なんでもプレミア
基本的に衣料品の小売業に携わっている人間として、「安く買って高く売る」ことに抵抗はない、、つもりだったのだけど、市場原理というか、欲しい人が居るならいくらでも高く売っていい、というシステムは怖いと言うか、ちょっと不思議というか、、、。
たぶん僕の頭が今の状況について行けてないってことなのだろうと思う。ネットを介した商売が当たり前過ぎるくらい当たり前になって、
ネットで買えるものはネットで買う
のが「ほぼ全て」になりつつあるのかも、とも。もっとも生鮮食料や、手ざわりやフィッティングを確認したい服や靴、あと高額な買い物もあんまおいそれとネットでは買えなさそうな気もする。でも、ポケモンカードの「証明」に、
※ペットの血統書みたいなもの
誰かが確約してくれるなら、それもその限りじゃないのかも、とも思ったり。
まぁそれを偽造する人間が出てくるのもいたちごっこなのかもだけど。
最近驚いたのは、こないだも書いた「ザ・テレビゲーム」という本。いつの間に3500円が32000円になったのかと思ったけど、
欲しい人が居るかも知れないものを、持ってる人がいて、それがひとりだけ(1つだけ)ってことになれば、そこは足下を見られてもしょうがない。
ガンプラもそう。普通に買えないならプレミアは当然だよね、と言わんばかりだし、ポケモンカードのレアとか、
10万円で買い取りしてもらえるカードなら、38万円で出品していても不思議はない。
昔の物が何でも高くなっている、、、は言い過ぎにしても、「昔のものがなんでも買えるようになってきている」のは、あながち言い過ぎじゃない気がする。
考えてみれば、ゴッホとかピカソとかの一点物の絵画だって、最初は別に誰にも気にとめられない路上販売だったかも知れない。誰がが欲しいと言い出して、それがみんなが欲しいと叫び始めたことで値段が釣り上がっていくのは当たり前のこと。リトグラフだって、№が採番されている前提はあるにせよ、数十枚数百枚存在したりするし、何なら、「レア紙幣」とかだって、存在だけなら確実に存在している。
要はどれだけ欲しい人が居て、持っている人が売ってもいいと思うかだけの話。
あと、ささやかな影響としては、「その世代」ってのもあると思う。
僕は今53歳なのだけど、僕らの世代だとパソコンやスマホを使いこなせる人も相当多い。でもってかなり豊かな時代をくぐり抜けても居るから、結構いろんなものを持っていたりするし、幼少期そう言うものが買いたくても買えない(買って貰えない)不遇の時代を経験しつつ、今それなりに裕福になった人が、「今なら買える」とお金を出すトリガーも理解できる。
ある意味僕よりあと10年年上だったら、かなり状況は違っていたと思う。僕らほどパソコンは身近じゃなかったと思うし、つまりはヤフオクやメルカリでの転売に柔軟に対応できない人が多いと思うし、その人たちが子供の頃のおもちゃやグッズは、特に希少性を謳われて「大事に取っておく」という発想もなかったはずだ。だから僕が子供の頃か、それより前にリリースされたようなレゴには特に大きな価値があったりするし、ブリキのおもちゃやメンコに限らず、
まるで芸術作品のような価値が生まれても不思議はない。
ゴッホのひまわりや、ダ・ヴィンチのモナリザは「1枚しかない」けど、例えば当時のままの箱で完全な状態で新品で未使用のおもちゃが「世界に1つしかなければ」それだって、同様の価値を見いだされても不思議はない。ブリキのおもちゃが説得力がなくても、
世界一のポケモンカードプレイヤーに贈られたカードが数百万円ってのは、ずっとわかりやすいと思うし。
・・・
実家の屋根裏には、僕が小学生の頃に集めていた「テレビランド」や「テレビマガジン」の付録が入った箱が「あるはず」である。もちろんずっと住んでたわけじゃないから、いつの間にかお袋や妹に捨てられていても不思議はないし、文句もないのだけど、
昔のゲーム雑誌でも、かなりボロボロの状態であっても、サクッと高価格で販売されていたりするし、あまつさえそれを買う人が居る。
20年近く前にヤフオク黎明期に僕が1万円のプレミア価格で買った「心霊呪殺師太郎丸」は、
※セガサターンのゲームソフト
現在、帯付き中古が、
64000円で2入札中。
まぁ本音を言えば、あんなの全く面白くもなかったし、2入札ってことは、ひとりが欲しがっていて、もうひとりは「つり上げる為のサクラ」なんじゃないかと思ったりもするけど、それはともかく。
※ちなみに出品だけなら、118000円や170000円で出品されている。裸でディスクだけだと84000円とか
僕は箱と説明書を「全て別々に取っておいた」人なので、探せばセットで見つかるソフトもそれなりにあるとは思う。
※ただかみさんが整理して実家の二階に運んでる可能性もあるけど。ポケモンカードがそうだったし
全部が全部価値があるとは思わないけど、たとえば子供の頃見たあの映画がどうしても見たい!って僕みたいな人が、「今なら3万まで出すから!」って人も居ておかしくない。
それが当たり前の世界なのだ。
ファミコンのカセットで、僕が中古で買った、、と言っても相当探して、「別の支店にあるから」と取り寄せて貰ったソフト「ギミック!」は、
ソフト単品裸で39500円21入札。残り2日
箱説付だと12万くらいで出品されている。まぁ面白いゲームだったから、気持ちもわからいんでも、、、
4万はわからんわ!やっぱ!!
