邦楽を聴いてこなかった人に勧められる曲ってある?
月ノ丞さんが、「邦楽を聴いてこなかったけどそんなに勧めるならAKB聴いてみようかな」的な話をされたので、
まずはここから聴いてみて!
と言う曲をピックアップしようとしたのだけど、
これがなかなか難しい。
映画もドラマも、、、いや、大抵のことはその人のそれまでの経験に大きく嗜好が依存する。RPGのレベルアップのようなもので、レベル30にならないと楽しめないものを、レベル1の人にプレゼンしたところで「ポカーン」なのだ。そしてさらに厄介なのは、
年齢と共に既にその人のレベルは「1ですら無くなっている」
わかりにくいことを承知で言えば、
まずみんな最初はたまねぎ剣士レベル1。しかし、洋楽を聴き始めたら、そこからクラス=職業は、たとえば戦士に寄っていく。戦士のレベルが高まった状態では、魔法使いの曲はなかなか習得=理解しづらくなると思うのだ。
しかし、一方で戦士にも魔法戦士が居て、魔法使いにも初歩的な武術スキルを習得するケースがあるように、「上級は無理でも初級であれば体得=心にフックする」可能性はある。
しかし、それら全てを踏まえても、今僕が好きで聞いているAKBの曲が、「邦楽LV1」の人に訴求しうるかと言えば、
それはなかなか難しいな、と。
結局AKBの楽曲の魅力の大半は、幼少期から青年期に掛けて耳にした、「JPOPのDNA」を、悪く言えばパクって今風の歌詞を載せた部分だったりする。もっとも、中学時代おニャン子クラブにも秋元康は大きく関わっていたし、ある意味「セルフカバー」的な側面もあるから、一概にパクリと言うのは語弊があるとも思うけど。
ともかく、松田聖子やら近藤真彦やらと言ったアイドル全盛の曲や、中島みゆきやらアルフィーやらと言ったニューミュージック系の曲、もちろんアニソンやバンドブームの曲も含めて、
「育まれた邦楽レベル」
これが高い
※必ずしも高いことが素晴らしいわけではない念のため
自分が、洋楽レベルの高い人と、水平に会話をするのは、やっぱりとても難しいことなんだろうな、と思った。
だがしかし、
一方で、普段見ないジャンルの映画やドラマの中にも、ググッと刺さる作品が無いとも限らない。例を挙げるなら、
・逃げ恥
・ARROW
・マイインターン
・グレイテストショーマン
これらは、それまでの僕ならまず触れなかったところであり、「未開拓の分野」、レベル1に近い人間にも訴求するポイントがある作品であった。
細かいことを言えば、逃げ恥にはヒロインの魅力があり、ARROWには和製特撮ヒーローのDNAを感じる事が出来、マイインターンの主人公はとてもかっこよく、グレイテストショーマンの主題歌は、僕にも訴求しうるキャッチーな物であった、、、と言うような「過去に刺さるパーツ」が含まれていたことも大きい。
でもだがしかし、実際それだけじゃない楽しさもあったわけで、ある意味これらの作品によって、僕の未開拓の分野のレベルが少し上がった、とも言える。そしてこれは、
歳を取れば取るほど、とても貴重なことなんだろうな、とも思うのだ。
・・・
映画でもマンガでも音楽でも、人に勧めること自体は凄く簡単だ。「面白いから見て!」と言うだけなら、誰にでも言える。ただ、実際にそれを言われた側が、素直に見るケースは稀だ。お互いの好みを熟知している可能性がそもそも低いし、熟知していればしているほど、それほど気軽に勧めるのは難しくなる。ネットで「オススメラブコメ映画」で検索しても、
ランキングの中に大好きと大嫌いが混在してるなんてのは、ザラにあることなのだ。
だから、歳を取って学んだこと、「学んで欲しいこと」に、
期待はするな
と言うことがある。相手が僕に勧めてくれても、それを僕が楽しめると言わないどころか、
大嫌いだと言ってしまう可能性を理解して欲しいと思う。
同時に僕も「全くフックしない可能性」を重々理解しつつ勧めるのだ。
