アルキメデスの大戦
休日の今日、何か映画が見たくなった。見てない映画である必要はなかったけど、UNEXTを開き、漠然と普段見ないような、「邦画」から探す。
最初は何も考えずタイトルを開いていたけど、途中でふと、
監督で決めようかな
と思う。20世紀少年を撮った監督、デスノートを撮った監督、寄生獣を撮った監督、、、
波長が合う監督なら、波長が合う映画がきっとある。中には僕が見てない作品も絶対あるはず、、。
堤幸彦監督、金子修介監督と、あとは三池崇史監督かと思ったら、寄生獣は山崎貴監督だった。
山崎監督と言えば、監督デビュー作「ジュブナイル」が僕の心に刺さり、それ以外にもコンスタントにヒット作を量産する日本のスピルバーグのような監督。しかし、永遠の0や海賊と呼ばれた男などの歴史作品や、三丁目の夕日やドラえもんのようなほのぼの路線を作り始めて、正直僕の好みからは距離が出来てた。
それでもリストを見ていて、ふと気になるセンテンスが。
戦艦大和の建造を阻止せよ!天才数学者と軍部が頭脳戦を展開
主演の菅田将暉は、ぶっちゃけ好きじゃないと言うより嫌いに属する俳優。でも、先日見に行った自衛隊広報館は僕の中の戦艦や戦闘機と言ったキーワードへの興味をブーストしていたし、何より、
どに数学の要素が!?
と菅田嫌いを覆すまで興味が膨らんだ。
あらすじ的には、
まぁ大和が出来る前の話。
で、その大和を造るか、空母を造るか、予算をどっちに割くのかという状況下で、「今戦艦を造っても金の無駄遣いだ」と、空母派が反論。特に予算面で戦艦が空母より安く見積もられたことに違和感を覚えた空母派が、その試算の間違い証明するために天才的な数学の能力を持つ学生に力を借りることに、、、
みたいな感じ。
これだけ読んで「見る気になった」のなら、見ればいいと思う。人によるのは当然だけど、僕的には、
いや~我ながら「鼻が利いた」な、と。
面白い映画はまだまだあるな、とシミジミ自画自賛。もちろん撮った山崎監督へのリスペクトも忘れない。
さすがやで。
キャストもムチャクチャ良くて、特に菅田のサポートに入る柄本佑が最高過ぎる。正直、キャラの魅力という点で言えば、主役の菅田将暉より彼の方がずっとグッと来たと言うか、
名脇役というのは、彼みたいなのを言うんだなぁと。
パッと見「柄本時男」に似てると思ったけど、キャストで名前を見たとき、「兄弟だったのか」って溜飲下がりまくり。
映画を見ていて、何度「田中~!!!※柄本の役名」と叫んだことか!家で見る映画の醍醐味とも言える。アメリカなら劇場中が「田中~!!」と言っていたに違いない。
また、ヒロインの浜辺美波もいい。菅田将暉ほどじゃないけど、僕は浜辺美波もあんま好きじゃない。かわいいとは思うけど、そのかわいさが微妙に嫌味で、
彼女は主人公に使うような役者じゃないだろ
と思ってた。今作ではまんまとイイ感じの脇役で、ある意味「かわいいだけのお人形」。だがそれでイイ。山崎監督はジュブナイルでも寄生獣でも女の子を撮るのが上手い監督だと思ってたけど、今作でもきっちりそれは活きてて、
まことにちょうど良かった。
それ以外の館ひろしや鶴瓶、國村隼、橋爪功など、見たことがある俳優目白押し。この辺はビッグバジェット感を出すのに不可欠だったんだろうなと推測。
脚本も良かったけど、絵作りも相当素晴らしく、戦争直前の日本という、三丁目の夕日で培った「世界構築スキル」が遺憾なく発揮されていたし、
オープニングアクトのCG戦は、それだけで高い満足感を感じさせてくれた。
シチュエーション的には、ハリウッドの「パールハーバー」にも似たシーンがあったと思うけど、いやいやどうして、全然負けてない。この辺りはさすが山崎監督、たぶんCG担当の白組の力だと思うけど、
全部見終わったあと、もう一度最初の部分が見たくなるような上手い(二回目の観劇に足を運ばせるような)構成だなぁと思った。
ここまでネタバレらしいネタバレはしてなかったつもりだけど、もうひとつだけまだ見てない人で、もしかしたら揺れてる人に向けての「ネタバレじゃないと思うけど」という言葉を繋げておくと、
見終わったあとかなり清々しい気持ちになれる。
この映画は、史実である「大和の沈没」を改ざんした映画ではない。がしかし、そのバックストーリーが全て真実である必要もないし、
※原作はヤンマガの漫画
全てウソでも何も問題はない。ただ、純然たる事実として、
大和は造られた。
「大和を造らせまいとする主人公の努力」は、結果として、史実として、水泡に帰したわけで、その点だけは見てる間中ずっと引っかかってた。
主人公が負けて、溜飲が下げられるもの?と。
・・・あとは見てのお楽しみである。
以下ネタバレを少しだけ。
ここまで読んで見る気になった人はここから先は見ない方が良い。
あ、ちなみにクリス評価は★★★★とかなり高め。ちょっとおまけした感はあるけど、「良い意味で期待を裏切ってくれた」ことを大きく評価し、
ついでに菅田将暉や浜辺美波も結構好きになった。
で、ネタバレだけど、、、
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・ 見てないのに読むなよ?
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・ ちなみにUNEXTでの配信は2023/1/7までだから、見る人はお早めに
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クライマックスのどんでん返しが痛快すぎ!
残り時間のステータスバーを見ずに見ていたから、余計にその痛快さを存分に楽しむことが出来た。
こんなに時間が残ってたら、これはまだ一悶着あるな、
なんて邪推を挟むことなく、気持ち良く翻弄されまくり。ただ、、、
最後の山本五十六艦長の真意は、正直全然わからなかった。
彼は何を思って大和に乗艦したのか。
僕は歴史とか戦争に疎いし、興味もないので、それに関する「人によっては常識レベルの話」すら知らない。ただ映画を見ていて、彼は「アンチ戦艦派(=空母派)」だったのに、結局大和に乗る。
彼がなぜ大和に乗ることになったのか、それは本意なのかもしくは違うのか、本意であるのなら、彼の本意はいったいどこに!?
まぁ面白い映画というのは、少しくらい謎を残すものだ。それがあったとてこの映画の面白さが目減りするわけでもないしな。
余談だけど、中盤の大阪の夜のシーンも凄く良かった。ああいうのが山崎監督の上手さのひとつだと思ったわ。妙に人なつっこいと言うか、距離感が近いというか、、、。
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