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2024年11月 7日 (木)

セーヌ川の水面の下に

クリーチャー系の映画が見たい衝動に駆られて物色。タイトルからはわからなかったが、どうやらサメ映画らしい。キャプションには、

 ジョーズ以来の傑作

的な文言が。

もちろん鵜呑みにはしない。なぜなら僕はジョーズを大して評価してないから。もっと言えば、

 昔は良かったモノが、必ずしも今も変わらず良いとは限らない

それもわかっている。

なので期待は下げめに。

ちなみに時刻は0時過ぎ。2時間過ぎの映画を見る気にはならなかったけど、本作は1時間44分とある。正味で言えば1時間半ちょいというところだろう。

まずネタバレをしない範囲で感想を書くなら、

 思っていたより良かった。

僕の中でサメ映画と言えば、

 ディープブルー、ロストバケーション、MEG

この3つが燦然と輝いている。MEGもディープブルーも続編はあるけど、そっちはさほどでもない。もちろん見てるだけなら他にもいっぱい見ている。

 本作は、その3つに続くくらいの立ち位置か。

キャストも監督も知らなかったけど、サメの描写に安っぽさ(ウソっぽさ)はほとんどなく、かなりテンプレに則して進んでいく点も安心感がある。さすがにこのタイプの映画なので、いきなり大きな音が鳴るこけおどし演出はあるけど、そこは織り込み済みだ。それでもビックリはするけど。

あらすじとしては、

海洋生物の保護団体である主人公が、以前ビーコンを打ったサメの成長をチェックするためにチームで太平洋の調査に行くと、そのサメが(産廃の効果からか)あり得ない大きさに成長し、

 あまつさえチームメンバーが食べられてしまう。

そして3年後。地球の反対側、パリに流れるセーヌ川で、そのビーコンを見つける、、、

的な話。細かな部分は多少端折ってるけど、概ねそんな感じ。

ひとつだけ強くお伝えしておきたいのは、

 予告は見るな!

これには重大なネタバレがテンコ盛りされているので、これは絶対見ちゃダメ。てか、

 これ見ちゃうと、楽しさの7割くらいを棒に振ることになると思う。

クリス評価は★★★か、おまけして★★★☆。というか、中盤までは大したこと無かったけど、終盤で評価が上がったわ。

・・・

以下ネタバレを含んでいく。

てか、サメ映画にネタバレもクソもないと言う人もいるかも知れないけど、

結構重要なネタバレも書いてしまうので、

サメ映画好きはひとまず見た方がいい。

ちなみに、先に挙げた3作以外にも、僕が思い出せないだけで良かった映画はあるとは思うけど、

 ジョーズなんかよりは全然良いと思う

ので、ネットフリックスに入ってない人でも、今作のために加入する意味は、

 もしかしたらあるかも知れない。

・・・

クリーチャー系の映画には、大きく分けて二つの結末がある。

ひとつは、「ターゲットを殺して大団円」。そしてもうひとつが、

 何一つ解決せず、絶望して終わり

僕は基本ハッピーエンドの映画が大好きだけど、クリーチャー映画に関してだけは、その限りではない。古くは「巨大蜘蛛軍団の襲来」。最近では「ライフ」の結末なんかは、完全に「絶望エンド」。

 どっちも傑作。

ただ、総じて絶望する終わりは少ない。

 今作は久々そっち側。

それでもしっかりカタルシスはあり、

 「早く死んでくれ~」と熱望しまくったキャラは、気持ちよくちゃんと死んでくれる。

これが何より嬉しい。てか、サメ映画とはつまり、「B級ホラー」にカテゴライズされがち。それはつまり、多少の破綻や強引さは、「許してね!」という逃げが含まれていると思うのだけど、

 実際本作でもそれはある。

ただ、地面師たちの時のように、「しっかりと破綻なく組み立てていますよ的な面構え」をしているわけじゃないので、

 僕は許せるのだ。

頭がいいキャラとして描くなら、それを徹底してくれよ、と思う。コードギアスのルルーシュみたいに、

 実はバカなのに頭のいいフリをさせて、強引にホツレを作るな

と思うのだ。

今作はその点で、「ちゃんとバカ」で、むしろ安心する。キャラは全員「サメ映画の文法に則って動く」。そして期待通りの結果になる。

強いて言えば、昔のコレ系映画の定番だった、「序盤オッパイ、からの最初の犠牲者」というテンプレがなかったのがちょっぴり残念ではあったけど。

主人公の女性研究者は、正直どうってことない。が、相方となる海上警察の黒人が相当かっこよく、なかなかの撮れ高。あとは、さっき書いたけど、

 クライマックスの結び方がとても良かった。

実際不発弾があそこまで大量に「ありすぎる」とか、それがあそこまで強烈な爆発であること、さらには、

 パリ中が水没する「わけがない」とも思いつつ、

その辺を全て「有無を言わさないテンポで展開していく」ことを大いに評価したい。「たたみ掛ける」とはよく使われるクライマックスの表現だけど、本作はまさにそんな感じだった。

ネットフリックス専売なのが、ちょっぴり惜しい佳作だと思うわ。

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