ただこれは(手前味噌になるけど)、どれだけリスクが低く、キャパが大きな作品をプレゼン出来るかも重要。子供の頃からみんなにゲームを勧めて来た男として、「自分だけが楽しめるものと、他のみんなでも楽しめるものの違い」や、「楽しめるポイント、楽しめる理由」の掘り下げるスキルが、他の人よりは多少備わってると自負してたりもする。
言ってもあくまでこのブログを愛読してくれてる人に向けての話になるけど。
※その時点で「ふるい」に掛けられてるわけで
・・・
歌ってのは、メロディと歌詞の複合体だ。細かく分解すればボーカルの声や顔の好みとか、楽器の気持ちいい音色とか、こちらの精神状態とかも絡んでは来るけど、基本は、
生理的に心地よく感じる旋律があり、その先に共感やら驚嘆やらが歌詞から出て来る。
つまり、洋楽であれ邦楽であれ、「最初は言語不問」だったりする。何を言ってるかわからなくても、雰囲気だけで「イイ感じ」と感じる曲なら、
その曲の「ハードル」は低く、低レベルの冒険者にもしっかり届く。
ビートルズを題材にした「YESTERDAY」という映画の中で、世界はビートルズを失う。主人公だけはその消失を免れ、知人に何の気無しに「YESTERDAY」を弾き語りする。
え、ちょっと待って、この曲超イイんですけど!?
※もちろん脚色してるので実際はそんな言葉ではないです念のため
それが初めて聞く曲であっても、一気に心に響く曲というのは絶対的に存在する。そう考えた時、、、
AKBの曲でそう呼べる曲って、ほとんど無いのかも知れないな、、、
そう思ったので、「例えば、、、」をこないだのレスには書けなかった次第。
ただ、重要なのは「イントロ部分から」ってこともある。サビだけは最高って曲は、特に日本のタイアップ曲には多い。逃げ恥のOPも、使われるパート以外は「有って無いようなもの」だったりするし、桑田佳祐の「波乗りジョニー」も、CMのパートだけ先に作られて、後日それ以外を付け足すようにして一つの曲になったとも聞く。
掴みは重要、でも掴みだけが「歌」じゃない。
・・・
AKBは一端除外して、、、僕が選ぶ「邦楽を聴いてこなかった人に勧められる邦楽」№1は、
君は天然色 大瀧詠一
https://www.nicovideo.jp/watch/sm1515097
だ。イントロの心地よさ、メロディも楽器もボーカルも全てが気持ちよく、さらにことある毎にCMに使われてきた「接触頻度の上昇に伴う好感度の上昇」も後押し。聴く度に「この歌は完璧だなぁ」と思う。個人的に、これが嫌いという人には会ったことがないし、知らない人もたぶん居ない。紛れもない名曲だと思う。
以下、適当に思い浮かぶままに、「低レベルの戦士にも倒せると僕が思う邦楽」を書きだしてみる。もちろんこれも50歳の僕がひとりで勝手に思ってるだけなので、NGな人、NGな世代も絶対的にあるとは思う。てか、鬼滅の刃の主題歌とか、
嫌いとか好きとか以前に、全然耳に入ってこなかったりするし。
やっぱジェネレーションギャップってのは「乗り越えがたい壁」なんだなって思う。
※よほど興味が沸かない限りはスルー推奨
・LOVE IS ALL 椎名恵
https://www.youtube.com/watch?v=nObsYYand4M
綺麗なイントロと綺麗な声、盛り上がるサビ。高校時代同世代の女子から「私この歌好き」とスゲェ言われた。
・The Galaxy Express 999 ゴダイゴ
https://www.youtube.com/watch?v=drDu-pf1ToI
これも多角的に名曲。僕が物心付いてから聞いたJPOPの中で、初めてザ・ベストテンにて何週も連続で1位だった曲。
・君の知らない物語 SuperCell
https://www.youtube.com/watch?v=bMSLGS0O1g0
アニメ「化物語」のED。初めて聴いた瞬間に「スゲェイイ!」って思ったし、世代の違う娘にも劇的にフック。つまりは汎用性の高い訴求力を持つ曲かと。これがフックするなら「さよならメモリーズ」もオススメ。
・First Love John Luongo Remix 宇多田ヒカル
