「爆弾」
※ネタバレ含みます。あとネットの感想は一切読んでいません
佐藤二郎が日本アカデミー助演男優賞を取ったとか取らないとかの映画。踏ん切りが付かなかったけど、あまりにヒマだったこともあって借りてきた。
まず僕は日本映画をほとんど見ない。見るとしてもアニメか特撮で、ドラマで見ることはほとんどない。映画館に行ったのは、、、思い出せない。もしかしたら一度も無いかも。
※アニメの同時上映で見たのはある。吉川晃司のすかんぴんウォークとか。セーラー服と機関銃すらも見に行ってないと思う
つまりは、日本映画が「嫌いまでは行かないけど、あんま好きじゃない」のだ。なぜかと言えば、たぶんハズレが多いからだと思う。話題優先で有名芸能人を使いたがる風潮や、特撮抜きでミステリーやサスペンスで仕上げる場合、別段映画館に足を運ぶ必要性を感じない。極端な例ではあるけど、「のだめカンタービレ」などは、テレビ版から劇場版への落差が激しすぎて、結構絶望したりもした。
なので、見る前の知識として「佐藤二郎が爆弾魔?」レベルであり、他に誰が出ていたかも知らない。もちろん監督も知らないし、結末も知らない。ニュートラルというより、むしろ少しマイナスくらいからの視聴だったのだけど、、、
ズバリ感想は、、、
「悪くなかった、、、けど」
まず、最初染谷将太が出て来て、「この人結構好きなんだよな」と思いつつ、主役は別にいた。山田裕貴(やまだゆうき)という。今回ついに名前を覚えた。ゴジラマイナスワンでも出てたけど、「ジャニーズとかかな?」って程度で、覚えるには至らなかった。元乃木坂西野七瀬の旦那さんらしく、ガッツリイケメン。ちなみにジャニーズではなく、「戦隊ヒーロー俳優」だった。
あらすじ的には、よくある爆弾魔の話である。警察に掴まって、心理戦で次の爆弾がどこだとか、ヒントはなんだとか、真犯人が別にいるのかいないのか、みたいな。
特にVFXや爆発演出が際だって凄いわけでもなく、
※もちろんそれは本作のウリでもないけど
多少の血みどろはあるにせよ、スプラッターをウリにしたホラーでもない。
真犯人の有無はともかく、序盤から佐藤二郎演じるスズキタゴサクが重要参考人として物語の主軸を担っていて、印象で言えば、
羊たちの沈黙のアンソニー・ホプキンスを想起させなくもない
あそこまでサイコでもないけど、劇中では「無邪気」と称されたりもした。共通点はあるだろう。
ちなみに、「タゴサク構文」というのを以前からSNSで散見していたけど、なるほどこれがルーツなのかと感心した。あまり映画のシーンから、そうした流行を生み出す例は多くないと思うので、それだけ佐藤二郎のセリフ回し
※もちろん監督と脚本家の手腕なのだけど
が、印象的だったということだろう。てか、初めて見たのに、まんま既視感があったからな>本家タゴサク構文
流れ的には、最初染谷将太、次に渡部篤郎、そして山田裕貴の順で、佐藤二郎との対話をする。もちろんキャストは他にもいて、脇を固めている。
制作スタッフは、今作が「売れる」と確信していたのだろう
そのくらいキャストのクオリティは高い。ただ、捜査本部長?がスゲェウザくて、
このウザさは、本当にこの話の中で必要だったのか?
