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2026年1月30日 (金)

龍の子太郎

「懐かしい」という感情は、「同ベクトル内に別の物が大量に挟まることで喚起される感覚」。昔のアニメや音楽を懐かしむ感覚は、そのコンテンツとは別のものをどんどん経験することで遠く、薄くなっていく。でも、ずっとその物を摂取し続けていれば、懐かしさは生み出されない。

ファミコンゲームをやり続けていればファミコンは懐かしくならないし、昭和アニソンを聞き続けていれば、デビルマンだろうとバビル二世だろうと懐かしくならない。

言ってしまえば「過去を引きずってる人」は、あまり懐かしいという感覚を抱きにくいとも言えるし、常に新しい出会いや娯楽を享受し続けられる人は、どんどん懐かしい物が増えていく。

僕は前者だったので、あまり懐かしいと思うことは無かったのだけど、

 これは相当懐かしかった!

龍の子太郎は、1979年東映の日本アニメだ。僕が小学2年の頃ということになる。年式でピンと来る人もいるかも知れないが、「79年」はガンダムの年でもある。その頃は空前のアニメブームでもあり、比較的裕福だったこともあって、多くの映画に見に行かせて貰っていた。奇しくも母方の実家から東映の映画館までは、

 徒歩10秒ほどの距離

だったこともあったし、オリジナルの劇場アニメは、夏休みなどで毎年のように「空飛ぶゆうれい船」や、「太陽の王子ホルスの大冒険」「長靴を履いた猫」などが再放送されていた。

今でこそオリジナル劇場アニメは毎年数多く作られているけど、僕の経験上、それはずっと昔から続いていたわけではない。ジブリこそコンスタントに作られているものの、細田守監督や、新海誠監督が台頭したのはごくごく近年のことだし、映画と言えばテレビ版のスピンオフやダイジェスト的な位置づけの作品が多かったように思う。

特に、一般家庭にVHSのビデオが普及し、オリジナルビデオアニメが出始めてしばらくは、特に劇場版のオリジナルアニメは作られなくなっていった。

アニメ大好きな子供としては、原作がないアニメというのは非常に価値が高かった。それまで世界観もキャラクターも何も知らないアニメ。未知との遭遇であり、テレビでの特番で放映されたものなどは、映画に負けず劣らず価値が高く、

・24時間テレビのアニメ バンダーブック、マリンエクスプレス、フウムーン、バギなど

・ニッセイスペシャルのアニメ 姿三四郎、坊っちゃん、ナインなど

など、今でも「見ることが出来るなら見たい」作品も少なくない。

また、劇場版でも「幻魔大戦」「カムイの剣」「少年ケニヤ」で息を吹き込まれるまでは、本当に希少種だったように思う。

 龍の子太郎は、そんな中で放映された、「日本昔話のニオイの強い」純和風アニメだ。

僕が今回話をしている作品に記憶はなくても、「日本昔話のOPに登場する龍に乗った子供」の映像は覚えているという人も多いはず。

 アレが龍の子太郎だ。

もっともキャラデザインなどは全く違っているけども。

・・・

当時小2だった僕は、当然今よりスレてないし、アニメの視聴経験も少ない。だから、素直に冒険譚には心が躍ったし、

 同じ作品を今の僕が見直しても、当然満額は楽しめない

それを理解しつつも、「カリオストロの城」のように、今でも十分楽しめてしまう傑作もあるわけで、でも同時に「本当に傑作ならばもっと光を浴びて語り継がれていてもおかしくない」とも思うわけで。

 果たしてその結果は、、、

 「なるほど」

・・・

ちなみに、今作が「見たい」と思ったのは昨日今日の話ではない。20年以上前から、レンタルビデオで探したこともあるし、ネットで探したこともある。一度ビッグローブの配信で名前を見たこともあったけど、そのときは踏ん切りが付かなかったか、かなり面倒だったかで見損ねてしまっていた。

今回本当にたまたま、ネットを見ていて、この名前が目に止まり、検索してみると、

 「デイリーモーションで見ることが出来ました」

という書き込みが。だがしかしありがちなのは、「実際はそこから15年くらい経っていて、今はもう見られないパターン」。

 その書き込みをよくよく見ると、「2024年」のものであった!