オススメするのはアップテンポの方。個人的に彼女の曲はこれが永遠に超えられない。普通に名曲だと思うんですが。
※動画はライブしか見つからなかった・・・
・悪女 中島みゆき
https://www.nicovideo.jp/watch/sm37060128
綺麗なイントロ。煌びやかなサビと、耳障りのいい声。メリハリのあるメロディにストーリーのある歌詞。完璧な曲。ちなみに、小泉今日子の「魔女」も同じような題材の歌詞の名曲。クリスのヒロイン好きが強く出てる。
・アンジェリーナ 佐野元春
https://www.nicovideo.jp/watch/sm21397697
彼のデビュー曲。アップテンポが気持ちいい。歌詞の内容はともかく、歌うととても気持ちいい「韻を踏んだ詩」。
※動画はアイマス。
・響け!太鼓の達人 水木一郎・堀江美都子・影山ヒロノブ
https://www.youtube.com/watch?v=osT7n99mq5I
アニソンの美味しいところがギュッと詰まりまくった太鼓の達人の曲。僕のブログで唯一無二の10点超え。ビッグボリュームで立ち上がって歌うと、泣ける。
・赤いスイートピー 松田聖子
ずっと「瑠璃色の地球」が一番だった僕だけど、先日改めてリストアップして集中して聴いていたら、この曲が存外「スゲェ良かった」。でも本音は「時間旅行」を推したい。でも時間旅行はメロディのキャッチが弱いんだよな。
※動画はライブしか見つからなかった・・・
ぶっちゃけサザンとか松任谷由実とか、ミスチルとかスピッツとか、大御所の曲にも良い曲はいっぱいあるのだけど、何だろ、
初めて聴いた瞬間に良さが流れ込んできた曲って、そんなに多くない。
※TSUNAMIとか波乗りジョニーとか?
そう言う意味では、AKBの曲で「初見の人にフックする」のは凄くハードルが高いんだよな~って思う。でもあえて、「クリスが思う一般向けAKBソング」をいくつか挙げてみる。AKBを普段全然聴かない人に聴いてもらいたいと思いつつ、
全く来ねぇよ?
と言われる覚悟もあったり。
・少女たちよ
https://www.youtube.com/watch?v=RKaguxErB7s
・君と僕の関係
https://www.youtube.com/watch?v=grb8x4byFpQ
・結晶
https://www.youtube.com/watch?v=us9XaR3B6nQ
・彼女になれますか?
https://www.youtube.com/watch?v=6nS0S6eH4wE
・Seventeen
https://www.youtube.com/watch?v=AvJvnn4Om6w
・ハート型ウイルス
https://www.youtube.com/watch?v=30skrCYwWH0
AKBは、基本男性向けのアイドルなので、キーワードとして、
・手の届かない女の子
・叶わない恋
・それでも幸せ
これが結構な濃度で入ってる。それプラス「努力が報われる」とか、「成長」「卒業」みたいな部分もある。そう言う曲に「合わない」人には、凄く勧めづらい。カワイイと感じるか、「秋元康が商売で作ってるな」と感じるかで、随分変わる。
言ってしまえば真実は後者なのだけど、「楽しむ為にどうするのが正解か」だと思うんだよね。その子が自分の体験から導き出した言葉以外全部ウソなのかって話。秋元康が作った詩であっても、その詩は彼女たちを見ていて作られたものも多いし、全てのフィクションが感動出来ないなら、それはその受けての方に原因があると思う。
・・・
長々書いてきたけど、ホントはどこかの誰かが僕の好みにフィットする曲を教えてくれたらいいのに、って思う。娘なんかは結構近い感性だから、割と当たる可能性も高いとも思うのだけど、言っても別居してしばらく経つから、「徐々に離れて行ってる」んだろうな、とも思うんだよね。
映画やアニメ以上に、共感してもらうのが難しい、それが音楽。歌なんだよね。
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