« セイラ・マスと井上瑤の話 | トップページ | 機動戦士ガンダムの話 »

2023年7月31日 (月)

デジラマの話~高精細化その後~

以前ちょっと触れた高画質化、高精細化の話。

最近コラボして戴いてる方のインスタ画像が、全体的にぼやけているものとそれなりにピントが合ってるものがあったり、伊藤暢彦さんのゴジラが、やはり深度合成されていたことがわかったりと、「デジラマピント合わせ教会会員」の僕としては、いささか騒がしくなってる今日この頃。

高精細化を掛けるのに、ちょっと勘違いしていた部分があったので、それも踏まえてネタにする。

普段僕のソースにするのは、

・メーカーの公式写真を「ダウンロード」する場合

・メーカーの公式写真を「スクショに撮って」使う場合

・インスタのポストをスクショに撮って使う場合

・友人から写真を送ってもらって使う場合

などがあるのだけど、例えばメーカー公式写真をダウンロードした場合は、元々低解像度のモノを高画質化する場合、ちゃんと見た目にフィードバックされた、「精細感」を得ることが出来た。

しかし、スクショで、つまりスマホの解像度(約フルHD1920*1080程度)で撮られたものの場合は、思ったほど「精細感の向上が得られなかったり」もした。

また、「ピントが合ってる部分とボケてる部分が混在する画像」を高精細化することに関しても、いろいろと紆余曲折試行錯誤会議紛糾しているところ。

まず、結論として、

 スゲェボケてるのはムリ。

よく「見本」として高精細化ツールで表示される「使用前使用後」の写真。使用前の写真のボケ具合が、「度を超している場合」は、どうがんばってもキレイにはならない。
※僕がテストしたわけじゃないけど、アニメ画像とかはまた違うアルゴリズムというか、手触りになるかも知れない

まぁ言うなれば、「空のグラデーション」を高精細化してもディティールが鮮明に描き出されるわけでもないし、「それはそれで困る」わけなので、そこに何らかの「境目」がある気もする。このくらいまでは二極化して鮮明にするけど、それ以上は曖昧なままで、みたいな。

なので、例えば顔がピントびったしで、遠方にある下半身がピンボケしまくってるゴジラなどは、どうがんばっても下半身をキレイにすることは出来ない。ただ、

 背景との境目でコントラストが激しい部分に関しては、精細化の効果が得られやすい

境目かそうじゃないかで効果が違うと言う事は、つまり、ゴジラのような同系色でまとめられた画像は特に精細化を発揮させるのが難しいとも言える。

ただ、境目が明確であっても、その判断が付きにくいレベルのピンボケ画像は、やはり思った通りの効果は得られなかったりもした。まぁ基本的には「酷すぎるのはムリ」という認識で間違いないと思う。

それを踏まえつつ、効果がある使い方としては、、、

 ある程度ピントが合っていてキレイな画像は、そのまま高精細化する方がよりキレイになるが、ピンボケがややキツめの画像は、「一旦解像度を落としてから高精細化した方がキレイになる」。

例えば2000*1000ドットの元画像がそれなりにキレイだった場合、デカールなどの文字や、エアダクトなどの細い縞模様のディティールが元画像の状態から視認出来たりする。それをもし1000*500ドットとかに落としてしまうと、その時点でその情報は失われ、そこから400%の高精細化を掛けても、元画像より高い再現性は得られない。

一方、2000*1000ドットでややぼけている画像を、一旦1000*500ドットなどに落としてから高精細化を掛けると、「ぼけている部分を補完する形で、400%の高精細画像が出来上がる」。

端的に言えば、

 元々情報量が多い画像は、それを活かしつつ精細化する方がキレイに見え、フォーカスが甘い(ピンボケ)画像は、情報の「再生成」はムリでも、ボケを大幅に軽減することで得られる精細感の向上が、「よりキレイに見せる」

と言う感じ。ホントはサンプルを貼りたいのだけど、サイズが大きいので諦める。
※1枚で3MB以上あるので

・・・

高精細化は、僕にとって媚薬というか麻薬というか、

 非常に魅力的な「力」だ。

何を持って「キレイ」「汚い」とするかは、その画像の方向性に寄る。細かなウェザリングや、意図的な鋳造表面処理の部分までスポイルしてしまう画像処理を「キレイにする」とは言わない。がしかし、細部が徹底的にシャープ化されると言う事はつまり、

