫画家として名を馳せていても何ら不思議がない描写力。女性器描写は無いが、乳首描写はある。献身的な奴隷は言葉遣いも完璧だし、RPG要素とは別にこのマンガの「著しく強力なマグネット」になっている。ロクサーヌさん、最高だわ。

・大きな目標(ゴール)も設定されていて夢が膨らむ

 迷宮は最上階まで到達した者が誰一人居ない世界。最後に居るボスを倒すとその地区の支配者になれる、、みたいな設定があったような、、。

パーティの歩みは遅く、とても慎重だから、本当にそこまで物語が続く可能性は薄いかも知れないけど、それでも大きな目標があるのはいい。

・セカンドヒロインのキャラ付けがスゲェ丁寧

一人目は従順巨乳。二人目はロリ系で知的。まさに真逆のキャラで、「ハーレム」というタイトルにようやく一歩近づいたと感じさせた。

一人目があまりに魅力的で、さらに「主人公に好意を持っている」ところまで時間を掛けてたどり着いただけに、二人目の「まだいぶかしげ」な視線が、新鮮でもありもどかしくもある。でも、決して嫌ってるわけじゃないし、全く違うアプローチは、エロゲーよろしくメリハリもあって、「良くできてるなぁ」と思った。

・アニメ化も納得だけど、エロはモザイクか。むしろゲーム化にすら向いている素材

 アニメはともかく、もしゲームになっても、ここまでの「手探り感」を表現するのは難しそう。それでもしっかりと深い設定は、まるで自分がその世界に居るかのように思わせてくれるし、

 実際にゲームがあったら遊んでみたいとも思う。

ただ、出来たらエロ要素もキッチリ「移植」して欲しいとも思うわけで、そうなるとなかなか実現は難しい素材ってことになっちゃうんだろうな。

・・・

8巻までガッツリ深い内容だけど、面白くなるのは2巻以降という感じで、最初は正直スロースターター過ぎる感じがする。でも、今回僕が書いた内容に「面白そう」と思って貰えたら、ぜひ読んでみて欲しい。

 剣と魔法の世界の厳しさと面白さがしっかり描かれている傑作だと思うわ。

クリス評価は★★★。もうちょっとだけテンポが良ければなお良かったかな~。笑

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