とは思った。人に寄っては「良いカンフル」かも知れないけど、僕にとってはノイズでしかなかったし、そのイライラで、他のプラスを台無しにしてた感すらあったから。
最終的に死んでくれ、と思ったけど、日本映画で、それも根っからの悪(わる)じゃないので、そこまではやってくれない。ただただウザいだけ。だからこそ余計存在意義がないと思ってしまう。てか、
頭が悪いキャラは、とにかく嫌いなのだ。嫌なヤツも嫌い。悪いヤツやクズは別段嫌いじゃない。これは単に僕の好みだけど。
そう言う意味でタゴサクは、頭も悪くないし、嫌なヤツでもない。狡猾(ズルイ)なわけでもないし、割と純度の高い、それこそ無邪気な悪。ちなみに「頭が悪くない」と僕が言ったのは、
早口だから。
頭の悪い人は早口ではしゃべれない。これは本当。
一方、対峙する染谷将太と山田裕貴も「頭が良いキャラ」。
※渡部篤郎はその間に挟んだガス抜き。役周り上致し方ない
つまりこの爆弾という映画は、「少なくとも僕にとっては」、
頭の良い人間と頭の良い人間の心理戦を楽しむ映画だった。
日本人のオーソドックスな美的センスにおいては、タゴサクのルックスは決して良いとは言えまい。橋本愛の問題はともかくとして、劇中でもそれは露骨なまでに対比される。山田裕貴演じる「類家(るいけ)」という刑事が、小綺麗なヘアスタイルとビシッと決めたスーツであることも、完全に計算ずくだろう。
・タゴサク
無邪気、ブサイク、不潔感、歯並びも悪い、ピュア、非人道的価値観の持ち主ではあるものの、そこに不条理さはない
・ルイケ
非常に頭がキレる優秀さ、イケメン、清潔、ヘアスタイルもカッコイイ、警官なので人道的価値観ももちろんあるけど、利己的で、こちらにも不条理さはない
特にどちらも冷徹というわけではなく、感情的になるときはなる。
なかなかに心地よいバトル。
特筆するヒロインが出てこなかったのがとても残念ではあったけど、特段早送りしたくなるシーンもほとんど無かったし、何より、
山田裕貴がかっこよかった、、、ところが印象に残った
やはりそこはとても重要。音楽も悪くは無かったと思うけど、小栗旬のボーダーや、福山雅治のガリレオほど強い印象を残すメロディはなかった。
どちらかと言えばミステリーというよりサスペンスで、ハッピーエンドを期待する展開でもなかったけど、
見終えてから2日経って、既に結末は覚えていない。
覚えてるのは、タゴサク構文と山田裕貴のかっこよさ、本部長のイライラする所作。そんなもん。
クリス評価は★★★。ポッと出の日本映画としては、十分過ぎるくらい面白かった。でも、好みじゃないのは好みじゃないし、見て損したとは思わないけど、、「全領域異常解決室」や「ボーダー」「ガリレオ」の方が、「ずっと好き」なのも本音かな。
てか、最後誰が誰のために何をしてるのかの情報量が多くなりすぎて、同時にタゴサクのキャラが「作られた物なのか、ナチュラルなのか」も不透明になってしまって、一気に印象が濁ってしまった。破綻はしてなかったのだろうけど、
透明な水槽に、いろんな絵の具を矢継ぎ早に注いだような
・・・
最後誰か死んだっけ? 爆弾があとひとつあるから終わりじゃないみたいなこと言ってたけど、「いつ爆発するかわからない」と言うより、「爆弾が残ってるから安心できないよね?」という感じで、
爆発しない爆弾がどこかにあるというだけの話では?
どのみち爆発しちゃったらそこでタゴサクの物語は終わるわけだし、それが嫌だから爆発させなかった=爆発させるつもりはないってことでは?
さすがに「その爆弾が誰の手によるものなのか、今回のものと同じか違うか」を把握出来る人間は警察側にしかいないだろうし、そこで悪意ある第三者に情報をリークする意味もわからない。
ましてや今回の爆弾は、「超絶高性能かつ大規模な爆弾」というわけではないし、見つけた時点で爆発するとも思えない。そもそも簡単に見つかるところにあるとも思えないし、既に何人か死傷者が出ていることを鑑みれば、せいぜい注意喚起以上の出来ることもない。
これまでの爆弾が時限式であったことを鑑み、最後の爆弾もそうだと断定することも出来ない。タゴサクはバカではないので、数年越しでバッテリーが切れないタイマーを用意することの難しさもわかってると思うし。つまりは、
爆発するとしてもそう遠い未来じゃないし、爆発しない可能性の方がむしろ高いのでは?
となると得られる答えは、
爆弾なんて無い。
なのだと思うのだけど、、、どうなんだろ。劇中のルイケ君なら答えにたどり着ける気もするけど、あれはあくまでフィクションのキャラだから、そうは行かないかな。
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