 本物に近づくということでもある。

1/1立像のアップ写真を見ると、誰が見てもまずプラモデルには見えない。これは、

 「解像度が低い写真」であっても認識出来る。

※昔撮った初代お台場ガンダムの写真であっても、立像の巨大感を感じられる

それはなぜか。自分なりに掘り下げたり掘り下げなかったりしていたのだけど、つまりはその

 「エッジの立ち方」「塗料の薄さ」「ディティールの細かさ」に説得力があるからだ。

良く言う話で、スケールが1/144なら、塗装の厚さも1/144じゃなきゃリアルとは言えない。つまり、実際の塗面が1mm程度の厚さで塗装されていたなら、1/144スケールのプラモには、約7ミクロンの厚さの塗装しか許されないことになり、例えばエッジの鋭さも、本物ならビシッとフチが明確化されているものが、1/60、1/100、1/144とスケールが小さくなるごとに「甘く感じられるようになる」。

筆塗りとエアブラシも同じ理屈で、エアブラシの方が塗面を薄くしやすく、筆塗りの方がムラになりやすい。ムラになりやすいと言う事はつまり、「厚い部分が極端にアンリアルになる」し、「エッジ部分の甘さが更に際立つ」ということ。

上手いプラモが実際のスケールより大きく見えるのは、そう言った細部の「精度出し」がより丁寧かつ正確で、情報量も多く見せるためだ。

話は戻る。

もし高精細化の理屈を、この「細部のディティール出し」まで適用していくことが出来れば、、、具体的に言えば、

 元々キレイに見えるフルHD画像でも、拡大すれば当然ピンボケしてるように見え始めるラインがある。そのピンボケに見える状態を、先の「一旦低解像度化してから高精細化」みたいな手順で精度を高めることが出来れば、

 1/144スケールのプラモを、1/1の立像に近づけることが出来るかも知れない。

ただ、前も書いたけど「望遠」と「広角」のレンズ効果もまた、プラモ撮影には枷になる。本当に本物を撮影するのと、本物と同じ角度からプラモを撮影するのでは、画角や、アングルが全く同じでも、たぶん見えるモノが違うと思う。1/10のガンダムベースにあるガンダムの写真は、やっぱり1/1には見えないのだ。
※それを補填するテクニックは、今の僕にはまだ無い

閑話休題

色と色の境目がよりシャープに見えることが、立像の説得力になっているとしたら、

 その部分を描いてしまう

と言うのも一つの手だ。てか、これは以前やろうとしたことがあるのだけど、

 思ってる以上に大変で、難しくて、上手く出来なかった。

かなりシンプルに見えるエルガイムMKIを使って、イラストをシャープに「塗り替える」ことで、本物に見えないかな、と目論んだのだけど、

 やはりイラストとプラモでは、その「存在やコントラストの説得力が違う」。

もしかしたら、プラモでならその効果を得られる可能性はある、、、のだけど、、、

 曲面の処理が難しそうではある。

※グラデで処理するにしても精度を出す必要がありそうだし

・・・

太陽光で撮るのも、本物っぽく見せるため。人間の目線で撮るのも然り。深度合成も、シャープさ、精細感も、全ては「偽物を本物に見せるにはどうしたらいいか」と言う命題に沿ったものだ。

てか、この辺の話は、53歳中年の僕が今更とやかく言う前に、円谷英二監督やジョージ・ルーカス監督達が、数十年前から試行錯誤して答えを探していたところだろうとも思う。ただ、

 昔無かった技術が、今ならある場合もある。

それでも、ミレニアムファルコンの1/10プロップモデルは、1/1スケールの撮影用モデルとは違う。でも劇中でそれを強く認識することはほとんどない。

 昔からある技術で、僕が知らないことも間違いなくある。

僕は面倒臭がりで、効率重視のオタだ。僕がやってることは、当然他の誰かがやっていてもおかしくなかったことが多いし、今なら静止画でやってもほとんど評価の対象になることはないかも知れない。

 でも、目の前にある一枚のデジラマ写真は、他の誰でもない僕が作ったものなのだ。

・・・

僕はデジラマがお金になると思ってやってるわけじゃない。お金に変わったら「面白いな」とは思うけど、それをまことしやかに語ってくる外国人は、すべからく信用してない。

でも、

 僕がやってきたことは、たぶん今から、ゼロから始める人には、ちょっと大変かも知れないなと思うようになってきた。

僕にしかできないとは思ってないし、伊藤さんのような商品として成立するクオリティとは別ベクトルで磨きを掛けているとも思う。でも、

 僕しかやろうとしてないことなら、それに価値を見いだして貰える可能性はある。

僕のデジラマは暦お兄ちゃんに言わせたら「どうしようもなく偽物」だと思う。でも偽物は偽物なりにクオリティを高める努力をすることで、「偽物の頂点」にたどり着けるかも知れない。そしてそれはきっと、

 本物と区別が付かないはずだ。

▲▲▲。

|

« セイラ・マスと井上瑤の話 | トップページ | 機動戦士ガンダムの話 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« セイラ・マスと井上瑤の話 | トップページ | 機動戦士ガンダムの話 »