物の価値と価格の話
食べ物とか着る物とかの話ではなく、僕の生活に密着したサブカルコンテンツの話。
こないだエロゲーを購入した。2014年くらいに発売された、定価10780円の品だ。
内容自体は、シリーズ3作目であり、ファンには大好評ではあるものの、特筆して話題になったわけでもなく、そこそこ売れている分、極めて希少性が高いレアアイテムというわけでもない。なのに、
中古価格は、最安で9211円+送料300円=9511円
割引率で言えば12%OFF。発売当初であれば、店によってはこれより安く新品を販売していたところもありそうな価格である。
現状、中古でゲームなりプラモなりを買う場合、主な選択肢はこんな感じだと思う。
・メルカリ
・ヤフオク
・amazonマーケットプレイス
・その他ネットショップ※駿河屋等
・実店舗※ブックオフ等
ちなみにこれが今から30年前の1993年、ちょうどプレステ1が発売される前の年辺りであるなら、
※ちなみにスーファミは1990年発売
選択肢は、
実店舗か、百歩譲ってニフティサーブを利用した直接コンタクトしての取引
しかなかった。逆に言えば、実店舗の数は非常に多く、推定でも今の10倍以上あったと思う。蛇足を承知で書くが、僕がひとり暮らしをしていた1989-1994くらいの間で、実家からひとり暮らし先の静岡県小笠郡(現掛川市)までの行動範囲で言えば、
当時思い出せるだけで
コスモ2、トレード1、清水2、コスモの近く、広小路、鑑定箱、おもちゃ屋横、まんぼう3、マジカル2、ゲオ、靴流通センターの前、浜松、エマーソン2、勤め先モール、すぐ横、掛川道中に3軒、、、24軒。
この中で、たぶん同じ店で現存しているのは、ゲオだけ。鑑定箱はブックマーケットという名前に変わって、今も中古ソフトを取り扱いしているけど、
ほぼほぼ死滅状態。
つまり、それだけあったニーズが、ゲーム離れやスマホゲーの出現、ネットの普及によって、分散霧消した。
※雲散ではない念のため
がしかし、同時にその当時お金が無くて買えなかった子供達が大人になり、当時のストレスを今爆発させるように爆買いしだしたりもしている。結果、
欲しい物はお金を出せば買える
ようになり、それが転売ヤーを助長することにも繋がってはいるのだけど、ここではその是非ではなく、状況を考えることに注視する。
・・・
昔は、ゲームにも鮮度があり、鮮度が高い物ほど価値がある、価格が高い傾向にあった。古いゲーム=友達との話題には上らず、スペック不足による見た目の稚拙さで、そのまま「弱者」の烙印が押されていった。
もちろんそんな中にあっても、販売本数が極めて少なくかつ内容が良いものは、プレミアが付いて、定価を超えることもあったが、僕の知る限りそんなソフトは極めて少数で、果たして本当に「自分が遊んで楽しめるのか」怪しいものだった。
逆に言えば、「みんなは面白いと思わないが、自分は凄く面白く感じる」みたいなタイトルは、比較的中古価格も高騰せず、ひとりニヤニヤしながら楽しくプレイしたりも出来た。僕は割と審美眼に関して周囲から一目置かれていたので、自分なりに名作や傑作を(雑誌等で情報を集めて)手に入れることに躍起になっていたりもしたのだ。
※バトルトード、リンダキューブ、HAGANE、ギミック、聖鈴伝説リックル、太郎丸やガントレットもそうかな
しかし、現状その状況は大きく変わった。
まず、分母が爆発的に増えた。それは、ゲーム、ガンプラ、ポケモンカードを例に挙げて考えるが、
欲しい人、アイテム数、買える国
アメリカに居ても日本のポケモンカードは買えるし、価値もある。対象年齢は子供のおもちゃではなくなり、今は60歳でおもちゃを買っても何にも不思議に思われなくなった。
オンラインでダウンロード販売されることで、制作のコストは抑えられ、さらにより多く出来る可能性は増えたし、単純に「遊びたい」人だけじゃなく、コレクターとして「所持したい」というユーザーも増えたように思う。
昔「古銭」や「切手」を集めていた世代が、そのまま「実機のゲーム」や「カード」を集めていてもなんら不思議は無いし、コロナの影響も大きく、「出戻りモデラー」によって個々のアイテムの価値が大きく上昇した。
プラモを作る人が爆増していても、その増えた人達が欲しいプラモは、必ずしも製造され続けているわけではないのだ。
ズバリ、
・今作られていない
・必ずしも発売日に買えるとは限らない※並べば買えるわけじゃない
・代わりが存在しない
・欲しがる人が多い
こういった物には、
・鮮度が影響しない
