龍の歯医者
ボーダーランズ4が一区切りして、手持ちぶさたになったので動画を物色。ふと鶴巻監督のフリクリが見たくなるも、検索したら、
全く知らない氏の監督作品が。
制作はスタジオカラーで、見たあと年式を確認したら2017年。シンエヴァが2012年?なので、ジークアクスとの間の作品という感じ。
ちなみに45分×2本の前後編。正直映画だったのかOVAだったのか、配信専用だったのかわからない。てか、45分って映画だとかなり尺が短く感じるけど、もしかしたら、一度に前後編同時上映だったのかも知れない。
作画的には、割と馴染みのある鶴巻キャラって感じ。キャラデザの井関修一さんは、ジークアクスでのキャラ作監や、キルラキルの原画なども務めてる方。ついでに調べたら、NHKBSプレミアムでの放送だったらしい。この頃には既に鶴巻監督の名前が僕の心に刻まれていたはずなのだけど、何がどうなったのか、今日の今日まで知らずに来てしまった。
非常にクセの強い、言い換えればオリジナリティの高い設定で、原作はあるけど、アニメのオリジナル企画として立ち上がった作品。
時は銃や大砲、馬のある戦争時代。覇権を争う二国間の片方が、「巨大な龍」を携えていて、その大きさは、僕の推定で本体500m。尻尾まで入れると3kmほどに見える。
空をユッタリと飛行しつつ、攻撃能力もあるけど、その素性は謎が多く、とりま巨大な口にあるその歯が、健康の要。ヒロインはその歯にはびこる虫歯菌たちを駆除する役目「龍の歯医者」として日々働く。
※名前が「ノノコ」。これは間違いなくトップ2の「ノノ」から来てると思う
もうひとりの主人公は、そんな歯から生まれる。正確には、下界で殺され、歯から転生した。彼は貴族のおぼちゃんで、銃で人を殺したこともない、ある意味チキン。ヒロインと共に、歯医者の任に就くが、、、
みたいな。うーむゼロからあらすじを書くのがここまで難しい作品も少ない。
設定や文言だけだと、「はたらく細胞」を想起するかも知れないけど、全然違う。あれはあくまで本物の赤血球とか白血球を擬人化したもので、本作では生まれもすれば死にもする人間が、巨大な龍で生活しつつ歯の掃除をしている。
歯から出て来るのは、大小様々な虫歯菌。その描写やデザインは、ある種エヴァの使徒を思わせるほどで、
カラーッぽい
感じが凄くする。音楽は、挿入歌もある「歌詞のある」タイプが何曲か折り込まれていて、とても柔らかな声と、雄大な世界、一方では残酷な殺人描写を一括りに包み込む、「かなりイイ感じ」のもの。もっともエヴァ破の「翼をください」とは違うけど。
主人公二人の声優は知らなかったけど、脇には山寺宏一&林原めぐみが固めていて、そう言うところもある意味カラーっぽい。個人的な感想ではあるけど、駿監督が既存の声優を嫌うのも、カラーが有名声優を躊躇無く起用するのも、どちらにも理由がある気がする。
カラーのメジャーデビューはオネアミスの翼で、無骨にして強烈な作画で圧倒する作品を作り上げる一方で、いわゆる萌え要素、女子要素のない「色気の無さ」をトリガーとして、興行成績としては大敗してしまった。そもそものスタートはダイコンフィルムによるバニーガールだったわけで、そこからトップをねらえ!やナディアに舵を取るようになる。
鶴巻監督と言えばトップをねらえ!2の監督でもあり、アスカ派も公言している。つまり、彼の中での素晴らしいアニメには女性の魅力が不可欠であり、一方でNHKということもあってオッパイとかはNG。
※まぁこれは今のアニメではほぼNGなんだろうけど
見ていて、「懐かしさ」と「今風」を同時に感じるような作品だった。
スケールが大きな龍を見せる一方で、世界は極めて狭く、その戦場以外の映像はほとんど出てこない。
※途中現代に時間が飛ぶシーンがあったけど、僕には意図が理解出来なかった
「歯医者」という巨大な龍に対して、あまりにも小さな仕事である一方で、彼らには「いつどうやって死ぬのか」というイメージ、映像が事前に知らされている。つまり、彼らは死ぬその瞬間まで、この仕事を続ける宿命を、ある意味受け入れて日々働いている。
あくまで設定上ではあるけど
そこが深みを持たせつつも、僕を困惑させる。
一体何を言いたいのか、何を見せたいのか、何を僕らに残したいのか
全然わからなかった。
つまらないか面白いかで言えば、それはたぶん面白いと思う。超序盤に「1秒長い」があったけど、それ以外ほぼ冗長な場面はなく、一度もスキップや早送りはせずに、歌の最後まで見終えた。
※そのくらい歌が良かったとも言える
なので、見たことを後悔はしないし、クリス評価的には★★★ギリあるかなって感じではあるのだけど、
誰かに勧められるかと問われたら、正直ちょっと答えに窮する。
ただ、極めてオリジナリティの高い世界で、カラーらしい日本トップクラスの作画と、必要十分な音楽、声優が整った、「ジャパニメーション」の佳作であることは間違いないと思う。
正直萌え要素やメカ要素が高いとは言い難いので、いわゆるアニオタには刺さらないかも知れないし、かといってストーリーでお涙頂戴というわけでもラブロマンスというわけでもない。設定的には完全にフィクションなのだけど、どこかサイエンスではないファンタジーなニオイを残していて、それでも「幻想的」と直訳するほどにファンタジーではない。
あらすじ同様、ジャンルを分けるのが難しい作品。
見ていて一番印象が近かったのは「鉄鋼城のカバネリ」。荒唐無稽な設定と、生死が日常的にある世界。ある種作画のクオリティも同程度に高い。
※カバネリのキャラのアップ作画にはさすがに及ばないけど
強いて言えば、「ファンタジーアクション奇譚」って感じかなぁ。
鶴巻ファンなら見ておいてもいいとは思うけど、どちらかというと、
「アニメが好き」と言う人が見る作品かも知れない。
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