それならばまだ見られるかも知れないと検索して、ついに僕は念願を叶えることが出来た次第だ。

ちなみに、日本昔話も相当な傑作でありニーズも厚いはずなのだけど、僕の知る限り動画配信サービスには組み込まれていない。理由はわからないが、龍の子太郎との接触の難しさも、もしかしたら同様のしがらみがあったのかも知れない。

時間は75分ほど。つまり、

 日本昔話の6話相当にも及ぶ、大長編である。

セル映像は確かに古びてはいるものの、水彩の背景は日本昔話同様に「様式美」を感じさせるし、セルであっても作画、原画は非常に丁寧かつ上質で、今のアニメほどの派手さ、精緻さはないものの、

 確かな技術とセンスを感じさせる。

これは見ている人の経験にも大きく依存すると思うので、過度な期待は御法度ではあるけれど、当時の僕がこの作品を強く記憶したのは、

 当時としては、この作画クオリティが異質に高いと感じたからだと思う。

そしてその感覚は、今の目で見てもしっかり実感出来るものだった。具体的には、同時期のテレビ版ガンダムなどとは、

 比べられないハイレベルなデッサンとアニメーションパターンだった。

また、特に僕が震えたのは、そのメインテーマだ。

 東の風よ、プィーと吹け!西の風よ、ピィーと吹け!

これが、、、

 これが!!!

  とんでもなく懐かしかった!!

龍の子太郎も、当時テレビで放送された記憶はぼんやりとある。しかし、僕の家にビデオが来たよりも古く、さらに何度も何度も放送された記憶は薄い。録画し、繰り返し見た記憶は曖昧だ。

 つまり、僕はこの主題歌を47年ぶりに聴いた。そして覚えていた。

よほど印象的なメロディだったとも言えるし、「大好きだったから」とも言える。アニメソングが子供の頃から大好きだったけど、テレビから録音出来た物ばかりではなかったし、母親に買って貰ったアニソンのカセットには、間違いなくこの曲は入ってなかった。

余談だけど、僕が一番見たいアニメは、同じく小学生の頃テレビでやっていた「怪盗ルパン813の謎」であり、特にその主題歌が「スゲェ見たいし、聞きたい」。もしそのMP3音源が手に入るなら1万円くらいは出せる。

 だがしかし、残念ながらそれは音源化されておらず、聞くためには当時発売されていたVHSのビデオを手に入れつつ、デッキを買うしかない。

ちなみにさっき検索したら、メルカリで33000円で出品されていたことがあったらしい。なかなかその額は手が出ないと思いつつ、「一生の間で一番」なら、その場に直面していたら決断したかも知れない。

 龍の子太郎の主題歌も、もしかしたら音源化されてなかったかも知れない。

・・・

時代を感じさせる点としては、「子供のちんちん」や「女性のおっぱい」が普通に作画されていることもあったけど、そこで目くじらを立てるような野暮は、僕の年齢には居まい。

確かに途中「1秒長い」が、2、3度あったりもしたけど、総じて丁寧で、

 とても人に優しい、まさに日本昔話らしいストーリーだった。

その上でダイナミックな描写、メリハリのある展開、魅力的なヒロインと、龍だけじゃなく、山姥や、鬼、大蛇、雪女などのメジャーモンスター?もしっかりと登場し、場を盛り上げる。ある意味、

 「日本昔話スペシャル」な映画だった。

クリス評価は、忖度抜き、今の僕が見て★★★。懐かしさのおまけして★★★☆というところ。

見て損したとは一切思わなかったけど、今これを僕と同じだけ楽しめるのは、たぶん「同い年」のnoriくんくらいだろうな。年齢が2歳ズレたら、たぶんもう難しくなっていくと思う。そのくらいピンポイントで、エッジの効いたレトロアニメだったわ。

・・・

ちなみに、先に挙げた姿三四郎と坊っちゃんは、どちらも「テレビ放映時に見損なってしまっていて、これも長年凄く見たかった作品」だ。というかもしかしたら見ているのかも知れないけど、全く思い出せない。

しかし、検索したらこの2作は「バンダイチャンネル」に加入し、有料レンタルを使うことで見ることが可能であることがわかった。怪盗ルパンや龍の子太郎ほど思い入れは無いものの、近いうちに見て見ようと思う。

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