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2025年1月11日 (土)

家が全焼したという話

を、自店の閉店間際に聞いた。その人の年齢は僕と同じか少し上くらい。買われたのは、

・仕事(営業職っぽい)が出来るズボン

・ベルト

・毛布

など。あと靴下も買ったかも。

「放火された」「ニュースにも出ている」と言っていたけど、僕が見たニュースには放火とは書かれてなかった。

いろんなことを考えた。

モノによっては凄く安くしてお渡しする、何なら無料にしてあげる「ことが人として正解なのかも」とも思うけど、僕はその人のことをほとんど何も知らない。見たことがあるような気はするけど、確信はない。

ただ、とりあえずかなり寒いし、もしよかったらこの「掛け布団敷き布団枕3点セット」を大きく値下げしますが?と言ったら、

 色が暗くて好きじゃない

と言う。一瞬「色がどうとか言ってる場合なの?」と思ったけど、その直後に、

 僕は本当に家が燃えた経験はない。

もしそう言う状況になったとしたら、いろんなことが「押し寄せ過ぎて」、冷静な判断が付かなくなる可能性は極めて高い。

 必要なものと不必要なものの判断が出来なくなる

怖い。

これからの季節、家が無くなるとはどういうことなのか。地震で被災する人達のように、一時的にどこかに退居することは出来るんだろうか。親戚や近しい友人は居るんだろうか。車はあるようだったし、ウチの店で普通に「値切らずに」買い物をされて帰られたけど、

 自分だったらどうなんだろうと思う。

自分の場合は、実家がほど近いところにあるから、とりあえず住むだけならそこまでは困るまい。さらに言えば自店は暮らしの衣料品店なので、毛布や布団などの生活に必要なものはそれなりに揃う。先立つモノが問題ではあるけど、自宅が無くなるだけなら、、、例えば津波とか地震で職場までなくなるわけじゃないなら、日々の仕事は出来る。そこはたぶんだけど凄く大きいと思う。

 気分も紛れるだろうし。

でも同時に考えてしまうのは、凄く小さなこと。

 パソコンが、テレビが、ゲーム機が、プラモが、レゴが、、、

 自分の今の環境が全て無くなる。

普段バックアップして持ち歩いているデータは、仕事のエクセル、チラシ作りのドロー、日々のブログのテキスト。それらは職場にあるPCにも保存、使用しているので、さほど問題はない。

ただ、

 デジラマのデータは、ガッツリ消失する。

フォトショップの元データはバックアップしてないし、
※正確には「しているけど同じPCの別HDD」なので、全焼時は無意味

最終的にインスタに投下したデータも、SSDにバックアップしたそのSSDが自宅にあるから、「無くなる」。

てか、そんなことを考えるのは僕がその経験をしてないからに他ならない。

全てがゼロになる。

 ・・・全てがゼロになる?

 ・・・全てがゼロになるわけじゃない!

少なくとも、その人に関して言えば「本人は特に火傷やケガをしているようには見えなかった」し、最低限「生きている」。さすがに今の状況を楽しむのは無理があるし、難しいとは思うけど、そんな絶望とどん底の環境だから、

 笑うことは許されないというわけじゃない。

 前向きに考えることを全否定する権利など、誰にもない。

自分が自分で何をすることが出来るのか、何をしなければならないとか、何をしちゃダメだとか、優先順位や効率ももちろん重要だけど、そんなことよりなにより、

 生きていくことを決断する必要がある。

自殺だってきっと人に寄っては視野に入るだろう。でも、それは僕はしたくないと少なくとも今は思うし、本当に自殺しか選択肢が無くなる状況なんて、今の日本にどれほどあるのかと思う。ここが戦争の真っ直中ならいざ知らず。変な話、

 豊橋駅や名古屋駅で、「家が燃えてしまいました」とプラカードを出して寄付を募ったっていい。

乞食と言えばそれまでだけど、「本当に本当なら」、そこで慈悲をくれる人は、たぶん今の日本にならそれなりに居るような気がする。

 本当に本当なら。

後から思ったのは、それは果たして本当に「放火」だったのか、ということ。少なくともニュースではそう取り上げて無かったし、放火した瞬間を見ていたのなら、消火することも出来たかも知れない。灯油をバラ撒いて一気に燃え広がるような大規模な放火であれば、少なくともアパートの一階部分だけで火事が収まるとも思えない。まぁ思えないだけで実際は収まるのかも知れないけど。

本人のタバコの不始末とかで燃えてしまった可能性だって十分ある。それを放火とすることで自分の「心と立場を守ろうとした」可能性だってある。これは疑っているのではなく、そう言う可能性がゼロではないと、僕の中で考えただけのこと。というかそもそも、

 なぜ放火だと断言したのか。

別に推理小説ウンヌンの話をするつもりはないけど、少なくともこの人はその筋の専門家には見えない。警察や消防や、プロファイルのプロというわけでもなさそうだし、「火元」を確認することは出来たのかも知れないけど、それが果たして本当に「第三者による放火」だとは、少なくとも僕にはわからない。

 本人が放火する可能性だって、この人とは別のケースで「絶対無いとは言えない」気がする。

誰にどんな事情があるかなんて、その人本人にしかわからない。というか、お金や貴重なものを全て車に押し込んで自宅に放火するとか、

 夜逃げするとか

は何となくあり得そうな、、まぁドラマの見過ぎなのか。そんなにドラマも見てないけど。

まぁ真偽のほどはともかく、もし自分の家が燃えたら、たぶん僕は「気持ちを切り替えつつ」日々の仕事が普通にできることに感謝しつつ、実家に身を寄せさせて貰うだろう。かみさんも幸い実家は健在で、車で20分ほどの近しい距離にある。

ゲームもテレビも、何もかもが無くなってしまったとしても、僕が生きていれば、僕はまた新しい一日を過ごすことになる。何も無い状況であっても、文字を打つことは職場でも出来るし、スマホでも出来る。僕は酒もたばこも賭け事も女の子遊びもしないし、食生活も、たぶん日本の標準よりも下回っているけど、結構平気だ。

 そんなにお金が掛かる生き方はしてない。

もし僕の家が全焼しても、凄まじいショックは受けるだろうけど、

 僕はたぶん自殺したりはしないし、自暴自棄になったりもしない。

真偽はわからないけど、僕はそうなるだろうと思う。本当に。

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