僕が買ったのはたぶん2500円くらいだったと思うし。
ホント何でも高いわけじゃ絶対ないと思うけど、それでも「高いのが混じってそう」とは思う。
まぁこれは想像だけど、そうした「希少性の高いサブカルグッズ」は、例えばインフルエンサーとか、デイトレードとかで、「凄く儲けてる人」が生まれたってのもあるかもな~と思う。インスタでフォローしてる榊原さんとか、300万もするフィギュアを買ったりしてるし、その「リトル榊原」が5万円でギミックを欲しがってもなんら不思議はない。
言い換えれば、「売る方にもチャンス」とも言える。言葉は悪いけど、「転売ヤーにはいい時代」なんだろうな、と。ゲームソフトを並んで買ってたのは、「そうしなければ手に入らなかったから」だ。たまごっちが5万円で露店に並んでいたのは、「その値段でも売れるから」だ。
考えてみれば、昔からそうだった。
古い茶器に30万円出して買って、鑑定してもらったら1000円だったり、一目惚れして100万で買った掛け軸が、2000万円になったりするのと何ら変わらない。
欲しい人が居て、持ってる人が売ってもいいよ、と思えば、それに対して第三者がとやかく言う権利などない。
ガンプラを転売するのに、問屋の段階でそれをやられていたってのも、その為に今後の取引を棒に振るリスクと、目先の利益を秤に掛けた結果、「魔が差した」程度の話。シビアな、冷たい言い方になるけど、
楽して儲けられる人は、リスクか知恵を使ってるし、リスクも知恵もない転売ヤーは、たぶん時間を使ってる。
頭がいいか危ない橋を渡るか、数時間並んだり、複数のPCで平行してアクセスしたりしてるんだと思う。もう足で探してた時代じゃない。中には「安いプレミアで買って高いプレミアで売る」人も居る。てか、
それを効率的にこなすアプリをインスタで紹介してる人も居たし。
※これをこの値段で買ってこの値段で売れば利益が出るよ、と。それで月10万円は稼げるよ、と
まさに転売ヤー御用達って感じ。そりゃまぁそうか。
ともかく、その流れは加速しこそすれ減速はしなさそう。これによって何が起こるか。
欲しい人ではなく「転がす人」だけのものになってしまうかも。
安く買って高く売る「だけ」の人たちが、全てのサブカルグッズ(プラモやトイやゲームやムック本、マンガ、ビデオ等々)の値段をつり上げていくと、
普通に欲しい人は買えなくなる。
でもそれって、「バブル期の土地の値段」みたいな感じもするんだよね。その中に居て儲けてる人だって、
紙一重の財産だったりしたわけで。
ただ、一方で今「日本の物価安」が世界から注目されてたりもするらしい。
例えば最低時給。よく知らないけど、日本は930円くらい?アメリカとか2800円くらいだとか見たような。つまり、1時間働いて得られる「おもちゃへの投資額」が、3倍ってことは、「日本の普通」が「安すぎる」って事になりかねない。
今はワールドワイドに取引が成立する世の中だから、
※特に高額のものとか
日本で1000円は海外で3000円の価値かも知れないし、海外ならなおのこと「お金持ち」が居そう。
※勝手な思いこみ
でも、昔の陶磁器とか掛け軸だって、日本から相当海外に流出した歴史もあるわけで、今なら日本のファミコンだとかのゲームハードだって、海外で遊ぶのは余裕なはず。日本でしか売られなかったゲームで、特に日本語が使えなくても楽しめるタイプのゲームも多いだろうし、、、
まぁ「欲しがらなければ」自分にそんな影響もなさそうなんだけど、本当に欲しいものが「対象」になったときがどうなるのかなって感じではある。
てかゲームとかも、「さらに時代が進んで」全てのプラットフォームのアーキテクチャが統一されて、過去のゲームが全て買えるようになる、遊べるようになる未来も、「無くはない」とも思うんだよな。
もっとも、そんな未来であっても、ワイバーンF0とか、R360とか、ベクタースキャンのゲームは遊べないんだけど。
それらで儲けようとは思ってないけど、時代に取り残されたくもない。てか、
僕の持っている「何か」で、「何か」が一番高い。それって何だろ、とは思った。
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