PCエンジンミニやメガドライブミニに入らないようなタイトルで、オンライン配信にも入らず、でも名作・傑作と謳われるようなタイトル。先日で言えばファミコンの「ギミック!」なんかはまさにそうだし、冒頭で挙げたエロゲーもまた、
※定価以上ではないまでも
価格はかなり高値で安定している。
※ちなみに同時期にリリースされた「辻堂さん」は確か定価の半額以下くらいで買った記憶があるから、タイミング的にこの4年ほどの間に状況は変わったと言えるかも知れない
・・・
ビットコインが発売された時100万円分買っていれば今は億万長者だ、という話がある。でも実際そうなった人の話は聞かない。なぜなら、100万円が200万円になったときに売らずにいられる人はそれほど多くないからだ。
しかし、ガンプラやレアなゲームはそれとは違う。押し入れの中に入りっぱなしだったり、例えば持っていた人が他界してそのまま遺品が放置されたりというケースは少なくない。そもそも、出戻りモデラーではなく、「当時買いまくったけどそれ以来プラモなんて思い出したこともなかった」みたいな人が、現状それなりに価値が高騰したアイテムを持っているケースも多いだろう。
もっとも、プラモの場合はゲームと違って「原材料費」が安く、手当てしやすいので、金型さえ手に入れば、定価を当時の10倍にして販売するケースも十分考えられはするのだけど、、、
それでも買えないものは買えないし、得てして欲しいものが買えなかったりするのが現実。
つまり、「今」という時代は、転売ヤーにとって非常に美味しい時代かも知れないという話。
再生産されない、
ファンが多い、
クオリティ(ゲームなら面白い、プラモならかっこいい、ポケカならレア度が高い等)が高い
そう言うアイテムは、「定価で買っても、資産として化ける可能性が極めて高い」。
※ムリに割引価格で買おうとすると、買えないことが多い
そして、そのスパンはかなり短くなってきている気がする。アンティークの古美術に興味がない僕らの世代は多い。でも、先に挙げたようなアイテムにソワソワしてしまう人は結構いる。
もちろん「売ったところでせいぜい倍程度でしょ?」と言えばそれまで。しかし、
倍で売れることより、倍で買うことの方が、大きな抵抗があるのではないか。
資産としての価値ではなく、純粋に未来の自分が欲しくなる可能性があるアイテムなら、
今買っておいた方がいい。
僕で言えば、メガドラミニ2を買わなかったことが、結構悔やんでいたりするのだ。
・・・
別にデジタルデータで販売がし続けられるものであれば、そこまでニーズは高まらないのかも知れない。が、今「怪しいかも」とにらんでいるのは、
・Wii
Wiiは、ハードウェアとして非常にクセが強かった。「HDMIが無い」「センサーバーが必須でその耐久性が低く、取り回しが煩わしい」「インターフェイスに汎用性が低く、後継機や、PCでの再現性が低い」。
※WiiUも少なからずその傾向はある
例えば今ゲームボーイのゲームが遊びたくなっても、それを遊ぶのに特に高額な出費を要する可能性は高くない。本体が大量に出回っているし、ソフトも有名どころならしかりだからだ。
※それはDSや3DSにも言える
PSPならさらにPSプラスで遊べる可能性も高いし、XBOX360であれば、存外Steamで遊べるようになってるタイトルも多い。
しかし、Wii専用ソフト、例えば斬撃のレギンレイヴが遊びたくなっても、それを遊ぶ為には、、、ヘタしたらテレビまで用意しなければならないかも知れない。
まぁ、ぶっちゃけWiiで遊びたいソフトが「それ一本しかない」のは幸いかも知れないが。
あと、そこまでしてWiiのソフトが遊びたいと思う人の数がそもそも世界レベルでそんなに多く無いのかも知れないが。
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とりあえず、ほんの5年前までは常識のように刷り込まれていた、
中古なら安いでしょ常考
と言う考えは捨てなければならない時代になっていると言う事。ファミリーコンピュータマガジンを読みたいと思ったら、
1冊3000円は覚悟しなければならない
たぶん、PCエンジンのワンダーモモが100円のワゴンに入ってるような世界は、もう来ない。
欲しい物があって、その価格が自分にとって「見合う」なら、それは今買うのが一番いい。
絶対はない。が、躊躇うことによって結果後悔する確率は、結構高まっていると思うぞ!
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